「前に進むのは、簡単なことじゃない。でも、たとえ立ち止まったとしても、隣にいてくれる人がいればきっと大丈夫」
あかり(久間田琳加)が、そんなふうに思えるようになって、本当によかった! たくさん仕掛けられる"罠"に心を乱されたこともあったけれど、『ブラザー・トラップ』(TBS系)ラストは、すべての登場人物の晴れやかな姿を見ることができました。
さすが、イケメン兄弟を育てた母! 由紀の言葉が響く
サバサバしていて明るくて・・・誰もが憧れる理想の女性像を体現しているのが、成瀬兄弟の母・由紀(NANA/MAX)です。
和泉(山中柔太朗)の彼女として紹介されたあかりが、実は大和(塩野瑛久)の元カノだったと知らされても「何も知らないでごめんなさい」と優しく微笑む。
そんな慈愛に満ちた彼女が言うからこそ、響いた言葉があります。
「誰も傷つけない道を選びたいっていうのは、わがままだと思うの。どれだけ気を遣っても、何かを選んだり、肯定したりする限り、自分のせいで傷つく人は絶対いるから」
たしかに、"誰も傷つけなくない"と泣いている人って、結局は自分がいちばん可愛いだけなのかも。選ばないという選択をすると、責任を負わずにすみますもんね。
でも、選ばれたかった人は、どうなるのだろう。あかりに選ばれるのを待っている大和と和泉は、彼女が決断を下さないかぎり、ずっととらわれ続けることになる。ほら、振る相手に最後にしてあげられることは、ちゃんと振ってあげること、とか言うじゃないですか。
だから、あかりがきっぱりと和泉を選んだことは、大和にとってもプラスなことだと思う。しばらくは傷つくかもしれないけれど、これでちゃんと吹っ切ることができるから。
成瀬兄弟、実は似た者同士?
大和と和泉って、まったく違うはずなのに、どこか似ていますよね。自己犠牲の精神があるというか。"まわりが不幸になるくらいなら、自分が苦しめばいい"と思っているタイプ。そして、それを苦だと感じていないのが・・・。もっと、幸せに貪欲になってもいいのに~と何度思ったか。
大和は、自分のせいで弟が苦しんでいると思い込んでいて、和泉は兄貴ばかりが損をしていると勘違いをしていた。だから、お互いに思っていることを言い合って、"呪い"が解けたようで本当によかったです。
この兄弟、あんまり自分のことを語らないタイプだし、好きな女の子が被らなかったら、ずっと平行線のままだったんじゃないかな。最後に、大和の心からの笑顔も見られて、安心しました。
最後に、「お前、お兄ちゃんのこと大好きだな」と和泉に笑いかける大和、最高にカッコよかった・・・! 「そういうの、ほんとに嫌だから!」と子どもみたいに口をとがらせる和泉も、めちゃくちゃ可愛かったです。
大和と和泉、あなたはどっち派でしたか?
結局、あかりに選ばれたのはまっすぐで分かりやすい和泉でした。飾らなくていい、ありのままでいられる相手が、和泉だったんだろうなぁ。
私もあかりと同じく和泉派だったけれど、もしも大和が近くにいて、あの切なそうな笑顔を見せられた時には、確実に落ちてしまうだろうな・・・と思っておりました。結論、成瀬兄弟はどちらも最強だった!
2人で観た最初の映画『僕と君の最後の約束』の台詞「シロツメクサのイヤリングを持って、必ず迎えに行く」にちなみ、あかりにシロツメクサのイヤリングをプレゼントした和泉。いつの間に、そんなロマンティックなことができるようになったんだ・・・とまるで母のように感動してしまいました。
『ブラザー・トラップ』に登場したすべてのキャラクターたちの幸せが、いつまでも、いつまでも続きますように。
(文・菜本かな/イラスト・まつもとりえこ)
◆放送情報
『ブラザー・トラップ』
動画配信サービス「Paravi」で全話配信中。
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