誰かにつけられた傷を、癒してくれる"誰か"に出会えたら。冴えない毎日に変化をもたらしてくれる"何か"を見つけることができたら。人生は、一気に色づいていくのかもしれない。『俺の美女化が止まらない!?』(テレビ東京/以下『オレ美女』)は、そんな希望を私たちに届けてくれる物語です。

原作は、宙出版のWEBマンガレーベル「コミックWACHA」で人気を集めた愛染マナ氏による同名コミック。かなり印象的なタイトルなので、耳にしたことがある人も多いのではないでしょうか。ドラマ版では、主人公の斉藤晴臣を楽駆さんが演じています。

『夢中さ、きみに。』ファンも驚きの楽駆の憑依力

2021年放送のドラマ『夢中さ、きみに。』(MBS)が大好きな私は、楽駆さん主演と聞いただけでワクワク。だって、楽駆さんの江間がね、最高に良かったんですよ(涙)。なにわ男子の大西流星さん演じる林から、事あるごとに、「僕かわいい?」とウザ絡みをされる・・・という役柄だったのですが、ちょっぴり気だるそうな感じが最高だった・・・! 高校にこんな大人びている子がいたら、絶対にモテるわ〜と思ったけれど、今回のドラマで楽駆さんが演じるのは、女の子と話しただけで赤面してしまう陰キャ大学生。

スタイルの良さ、端正な顔立ち、あどけない笑顔・・・モテる要素が詰まりまくっている楽駆さんが、非モテ男子を演じるの!? と最初は驚きましたが、第1話を観て、やっぱり俳優さんってすごいと思いました。まず、歩き方ひとつとっても、普段の雰囲気と全然ちがうんですよ。自信なさげで、うつむきがち。それも、作り込んでいる感じがまったくないから、楽駆さんって本当はこんな感じなの? と勘違いしてしまうほどのハマりっぷりなんです。

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晴臣が赤面症になった理由が苦しい

「晴臣くんって、女子に給食よそう時、耳真っ赤だね」

初恋の女の子にいじられてから、晴臣は女性と話をすると顔が赤くなってしまう赤面症に悩むようになりました。子どもの時って、悪気なく人を傷つけてしまうことがありますよね。大人になると、"これを言ったら相手が傷つくかな?"とか想像できるようになるけれど、幼いころは思ったことをポンポン言ってしまっていたような気がする・・・。

だからこそ、怖いなと思いました。その女の子もきっと、自分の一言で晴臣が何十年も悩み続けることになるとは、思ってもみないはず。でも、された側の傷は、ずっと残り続けてしまうんですよね。その一言がなければ、晴臣はもっと明るく生きられたのかな? とか、トラウマを抱えずにすんだのかな? とか思うと苦しいです。

『オレ美女』は、希望を届けてくれる物語

第1話で、晴臣に訪れた転機。それは、"女装"との出会いです。下宿先のルールにのっとり、女装カフェ&バー「スピカドール」で働くことになった晴臣は、最初は女装することに対してめちゃくちゃ嫌悪感を抱いていました。でも、恋々乃/九井恭平(阪本奨悟)や、うにぴょ(とまん)が真摯に働き、お客さんたちを笑顔にしていく姿を見て、だんだんと考え方が変わっていきます。

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そして、メイクアップアーティスト・ジュカ(木田佳介)に"強め美女メイク"を施してもらうと、すっかり別人となった晴臣の姿がありました。人との出会い、キッカケさえあればいつでも変われる――。晴臣が、"あのトラウマがあったからこそ、楽しい今がある"と思えるような人生を歩んでくれることを祈りながら、『オレ美女』を楽しんでいきたいと思います。

【第2話(4月12日[火]放送)あらすじ】

大学進学を機に田舎から上京した斉藤晴臣(楽駆)は、下宿先の下にある女装カフェ&バー「スピカドール」で働くことに。そこで働く恋々乃(阪本奨悟)やジュカ(木田佳介)たちからメイクをされた晴臣は女装姿でお店に働くことに。女性と話すと顔が赤くなる赤面症に悩んでいた晴臣だが、女装姿だと女性と自然に会話をすることができた。次の日、恋々乃に誘われ女装用の洋服を買いに出かけた晴臣は、恋々乃からシミラールックがしたいと打ち明けられる。本気で女装することにまだ抵抗があると断った晴臣だったが、百恵(丸山智己)たちから恋々乃の気持ちを聞かされて・・・。

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文:菜本かな

◆番組情報
『俺の美女化が止まらない!?』
毎週水曜深夜3:20~放送(テレビ東京系)
動画配信サービス「Paravi」にて全話配信中

(C)テレビ東京