人権派の弁護士・若松まどか(玄理)も"法曹界のソドム"こと悪徳弁護士・小田切渉(福士蒼汰)に巻き込まれ変装&潜入調査に付き合わされることになった『弁護士ソドム』(テレビ東京系)第3話。
今回小田切がターゲットにしたのはガン治療専門医・栗原浩二(片桐仁)が行う"医療詐欺"。栗原は断食と"アマゾン"で見つけた秘薬を調合したサプリでガンを治すと騙っているが、もちろんこれは真っ赤な嘘。(アマゾンはアマゾンでもネット通販サイトで取り扱いがあるサプリのようで、ここだけは嘘とも言い切れないし、手口がかなり杜撰すぎる。)
患者・宇野剛士(おかやまはじめ)の娘・江梨花(内藤理沙)に訴えられた栗原は裁判だけは避けたいと示談金で何とか決着をつけてくれと小田切に依頼。ただ、江梨花はどんなに高額な示談金を提示しても「クリニックに騙されたことで父は限られた時間を棒に振ったんです」「私の目的はクリニックの問題を世間に知ってもらうこと」と取り合わない。
そこで、小田切は大胆な策に打って出る。自身の依頼人ではなく、患者本人との接触を図るため、変装のプロである三木天音(山下美月)と一緒にまどかを送り込んだのだ。
がんを告知され、すぐには受け入れ難い時に栗原のあの根拠のない自信や底抜けの明るさ、実際には無責任ゆえに発言できる前向きな声かけの数々に救われたというのも納得できる。そもそも栗原が提唱する治療法にはエビデンスも何もないわけだが、だからこそ"信じたい未来"を束の間見せてくれる存在だったのだろう。
それゆえに藁をもすがる思いの患者に対し根も葉もない治療法で騙そうというのはあまりに姑息で残酷だ。しかしこの患者本人の"騙されていると知りながらもクリニックに通い続けた"という心の内は、善悪はいつだってはっきりと白黒分けられないということを江梨花やまどかに身を持って教える。
多面的な善悪や白黒のグラデーションについて触れる度、まどかの中でもやはり小田切が詐欺加害者ばかり弁護を引き受けるのには何か他の理由があるのではないかという疑惑が生まれる。小田切の母親で自身の憧れの存在・翔子(高岡早紀)が自殺というのも信じられないし、きっと母親の死の真相に近づくために"詐欺加害者を知りたい"のではないかと、その本質に迫る。
小田切と天音や天才ハッカー・八雲カイ(加藤清史郎)の間には強力な連携や仲間意識があるのを垣間見て、また彼らそれぞれが抱える事情に触れる度、小田切のことを本当にソドムだと断言できるか自信が持てなくなってきたのだろう。ある意味あのチームは小田切が彼らに与えた"居場所"でもある。闇バイトに手を染めてしまった大学生・久保寺治(佐藤龍我/美 少年/ジャニーズJr.)のこともさりげなく気に掛ける小田切の姿にはやはり母親譲りの面倒見の良さが滲む。
さて、栗原の悪事を暴いた小田切は、第3話目にして早々に長年失踪していた父・宏(勝村政信)との再会を果たす。"牧師"が宏を入院させ匿っているようで、小田切は翔子の自殺偽装事件の真相にまた一歩大きく近づいた。きっと小田切が言う通り、宏は翔子の事件には無関係だと信じたいが、一体宏の身に何が起きたのだろうか。
早くもまどかは小田切の良き理解者になりつつあるように思えるが、それが吉と出るか凶と出るか、このバディの今後の展開からも目が離せない。
文:佳香(かこ)
【第4話(5月19日[金]放送)あらすじ】
小田切渉(福士蒼汰)はついに、失踪していた父・宏(勝村政信)と再会する。だが宏は「私は一体誰なんだ!」と激高。なんと記憶喪失になっていた。病院関係者に経緯を知っている者はいない。入院費用の振込元も調べてみたが、架空の慈善団体で・・・。14年前に一体何があったのか?真相を探る中、裏口入学と引き換えに1千万円を騙し取ったと訴えられている、教育コンサルタント・井手口法子(石野真子)から弁護の依頼が舞い込む。◆番組情報
ドラマ8『弁護士ソドム』
毎週金曜20:00~20:54放送(テレビ東京系)
放送終了後、動画配信サービス「Paravi」でも配信
(C)テレビ東京
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