DMMブックスの人気コミックを原作に据えた、馬場ふみか主演のドラマ『夫を社会的に抹殺する5つの方法』(テレビ東京系)の最終回となる第10話が3月14日(火)に放送された。本作は、夫からモラハラやDVを受けてきた主人公・奥田茜による復讐を描く社会派サスペンスドラマである。

警察から、奥田大輔(野村周平)が自殺を図ったという連絡が入り、茜(馬場ふみか)は病院へと駆けつける。大輔のパソコンには、「茜さん、もう奥田大輔のことは忘れてください。あの男は子どもを流産させたのです。」という文章が残されていたという。

茜は、大輔の病室に通いつつも向き合い方が分からず、出会ってから今まで書き続けた日記を読み返しながら、これまでのことを振り返る。

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遡ること5年、会社の新入社員研修の場で大輔と茜は出会い、交際に至った。お互いに「幸せにする」と言い合うほど仲の良かった2人だったが、大輔の仕事でのストレスをきっかけとして、関係は崩壊し始める。

プレゼンした自分のデザインがなかなか評価されないことで焦りを感じるとともに、孫を望む母親からのプレッシャーも重なり、大輔の心はギリギリの状態にあった。そんな中、残業での朝帰りで連絡を寄越さなかったことを茜に咎められ、逆上してしまう。それからは歯止めがかからず、モラハラやDVを繰り返すようになったのだった。

意識不明のまま眠り続ける大輔の病室には、大輔の父・奥田雅俊(渡辺いっけい)や母・美千子(宮崎美子)、姉・和美(森カンナ)が訪れていた。「ちょっと物事が上手くいかなかったからって何をしているんだ、あいつは。奥田家の恥だ」と怒鳴り散らす雅俊に対し、美千子が「いい加減にしてください」と切り出す。

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これまで、世間体を気にし、大輔に厳しく接してきた美千子だったが、自分たちのせいで大輔を追い込んでしまったとようやく気が付いたのだ。大輔の直接的なトラウマを作り出したのは父である雅俊の暴力だったが、それに気付きながら見て見ぬふりをしていた美千子が、初めて自分の罪を認めた瞬間だった。

そして、大輔が意識を取り戻し、茜は大輔と向き合うことに。お互いにどう切り出すか考えているのか、2人の間に気まずい沈黙が流れる。沈黙を破ったのは、大輔の方だった。

流産させてしまった子どもの記憶が急に蘇り、茜に会う資格がないと思いつつも、会って謝りたいと思ったという。そんな大輔に対し、茜は「大輔さんは本当に子ども欲しかった?」と問いかける。

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大輔は「2人の生活がいつか3人になっても4人になっても、それはそれで幸せだなって思ってた時もある。茜がいれば」と答え、謝罪をする。すると、茜もこれまでしてきた復讐の数々について「あんなやり方間違ってた」と謝り、「生きててよかった」と歩み寄る姿勢を見せる。

モラハラ夫への痛快な復讐劇かと思いきや、YouTuberへの誹謗中傷や親からの虐待など、社会的な問題に対する批判性を感じさせる要素の強かった本作。SNS上では、「途中から切ない展開になったけれど、心に染みた」「ただDV夫に復讐する単純な物語ではなかった」などの声が上がっていた。

また、茜が花束を抱えながら歩き、道路を挟んだ向かいの歩道を歩く大輔を見かけるというラストの演出に対し、「理解が難しかった」との声も多く上がっていた。大輔との話し合いの場で「もう遅いよ」「どうやって生きていったらいいかわかんないねって、もっと2人で話したかった」などと語っていたことからも、お互い別の道を歩み始めたのではないだろうかと考えてしまう。視聴者に委ねられている余白が多いからこそ、最後まで考えさせられる作品だったのだろう。

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文:田幸和歌子

◆番組情報
ドラマチューズ!『夫を社会的に抹殺する5つの方法』
動画配信サービス「Paravi」にて全話配信中

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