テレビ東京系にて放送中のドラマプレミア23『かしましめし』(毎週月曜23:06~)。『FEEL YOUNG』(祥伝社)で大人気連載中のおかざき真里による同名漫画を原作に、美大を卒業後、同級生の自死をきっかけに再会したアラサーの男女3人が、それぞれの人生に悩みながらも、みんなで集まっては賑やかな"おうちごはん"を囲み、やがて一緒に暮らしていくようになる様子が描かれる。

今回、雨海英治を演じる塩野瑛久にインタビュー。広告代理店のデザイナーとして働いていたものの営業に回されてからは自分のやりたかったことを見失い、なおかつ恋人との関係にも悩まされているゲイの英治を演じる塩野に、役作りや本作にかける想いなどを聞いた。

――この作品のオファーを受けたときの第一印象から教えてください。

まず最初に、「すごく楽しみだな!」と感じました。お話をいただいて、すぐに「やりたいです」とお返事をさせていただきました。

20230417_kashimashi_shiono_09.jpg

――塩野さんご自身と、今回演じられる雨海英治に似ている部分はありますか?

意外と少ないかもしれないです。英治のような明るい雰囲気の持ち主でもないですし、若干涙もろい部分はありますが、感情も彼ほど豊かではない気がします。ただ、不思議と気持ちは分かるというか、すっと入ってくるような人間性だと思いますね。

――"すっと入ってくる"とは、具体的にどのような部分ですか?

特に前半のシーンなのですが、発言のひとつひとつに英治の生きてきた人生が感じられる瞬間がありました。脚本からも、英治がどのように生きてきて、どんなことを考えていたかが伝わってきたので、視聴者の方もきっと同じように思ってくれるんじゃないかなと思います。

――英治を演じるうえで、監督からはどんなリクエストがありましたか?

「どこか愛すべき人になってほしい」と言って下さっていて。千春やナカムラと3人でワイワイ盛り上がっている中でも、英治が一番その場を盛り上げているし、英治特有の関西弁で2人の緊張感や雰囲気を和らげる作用があるので、そういう部分を意識していきたいという話は監督としていました。

――関西弁での演技は難しかったですか?

難しいです。意外なところで(イントネーションが)上がるんだ、下がるんだという部分があって、それによってお芝居が固められるような瞬間も自分で練習している段階ではありました。スタッフさんから「全然大丈夫だよ!」と言っていただけましたけど、いまだに苦戦するところはありますね。

20230417_kashimashi_shiono_10.jpg

――千春役の前田敦子さんやナカムラ役の成海璃子さんと、「どんな関係値を築いていこう」などといった話はされましたか?

意外と2人とそういう話はしていないんです。ただ、僕は2人のことを"あっちゃん""璃子ちゃん"と呼んでいますし、向こうから「タメ口で話そう」という提案をしてくれましたね。現場では、些細なことでもなんでも色んなお話をしています。

――元々お2人に抱いていた印象と変わった部分はありましたか?

あっちゃんは、バラエティ番組などにも出演する姿も拝見していたので、良い意味で印象はあまり変わりませんでした。お茶目な部分とか、色んな質問をしてくれる優しい一面がたくさんあって。あっちゃんのおかげですごく楽しく撮影ができているなと思います。

璃子ちゃんは、すごく意外な一面が出てきましたね。現場で何の話の延長だか分からないのですが、よく3人で歌ったりするんですよ。「おジャ魔女カーニバル!!」とか歌っていました(笑)。そういうときに、なんだかんだ一番テンション上がって歌っているのが璃子ちゃんだったりとかして。先輩ですが、「かわいいな」って思いました。すごくユーモアのある2人で楽しいです。

――印象に残っているシーンや、個人的に好きなシーンはありますか?

(3人で暮らす)家の中ですね。「名言」と言ったら安く聞こえますが、僕が台本を読んでいる中で"刺さる言葉たち"が、部屋の中のシーンで多く出てくるので印象に残っています。

でも、家の外でそれぞれが関わっていく人物たちもたくさんいます。3人はかけがえのない友人であり、同居人であり、心を許し合える仲なのですが、彼らの主軸はやっぱり外の世界にあるんですよね。だから、千春やナカムラ以外のキャラクターたちとのコミュニケーションや何気ないやりとりも、英治のキャラクターを作るうえで大事だなと思っています。

20230417_kashimashi_shiono_05.jpg

――グルメドラマということで、原作漫画でもかなり美味しそうにご飯が描かれていますよね。やはり、そういったところが見どころになってくるのでしょうか?

深夜帯ですし、これを観たらお腹がすく "グルメドラマ"になるということは確信を持って言えますね(笑)。

ただ、それだけじゃないヒューマンドラマがたくさん敷き詰められていて、そこに無理している感じがないんです。各々が自分という人間の在り方に悩んで、恋愛や仕事、周りの環境に日々もまれながら生活しているということが垣間見えて、等身大の人間がそこにいるという感覚に落とし込んでいるドラマだなと思っています。

シチュエーションも共感できる人が多いものになっているんじゃないかな。「この状況でこう言われたらこう返すしかないよね」ということだったり、何気なく外で繰り広げられている会話が誰かの心にずしっと刺さっていたり。自分と重ねる方もいると思うし、逆に「人間の心ってこれだけ繊細なんだな」「自分は平気でも他の人は会話の中で実はこう思っているかもしれない」ということも感じられて、色々な価値観を持った人がいるということを忘れないようにさせてくれるドラマだと思います。

20230417_kashimashi_shiono_11.jpg

――食べながらのお芝居はいかがでしたか?

消えモノがでてきて、それを美味しそうに撮らなければいけないというところが難しかったです。「もう一回!」となったときに、料理が出来上がってくるまでに待つ時間があったりして、その"もう1回"をすぐに撮り直すことができないんです。

あと、みんなカットがかかったあともめちゃめちゃご飯を食べていますね。すごく美味しいんですよ。僕も毎回ほぼ完食する勢いで食べています(笑)。

――特に印象に残っているメニューは?

「海老と春雨のタイ風煮」という、エスニックなやつですね。低カロリーながらもすごくボリュームがあって、無限に食べちゃいました。

20230417_kashimashi_shiono_03.jpg

――最近のParaviでは『ブラザートラップ』や『来世ではちゃんとします3』などで色々な塩野さんの姿が見られるのですが、今回はまた一味違った役どころということで、どんな面を見せていきたいですか?

最近はそういう、翻弄するみたいな役が続いていたので、またそうではない一面が見られるんじゃないかなとは思っています。「かっこよくいなきゃ!」という感覚は持たずに挑めています。

――英治には辰也という恋人がいますが、塩野さんご自身、辰也のような恋人はいかがですか?「こういう人に振り回されたい!」と思うことはあったりするのでしょうか?

僕は平和が好きなので、お酒を飲んでグデンとなって帰ってくる人ってダメではないけど・・・うん、やっぱり平和がいいです(笑)。揉めたりするのは疲れちゃいますね。

――英治は辰也のためにカレーを作ってあげたりもしますが、塩野さんは恋人のためにどんなことをやってあげたいですか?

なんだろう?でも、料理は作ります。僕が食に関しては色々と気を付けているので、低カロリーデザートみたいなものも作れるし。写真とかもいっぱい撮りたいなと思いますね。あとは、もれなくアニメ好きになれるという特典があります!

20230417_kashimashi_shiono_06.jpg

――『かしましめし』とは"一緒にワイワイご飯を食べる"という意味なのかなと思うのですが、それにちなんで、塩野さんが今一緒に"かしましめし"をしたいメンバーは?

この間、すごく良い会が開けたんです。NCT 127のYUTAくん、BE:FIRSTのRYOKIくん、THE RAMPAGEの川村壱馬の4人で。僕にとっては友だちとご飯にいくっていうのが久々だったので、その会は楽しすぎましたね。幸せでした。

――ちなみに、どんなお話をされたんですか?

「もうそういう時代じゃないよね」「これからは、こうだと思うんだよね」とか、そういうことばっかり話していたかな。過去を振り返るというのはあまりなくて、この先の話をいっぱいしたのと、あとは現状報告。たしか全員が今季のドラマに出ているんじゃないかな?だから、どんなふうに撮っているとか、現場の雰囲気とか、そんな話をしていました。

20230417_kashimashi_shiono_07.jpg

――塩野さんご自身も今回すごく新しい役柄に挑戦されましたが、次にやってみたい役柄もしくは役者以外のお仕事はなんですか?

最近言っていたのは、"ヒモ男"になりたいなって(笑)。

――というのは・・・それは役柄で、ということですよね?

じゃあ、それはご想像にお任せします(笑)。

――最後に番組を楽しみにしている方々に、メッセージをいただければと思います。

"ぜひ見ていただきたい!"というのが、まず一言目にくるドラマです。テレ東公式さんからは、"孤独じゃないグルメ"という宣伝文句が流されていましたが、それを上回るような濃い人間ドラマになると思うので、そこに注目して観ていただきたいなって思います。あとは、深夜に美味しそうなご飯を見て、それを夜の11~12時の時間帯に食べちゃうのか、次の日のご飯にしようかなっていうのは、視聴者のみなさんに委ねるところであります(笑)。

20230417_kashimashi_shiono_04.jpg

撮影:山田健史

スタイリスト:山本隆司(style³)
ヘアメイク:礒野亜加梨

ジャケット ¥308,000-/ニット ¥232,000-/パンツ ¥209,000-/シューズ ¥143,000-(共にAMIRI)
【問い合わせ先】
アミリ / スタッフ△インターナショナル△ジャパン△クライアントサービス
Tel:0120-106-067

◆番組情報
ドラマプレミア23『かしましめし』
毎週月曜23:06~23:55(テレビ東京系)
地上波放送終了後、動画配信サービス「Paravi」でも配信