【ネタバレ】『夕暮れに、手をつなぐ』空豆のデザインを盗作!?失望からの妙な三角関係

エンタテインメント

2023.03.13

【ネタバレ】『夕暮れに、手をつなぐ』空豆のデザインを盗作!?失望からの妙な三角関係

北川悦吏子のオリジナル脚本×広瀬すず・永瀬廉出演のドラマ『夕暮れに、手をつなぐ』（TBS系）の第８話が３月８日に放送された。九州の片田舎で育った"野生児"のような女の子・浅葱空豆（広瀬）が音楽家を目指す青年・海野音（永瀬）と運命的で衝撃的な出会いをすることから始まる青春ラブストーリーが描かれる本作。

音とセイラ（田辺桃子）のユニット・BPMのデビューが決まり、音は雪平邸を出ていくことに。引っ越し前日、リビングのこたつでゴロゴロしてはお手玉を投げつけたり、音が曲作りを、空豆がデザインをし、そのままうたた寝したりする二人。音は後ろから目隠しされ、「俺さあ、お前のこと･･･」と思いを語り始め胸キュンシーンか？と思いきや、目隠ししていたのは響子（夏木マリ）だった。20代女子と高齢女性の手の感触の違いに気づかない鈍さもさることながら、「後ろから目隠し」というハイテンションな接触を空豆が本当にすると思ったのだろうか。音の告白は天然ぶりゆえに不発に終わり、再チャレンジを試みるも、今度は空豆を捨てた母・塔子（松雪泰子）から届いたメッセージに阻まれてしまう。

BPMの曲「きっと泣く」のMVで衣装に空豆の名を見た塔子が、音を介して空豆にコンタクトをとろうとしてきたのだった。動揺する空豆に音は何も言えなくなり、そのまま別れに。しかし、音が去ろうとしたとき、二階の窓から大きな声が。手作りの垂れ幕と紙吹雪で旅立ちを祝ってくれる空豆は、2人が出会った日のやりとり「なんて名前とー？」を再現。あの時からもう1回やりたい、楽しかったと笑う。「おもろかった。お前とおると、人生退屈せんわ」とテレ隠しのためか妙な関西弁で伝えるのが、音の精一杯の告白だった。

空豆は小さなファッションショーが決まり、コレクションテーマを「Don't remember days, remember moments」（日々ではなく、瞬間を思い出して）に決める。空豆のアイディアの数々に惹かれたパタンナー・葉月心（黒羽麻璃央）は、空豆を「天才」と称賛し、2人で磯部真紀子（松本若菜）のもとにBPMの新たな衣装のプレゼンに来る。そんな2人を目の前にした音の表情は硬い。雪平邸を去る前、空豆に「離れても俺たち何も変わんない、俺も、俺たちの関係も」と約束したはずなのに。2人の距離の近さに寂しさを抱いたのか。さらにセイラも表情を曇らせる。

実は音と曲についてやりとりする最中、偶然開いてしまったセイラのPCのフォルダには空豆の写真がたくさんあった。思えば、セイラが音と空豆に自傷行為を告白した際にも、ずっと一緒にいると約束してくれた音より、セイラは「空豆が笑ってくれたら世界が中和される」と空豆に特別な思いを吐露していたのだ。

一方、空豆が才能を開花させる傍らで、「アンダーソニア」のパリコレのアイディアに行き詰ったデザイナー・久遠徹（遠藤憲一）は、苦悩していた。そんな中、空豆が忘れて行ったバッグから零れ落ちたデザイン帳を見た久遠は、衝撃を受ける。そのまま何やら描き始め、空豆のデザインに刺激を受けたのかと思いきや、なんと空豆のデザインを丸パクリしていたのだ。

久遠の「中の人」（遠藤）のイメージから、こんなにもわかりやすいチープなダメキャラ化するとは思っていなかった視聴者は多く、SNSには落胆の声が続出。しかも、パクられたことを知った空豆が食い下がると、「あのアイディア、俺がカタチにしてやる」と上から目線で言い、さらに責められると突然土下座し、「お前のアイディア、頭の中を全部俺にくれ」と懇願する。「ださか！」と激怒する空豆の声は、そのまま視聴者の声だった。

アシスタントが考え、チーフデザイナーがカタチにするのはよくあることだと柾（小久保寿人）は言うが、空豆は納得できずにアンダーソニアを飛び出す。空豆は音に電話したが、音は出ず、次にセイラに電話し、音に代わってくれと言う。セイラはかつて自分に空豆がしてくれたように、空豆の話を聞こうとするが、パニック状態の空豆は「音はどこ？」「音、どこと？」を繰り返すばかり。空豆が自分ではなく、音を求めていることに寂しげな表情を浮かべたセイラは、仕事が終わったら音に伝えると言い、電話を切った。

さらに、音に会いにユニバースレコードに来た空豆は、セイラと音が抱き合う場面を目撃してしまう。おそらくセイラは空豆への思いと寂しさが溢れ、その思いに気づいている音が励ました場面だったのだろうが･･･。

それぞれの思いが届かず、交錯した、切ない第8話だった。

（文:田幸和歌子/イラスト:まつもとりえこ）