毎週金曜22:00からTBS系で放送中の山田裕貴主演の金曜ドラマ『ペンディングトレイン―8時23分、明日 君と』。同じ電車に偶然乗り合わせた見ず知らずの乗客たちが突如、電波が通じないうえに水も食料もない荒廃した世界にタイムワープし、極限のサバイバル生活をしながら懸命に生き、元の世界に戻ろうとする姿を描く、完全オリジナルの予測不能のヒューマンエンターテインメントドラマだ。今回、高校の体育教師・畑野紗枝を演じる上白石萌歌にインタビューし、撮影現場の裏話や共演者である山田裕貴、赤楚衛二の印象などを聞いた。

――放送が始まってから、周囲の反響はいかがでしょうか?

SNSとか拝見していると思った以上に皆さんがいろんなことを考察してくださっているのが分かって嬉しいです。私達が考えもしなかったような考察というか、そんな細かいところまで見てくださってるんだなと思うような気付きとかあって、毎日すごく丁寧にいろんなところをこだわりながら撮影をしているのが皆さんに届いているなという実感があります。

特に第1話冒頭で紗枝が赤ちゃんを抱いてホームを走っているシーンは既にいろんな考察がたくさん出ていて。はあんまり気にしてなかったですけどキャリーバッグの大きさとかそういう細かいところもしっかり見て考えていらっしゃる方もいたので、本当にすごいなと思いました。

――撮影現場の雰囲気はいかがでしょうか?

撮影を重ねる度に、あて書きなんじゃないかと思うくらいそれぞれの演者さんの良さがキャラクターにも反映されているなと感じています。例えば米ちゃんを演じている藤原丈一郎さんは、どんなときもムードメーカーでいてくださるというか、場を和らげて盛り上げてくださったり、加藤を演じている井之脇海くんもすごく博識な一面があっていろんなこと教えてくれるんです。

あと、今後の見どころの一つとして乗客たちのチーム感が増していくというのがあるんですけど、それがナチュラルに出来上がっていっているなと感じています。劇中で乗客たちが徐々に結束していくように、私達も結束が増しているのがすごく分かるので、これまで一生懸命"サバイバル生活"をしてきた甲斐があるなと感じています。

――現場ではどのようなことで盛り上がっているのでしょうか?

最近は本の貸し借りがすごく流行っています。和真を演じている日向亘くんがすごく読書家なんですけど、本屋大賞を取った本を教えてくれたり、弘子さんを演じている大西礼芳さんはすごく漫画が好きでおすすめの漫画を貸してくださったりするんです。日向くんがおすすめしてくれる本を読み回して、「あれどこまで読んだ?」「あそこはどう思った?」って聞き合ったりもしていて、それが学校みたいですごい楽しいです。

柔らかい方が多くて、年齢差も全然気にならないですし、男女比でいうと男性の方が多い現場なんですけどそういうのも全く気にならなくて、雑談するときは本当にくだらないことばかり話してますけど(笑)、とても雰囲気のいい現場だなっていつも感じています。

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――本作で印象的だったシーンは?

第1話で直哉が1人で崖から落ちそうになって、私と優斗が引き上げた後の山田さんの表情がどうしても忘れられなくて。本当に死ぬかもしれなかった自分と、今引き上げられて生きてる自分の"生きてる実感"みたいなものを表現されていて、山田さんのお芝居の凄まじさ、熱量を間近で感じて、最後まで座長である山田さんに付いていきたいなと思いました。

赤楚さんはすごく目で語る方だなと感じているんですけど、言葉がなくとも目を見ると何が言いたいかわかるというか。お芝居中も赤楚さんの目の力にすごく助けられたシーンがありました。1人ずつ自分の過去について話すシーンでは紗枝が「優斗の言葉に救われた」と言った後の赤楚さんの目がすごく素敵な目で。これからもこのサバイバル生活の中で、優斗に支えられていくんだなという先が見えたんです。山田さんや赤楚さん、皆さんの演技によって自分が引っ張られているというか、自分が思ってなかった感情が引き出されている感覚があります。

ドラマってたくさん撮るべきものがあって、時間のない中でできることって限られてると思うんですけど、この作品はスタッフさんもキャストもお芝居のことを真摯に考えてくださる方が多いので、「私もこうしてみよう」とか自分がわからないところは誰かに相談しようと思えたり、"お芝居を届ける"ということに熱意がある現場だなと感じているので、私も最後まで熱を持ってお芝居をしていきたいなと思います。

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――井之脇さんとは共演経験が多いですが、本作でのご印象はいかがでしょうか?

1年に2回ぐらい毎年共演しているのもあって、海くんがいてくれると安心しますし、同時に、身が引き締まる思いもあります。この前一緒に作品を作っていたときの自分よりももっと成長していたいなと、海くんに会うたびに思うので、安心と緊張が同じぐらいある感じです。共演経験が多いので、演技をする自分のことをずっと見てくれている存在でもあるし、私も見ている存在でもあるので、より良い自分でいたいなと思いますね。

海くんは初めて会ったときからすごく大人っぽくて出来上がっているなと感じていたんですけど、役者としてさらに職人っぽくなっているなという印象を受けて。今回の役も知識が豊富で何年もそのことをやって突き詰めている役なんですけど、それをさらっとこなしてしまう力があるのですごいなと。私も負けじと海くんの素敵さについていけるように成長していきたいなと刺激を受けています。

――これまで放送された中で、注目して見てほしいシーンは?

乗客の皆さんと大勢で作り上げるシーンの臨場感はもちろんなんですけど、直哉と優斗と紗枝の心のやり取りみたいなシーンが毎話必ずあって、3人のシーンはより丁寧に繊細にお互いの気持ちの受け渡しができていると思うので少人数のお芝居もじっくり見ていただけたら嬉しいなと思います。3人でお互いの役についていろいろ意見を出し合っていて、特に山田さんは「紗枝は本当はこうなんじゃないか」とか、山田さんから見たその役のことを話してくださったりするんです。そうやって3人で意見の交換をずっとし続けることで、劇中での関係性がどんどん深まっていく感じがあるので3話以降もぜひ注目してほしいです。

あと乗客の皆さんの個性がすごく面白いので、1人1人この人はどういう人なんだろうとか、本当はこの人こういう人じゃないんじゃないかとかじっくり見ていただけたらより楽しめるんじゃないかなと思います。

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――最後にメッセージをお願いします。

3話では電車の中でみんなで過ごす時間も長くなって、これまでになかったような生活感、ここで私達はしばらく生きなきゃいけないんだという覚悟が芽生えるような回になっています。どんどん乗客の皆のチーム感も出てきますし、そんな中で私が演じる紗枝がちょっとしたトラブルを起こしてしまう回でもあって、そんなトラブルを通して結束力が高まっていくのを感じていただけると思うのでぜひ見ていただけたら嬉しいです。

◆放送情報
金曜ドラマ『ペンディングトレイン―8時23分、明日 君と』
毎週金曜22:00からTBS系で放送中。
地上波放送後には、動画配信サービス「Paravi」でも配信。
また、Paraviオリジナル「ペンディングトレイン~終電後トーク~」も独占配信中。
(C)TBS