「サプリ」「&」のおかざき真里の同名漫画を原作に据え、前田敦子が主演を務めるドラマ『かしましめし』(テレビ東京系)の第6話が5月15日に放送された。

本作は、美大を卒業後、同級生の自死をきっかけに再会したアラサー男女3人が、それぞれの人生に悩みながら"おうちごはん"を囲む中、一緒に暮らし始める物語。

かつてのパワハラ上司からの誘いを断れず、食事に行った小田千春(前田)は再びパワハラを受け、思わず店を飛び出してしまい、美大予備校時代の講師・蓮井亮史(渡部篤郎)の家に行く。

蓮井からの連絡でそれを聞いたナカムラ(成海璃子)は動揺し、交通事故で検査入院している雨海英治(塩野瑛久)を見舞い、豪快にカップ麺をすする。日頃は料理上手の千春の美味しそうなごはんが並ぶ本作だが、こういうときのカップ麺の場違いな"美味しそう感"ときたら。

千春は蓮井に好意を抱いているように見えるだけに、英治は「めでたしめでたしやん」と言うが、ナカムラは「めでたいね」と言いつつ、今の3人暮らしのバランスが崩れる不安を語る。「友達の幸せを素直に祝えない、小さい人間ですよ、私は」と言うナカムラに「寂しい気持ちは否定せんでもええと思うで」と英治は言い、ナカムラから奪ったカップ麺の麺とチャーシューを平らげる。こうした罪悪感を打ち明け、本音をさらけだすときのごはんは、健康的なごはんよりも、ジャンクフードのほうが断然気持ちにフィットする気がする。

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一方、蓮井の家に泊まった千春は、突然訪ねた非礼を詫びる。蓮井はいつも夕食をとらず、明け方に寝ていると言い、さらには別居中だった妻との離婚届けに判を押したばかりであることを話す。一夜を共に過ごした2人だが、2人の間には常に薄い膜があるかのように、親密さよりも、一定の距離を隔てた心地良さが見えるのが不思議だ。

そして、英治の退院をお好み焼きで祝う3人。英治とナカムラの恒例の口げんかを見て笑い転げ、3人が楽しいと言う千春に、英治は先生とのことで遠慮しなくて良いと言う。蓮井は千春にとって、嫌なことを忘れさせてくれる人だと思ったためだが、千春は凛としてこう返す。

「忘れないよ。忘れない。自分が受けた理不尽を飲み込んだり、なかったことにはしない」
「自分の未来が悪くなっちゃう気がするから」
「その人に抗議したり不幸になってほしいとかは思わないけど、私は、ただ忘れないでおくんだ」

仕事を辞めて何年経っても心の傷を抱える千春にとって、「忘れない」ことが傷つけられた過去の自分への労りで、責任で、静かな闘い方だったとは。

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そんな千春の強い思いと呼応するように、英治も自分なりに前に進んでいた。愛嬌があるから営業に向いていると言われ、営業の仕事も懸命にこなしつつ、入院中から再び絵を描き始めていた。絵を否定されるのではないかという怖さを抱えながら。

あるとき、データ保存を瀬川榮太郎(若林拓也)に教えて欲しいと千春が言ったことから、蓮井にも声をかけ、一緒にごはんを食べる話に。蓮井を誘いに来た英治は、絵を描き始めたことと共に夜通し描いた絵を朝に見ると「つまらん」と感じる違和感を蓮井に打ち明ける。

すると、蓮井はそれを当たり前だと言い、変わったのは絵のトレンドでも時代でもなく「君の目だろ」と指摘する。営業に異動になるまで、会社のデザイナーとして律儀に努力し、成果を上げて来た英治の目はすでに「選別する職種の目」になっていて、それは作品を作る側にとってはストッパーになるという。

目の前のことをきちんとこなす英治の真面目さ、器用さが、大切なモノから遠ざかってしまうという、生きる上での不器用さにつながるのが切ない。

そして英治は、「千春のことを宜しくお願いします」と蓮井に頼むが、蓮井は「君が思っているようなこと(関係)とは違う」と否定し、自分に性欲がないことを明かす。蓮井の誰も拒まない、傷つけない、それでいて内側に入り込ませない独特の距離感の理由が、この一言で腑に落ちる気がした。

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一方、英治が怖さを抱えつつも絵を描き、前に進み始めたことに勇気をもらい、ナカムラも恋人・田口祐也(倉悠貴)への本当の思いを確かめようと、旅行に誘う。2人で刺身の舟盛りを頼み、田口が調べておいてくれた絶景スポットを堪能し、旅を楽しんでいたはずのナカムラ。それでもやはり一緒に眠ることはできず、夜中に田口を残して、1人去る。帰り道に英治に電話をしたナカムラは、元カレとは一緒に寝られた理由がわかったと言い、こう話す。

「あいつ、浮気してたからだ。全部の感情が私にむかってたわけじゃなかったから」

どこに進むでもなく、ただ同じ場所で、ただ寄り添うことの難しさを痛感する3人。しかし、3人の絶妙なバランスの答えが、実はそこにある気もするのだった。

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文:田幸和歌子

【第7話(5月22日[月]放送)あらすじ】

蓮井(渡部篤郎)から絵のモデルを頼まれた千春(前田敦子)。"描かれる側"に立つことに戸惑う千春だったが、ナカムラ(成海璃子) と英治(塩野瑛久)に背中を押され引き受けることに。一方、"自分には何もない"という気持ちを抱えるナカムラは、旅行に行って以来、距離を置いていた恋人の田口(倉悠貴)と再会する。更に、再び絵を描き始めた英治は、想いを寄せる榮太郎(若林拓也)から作品を見せてほしいと頼まれるが・・・。

◆番組情報
ドラマプレミア23『かしましめし』
毎週月曜23:06~23:55(テレビ東京系)
※5月22日(月)の放送は「世界卓球2023」中継のため、放送時間変更の可能性があります。
地上波放送終了後、動画配信サービス「Paravi」でも配信

(C)「かしましめし」製作委員会