「サプリ」「＆」のおかざき真里の同名漫画を原作に据え、前田敦子が主演を務めるドラマ『かしましめし』(テレビ東京系)の第7話が5月22日に放送された。
本作は、美大を卒業後、同級生の自死をきっかけに再会したアラサー男女3人が、それぞれの人生に悩みながら"おうちごはん"を囲む中、一緒に暮らし始める物語。
今回は小田千春(前田)、ナカムラ(成海璃子)、雨海英治（塩野瑛久）のそれぞれ見たことのない顔が見られた新鮮な回だった。
冒頭でキャベツを刻みまくる千春の姿が描かれる。しかし、パワハラによる心の傷に無心で耐えていたときの怒りや悲しみ、苦しみを思わせる千切りとは違う、混乱した様子だ。
そんな「異変」を気遣うナカムラと英治に、千春は、美大予備校時代の講師・蓮井亮史(渡部篤郎)に絵のモデルを頼まれたと話す。「何かの間違い？」と驚き、「二つ返事で」OKしてもなお戸惑う千春だが、ナカムラと英治に背中を押され、モデルをやってみることに。
一方、自分には何もないという気持ちを抱えるナカムラは、旅行以来気まずくなった恋人・田口祐也（倉悠貴）と公園で再会。田口を一人残し、旅先から帰ったことを詫びようとするところに、大縄を回してくれる人を探していた3人兄妹がやって来て、2人をロックオン。大縄をまわしつつ、込み入った話をする2人と、その間で無邪気に飛び、まわすテンポにダメ出しする見ず知らずの子どもたち。
わけがわからないシュールな光景だが、良いモノを見た――そんな気がしたシーンに、偶然やって来たのは英治で、「何してんのやろ」と不思議そうに笑う。
しかし、英治はもう一つの偶然、自身が思いを寄せる瀬川榮太郎（若林拓也）と一緒に個展の準備をしている土屋（坂東希）に会う。榮太郎と土屋の写真を見せられ、目を輝かせながら良い写真だと褒めた英治だが、二人の日頃のやり取りを聞かされ、"外側から"言うほうが聞くから、榮太郎に進言して欲しいと頼まれた瞬間に表情が一変する。嫉妬から珍しく感情をむき出しにし、自分で言った方が良い、俺も忙しいからと、声を荒げて言う英治。しかし、その後すぐに、自己嫌悪に陥ってしまうのだった。
蓮井のモデルをやってみた千春は、ナカムラと英治がいつも背中を押してくれるから前に進めると、2人に礼を言う。そして、自分の仕事がデザイン賞にノミネートされたこと、かつてのパワハラ上司も一緒にノミネートされていることを伝え、「驚いたんだけど、（上司に）勝てたら良いなと思ってる」と笑顔を見せる。たくさん傷ついてきた千春は、ナカムラと英治が寄り添うことで、着実に前に進み始めていた。
そんな中、千春が榮太郎にデータ保存を教えてもらうという名目で、榮太郎と蓮井を招いてのおうちごはん会が行われる。
その帰り道、英治がまたイラストを描いていると聞いた榮太郎は、今度イラストを見せてくれと頼む。人に見せるほどのものでもないから、と自信を持てない英治に、榮太郎は描きたい気持ちを否定しなくて良いと伝える。しかも、「偉そうなこと言ってるけど」と前置きし、自身も自信をなくしたとき、そうやって自分を慰めているのだと付け加えるのだ。
榮太郎はさらに千春と蓮井の仲の良さに触れ、気にならないのかと尋ねる。英治は自身の気持ちを隠すため、榮太郎に千春と付き合っていると嘘をついていたからだ。そこで、英治はそれが嘘だったと明かし、言うつもりのなかった榮太郎への思いを告白する。
しかし、榮太郎は、それに答えるのではなく、突然英治にカメラを向け、シャッターを切り、言う。
「めっちゃ綺麗」
「今の表情、めちゃくちゃ魅力的だった」
撮られながら榮太郎に向けた英治の笑顔が、涙交じりに変わっていく。本当に綺麗だ。
その翌朝、早くから朝食を作る張り切った様子の英治に、千春とナカムラは榮太郎とうまくいったのではないかと考えるが、「あかんかったわ」とさっぱりした様子。そして、うじうじ考えていても仕方がないから、イラストの個展をやると宣言するのだった。
それぞれ小さな一歩だが、進み始めている３人の姿が愛おしい。しかし、そんな３人暮らしに終わりが!? 次週の最終回が寂しく、そして待ち遠しい。
文：田幸和歌子
【最終話（5月29日[月]放送）あらすじ】
どんな日も寄り添って、一緒にごはんを食べる。千春（前田敦子）、ナカムラ（成海璃子）、英治（塩野瑛久）のかしましい日常生活は、千春の母・紗栄子（渡辺真起子）の突然の帰国によって岐路を迎える。共に帰国した友人と再びこの家に住むという紗栄子の話を聞き、考える間もないまま家探しを始めるナカムラと英治。そんな中、英治の個展の初日を終え一息ついていると、千春は2人に言えなかった本当の気持ちを打ち明ける･･･。◆番組情報
ドラマプレミア23『かしましめし』
毎週月曜23：06～23：55（テレビ東京系）
地上波放送終了後、動画配信サービス「Paravi」でも配信
（C）「かしましめし」製作委員会
- 1
