テレビ東京系にて、3月24日(金)20:00より放送されるドラマスペシャル『ペルソナの密告 3つの顔をもつ容疑者』。放送終了後、動画配信サービス「Paravi」でも配信される。本作は、妻を殺害された元刑事・獅子舞亘(沢村一樹)が、とある事件の真相に迫る姿を描いたヒューマンサスペンスドラマ。事件の容疑者として浮上した、解離性同一性障害(DID)を抱える青年・元村周太が物語のキーとなる。今回、そんな難しい役どころに挑戦した竹内涼真にインタビュー。役作りや、見どころについて話を聞いた。
――まず、台本を読んで一番面白いと感じた点を教えてください。
僕の人格が変わるところだと思います。それぞれの交代人格は一人ひとりこだわって作ったので、すごく楽しめると思います。
――複数の人格をもつ難しい役を演じるにあたって、準備したことはありますか?
まず、スタッフの方や自分で見つけてきたDIDの資料を読みました。子どもの人格もあるので、DIDの子供たちと触れ合う機会があってヒントを得たり、人格が変わる瞬間は、自分でビデオを撮って何度も確認しました。
ただ、今回は交代人格を作るところが最優先ではないと思っていました。僕の役がこの物語全体においてどういう意味をもたらすのか、目的を明確にすることで、交代人格たちのキャラクターや役割をどういうふうに展開させていったらいいのかが自ずと見えてきました。なので、それぞれの人格を作る準備が大変だったというよりも、すごく複雑な内容の台本を読み解くのに一番時間がかかりました。
――DIDをキャラクターの要素として取り扱っている映画やドラマが国内外にたくさんあると思うのですが、参考にしたものはありますか?
名前が挙がった作品はたくさんあったのですが、良いものはなぞりたくなるので参考にはしていないです。今回は、監督やプロデューサーのみなさんから「こういう症例、こういう物語で、新しいものを」というお話があったので、自分なりに資料をあさって取り組みました。
――監督から、演技についてリクエストされて印象に残っていることはありますか?
主人格からそれぞれの人格にチェンジする瞬間の"目"です。「瞳が変わる瞬間を撮っていきたい」と言ってくださったので、特に意識して撮っているかもしれませんね。
――"目"というのは、目つきが鋭くなったりするような変化のことでしょうか?
出来上がったものを見た人は、「鋭くなった」「優しくなった」と表現するかもしれません。でも、僕としては人格が変わってからの目的を達成するだけなので、そんなに意識していないんです。例えば、主人格から別の人格に切り替わったとき、いきなり交代人格が喋り出すわけではなくて、少し余韻が欲しいということだと思うんですよ。無理に意識していなくても、見ている人からすると、「あ、今変わったんだな」っていう"間"になる。それを、監督が「色とりどりに撮っていきたい」ということだったので、そこには一生懸命応えています。
――主演を務める沢村一樹さんの印象を教えてください。
それぞれの人格で沢村さん演じる獅子舞と向き合うため、僕からあらゆる球を投げさせて頂いたのですが、大きな懐で受け止めてくださるので、沢村さんとのお芝居は楽しかったです。その場で生まれるものがたくさんありますし、僕もあまり事前にいろいろと決めて現場に行かないようにしていました。
――沢村さん演じる獅子舞亘が言う、「人は誰だって、いくつもの顔を使って生きている。」というセリフは、とても印象的ですよね。
みんな知らぬ間に色んな顔を使い分けていると思うし、状況に応じて周りとコミュニケーションをとって生きていくので、自ずと変わってくるとも思います。僕だったら、ドラマを1クールやる中で、それぞれのチームで「こういう佇まいがいいかな」って考えるんですよ。考えていく中で、だんだん順応していくんです。多くの人は、自ら新しい場所に飛び込んで、そこに順応していくことで、自分の新しい一面を見つけることができると思います。
ただ、僕が演じる元村周太という役の場合、主人格はそういうふうに自分の可能性を広げたり、コミュニケーションをとったりということに関してはネガティブです。その中で、心の奥底の扉にしまい込んでしまった本当の欲望や感情を他の人格が体現している。その複数の人格が、実は全て一つの目的に向かっているという感覚なんです。
――主人格の周太以外には、バクやカブトといった人格が登場しますが、それぞれのこだわった部分や、竹内さんが捉えて噛み砕いている部分を教えてください。
カブトは愛情に飢えていて、褒められようと必死になって頑張るんです。バクは、否定され続けてきた分、相手のことを否定して、自分が正しいと思わせる時に出てくる人格。それぞれに、それって自分の場合はどういう時なのかな?と考えながら、紐づけていきました。
――どの人格が入りやすかった、もしくは難しかったというものはありますか?
派手に分厚いのはカブトですね。この人格が生まれた経緯もすごく面白いですし。人見知りな面もありながら、一瞬で暗記ができたり、数学的に天才的な知能があったり、すごく頭が良い。すごいことをしたら、褒めてもらえるじゃないですか。僕は(この人格の発端は)そこからだと思っています。
そうやって愛情に飢えているから、獅子舞に対して、他の刑事とは全く別の扱いをして、すごく忖度をします。それは、彼から愛情をもらうためです。とはいえ、ただ甘えるだけでは面白くないので、カブトの臆病な部分や良くない部分を、カブトと同じ7歳前後の子と戯れながら考えて作っていきました。
また、DIDの子供たちと触れ合う機会があり、彼らと一緒に楽しく遊んでいる中で、色んなヒントをもらいました。
――現場チームの雰囲気はいかがでしょう?
まず、すごく難しい題材を細かく紐解いて、ドラマを作ろうという気合が僕は好きです。僕が感じたこと、思いついたアイデアをすごく尊重して受け止めてくださるチームで。だからこそ色々なアイデアが飛び交いますし、それぞれ各部署がこだわりも持った、すごく良いチームです。
クランクイン前には、人格が連続して変わるシーンのリハーサルもやりました。監督やプロデューサーのみなさんも積極的で、「やろうよ!」と言ってくださったから実現したんです。すごく嬉しかったですし、こうやってちゃんと良い作品が作られていくんだなと感じました。
――竹内さんが今年の4月に30歳を迎えられるということで、30代に向けて頑張りたいこと、こんな30代にしたいということがあれば教えてください。
勉強かな。新しいことをやるというよりは、合間合間で勉強しつつ、精度を高めて、もっと自分の中で理論的に物事を解釈できるように勉強したいです。
――やってみたい役柄や、新しく挑戦したい仕事はありますか?
国内外問わず、いろんな感覚を持っている人たちと一緒に作品を創り上げていく中で、コミュニケーションをとってみたいなって。今はそういうチャンスが増えてきているとも思うので、そのチャンスは逃さず掴みたいなと思っています。
――最後にドラマを楽しみにしている視聴者の方へ、見どころとメッセージをお願いします。
今までにない新しい役に挑戦しているので、見ごたえがあると感じてもらえると嬉しいです。僕から湧き出てくる人間たちの表情を映像で楽しめると思います。色とりどりな交代人格の中で、沢村さんが演じる役との掛け合いや、リアルな"生"感があるキャッチボールを、是非見ていただきたいです。
◆番組情報
ドラマスペシャル『ペルソナの密告 3つの顔をもつ容疑者』
2023年3月24日(金)20:00~21:48放送(テレビ東京系)
動画配信サービス「Paravi」では、放送終了直後より配信開始
(C)テレビ東京
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