"法曹界のソドム"こと悪徳弁護士・小田切渉(福士蒼汰)に異変が見られ、"牧師"に辿り着くべくどんどんやり方も強引になっていく様子が描かれた『弁護士ソドム』(テレビ東京系)第4話。
今回、小田切がターゲットにしたのは経営コンサルタントを名乗りながら"裏口入学詐欺"を働く井手口法子(石野真子)。ただ、今話新しかったのは、一度も訴えられたことのない井手口を法廷に立たせるべく、裁判を起こさせるように被害者に接触し仕向けたことだ。
息子の将来を案じ、本人に相談することなく裏口入学を依頼したという父親側に質問するも、そこには珍しく小田切の私情が反映されたような内容が続く。
それもそのはず、小田切は"牧師"に匿われ入院をしている父・宏(勝村政信)との久々の再会を果たすも、その第一声は「君は私の息子なのか?」というものだった。どうやら宏は自分が誰なのか、なぜここにいるのか、全ての記憶を失っているようだ。変わり果ててしまった宏の様子にショックを隠せない小田切は、この原告側の父親が息子を思う気持ちに、自身と父親の思い出やもう戻らぬ離れてしまっていた時間をオーバーラップさせているようだった。
福士演じる小田切の目が一層暗く沈み、そこに一抹の寂しさが見え隠れし、14年前の事件が彼から奪っていってしまったものの大きさを思わずにはいられなかった。
しかし、小田切の本当の狙いは井手口ではなかった。企業専門詐欺師・横山英之(安井順平)をおびき寄せるため浪人生の息子に"裏口入学"を持ちかけ、それと引き換えに14年前に自身の父親が起こしたとされている横領事件についての情報を求めたのだ。井手口の裏口入学詐欺のやり方をそのまま汎用し、詐欺師・横山を見事欺いた小田切は、やはり父親は横領事件に関わっておらず濡れ衣を着せられていたことを知る。"牧師"の代理人を通してこの依頼を受けた横山は、横領をでっち上げ書類を改竄し宏の仕業に見せかけたのだという。
さて、その裏でいよいよ暴走を始めたのが人権派の弁護士・若松まどか(玄理)に小田切の正体を突き止めるよう持ちかけた大学時代の友人で新聞社の記者・青柳孝介(古川雄輝)だった。これまでも青柳からまどかへの好意は随所に滲んでいたが、なるほど彼らはかつて付き合っていた元恋人同士のようだ。
もしかしたら青柳は、まどかとその頃の関係に戻りたいと、新聞記者の自分と弁護士の彼女が一緒になって追える事件として小田切渉に目を付けたのかもしれない。それが、思いの外、小田切の母親・翔子(高岡早紀)はまどかの憧れの存在で、小田切と一緒にバディを組むようになってからというもの彼の肩を持つようになったまどかのことを歯痒そうに見守る青柳の様子は気にはなっていた。
自身の記者人生で築いた人脈を駆使して収集した14年前の事件に関する資料と引き換えに、小田切に対して「これ以上まどかを巻き込まないでもらえませんか?」と交換条件を提示する。
しかし、小田切の方が一枚も二枚も上手だった。
「彼女がこの先どう生きるかは彼女自身が決めることです。私やあなたが口を挟むことじゃない」
そう言い退けて、その資料だけを受け取った。
事件当時、宏がUSBを翔子の事務所から持ち出したことが判明するも、宏の入院時に所持品はなかったため、そのUSBが翔子の自殺偽装事件や宏の失踪事件に大きく関わっているのは間違いない。一体、USBの中身は何だったのか。そして今どこにあるのか。きっと宏が翔子の身に危険が及ばないように自分が持ち出すことにしたのではないかと思われるが、小田切が言う通り"知りたいことだらけ"だ。
小田切の情報を週刊誌にリークした青柳の切羽詰まった様子を目の当たりにし、まどかの中で本当の意味での"正義とは何か"が再定義されそうだ。
文:佳香(かこ)
【第5話(6月2日[金]放送)あらすじ】
小田切渉(福士蒼汰)の身辺が慌ただしくなってきた。青柳孝介(古川雄輝)の取材で、14年前、宏(勝村政信)が翔子(高岡早紀)も事務所からUSBを持ち出したことが判明。さらに青柳の差し金で渉の暴露記事が週刊誌に掲載されてしまう――。そんな中、"美のカリスマ"美作あかり(真飛聖)から弁護依頼が。出資金詐欺で訴えられているが悪びれる様子もない。渉は珍しく依頼を断るが、あかりの思わぬ一言で状況は一変する。◆番組情報
ドラマ8『弁護士ソドム』
毎週金曜20:00~20:54放送(テレビ東京系)
※5月26日(金)は「世界卓球2023」のため放送はありません。
放送終了後、動画配信サービス「Paravi」でも配信
(C)テレビ東京
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