ついにエース(妻夫木聡)と千代田医大の院長兼理事長の剣持理三(鹿賀丈史)との直接対決が観られた日曜劇場『Get Ready!』(TBS系) 第9話。

剣持の娘・玲於奈(結城モエ)が胃癌に冒され、海外の名医たちもお手上げの致命的な状態であることがわかる。エースにとっては因縁の相手・剣持に復讐するまたとない絶好のチャンスであるが、ジョーカー(藤原竜也)は警察の捜査も本格化する今、剣持に接近することはあまりに危険でチーム存続のリスクだと反対し、2人は決裂してしまう。

ジョーカーの制止を振り切り、エースは自ら剣持との交渉を始める。交換条件は全財産とアジア医学会で自身が13年前に犯した罪―臓器移植の不正の告白だ。一人娘の命が懸かっているとあっても、すぐには首を縦に振れない剣持を目の当たりにするにつけ、やはりジョーカーが言う"司法の力で罰する"というのは不可能で、「過去の罪を認めるとしたらこれしかない」というエースの見立ては正しかったのだと思い知らされる。

「自分の欲のために娘を死に追いやるのか。せいぜい己の罪にもがくと良い」

あれだけ名誉欲や自己顕示欲に塗れた剣持も娘の命を懸けられようやく13年前の自身の罪の告白に至った。剣持は関係者の私利私欲のために命を後回しにされ生きることが叶わなかった坂本青葉(志水心音)とその母親の悔しさや痛みが身に染みてわかっただろうか。

エースが玲於奈のオペを終えた頃ジョーカーは「お前もこれで少しは楽になったか?」と呟く。臓器移植の不正事件は剣持やその周囲の思惑によって引き起こされたものではあるが、そもそも「オペは完治の入り口でしかない」とする恩師・真田博(榎木孝明)のスタンスに物足りなさを感じ反発したエースが剣持の下で働くことを選んだことで、剣持のドス黒い感情に真田のことまで巻き込んでしまった。

何よりその不正の裏で蔑ろにされてしまった助かるはずだった青葉の命、そしてあらぬ汚名を被ったまま帰らぬ人となってしまった恩師の無念を噛みしめ、ずっと自身を責め続けてきただろうエースが、当時の自身の少しの慢心が招いたあまりに大きな代償に改めて悔い向き合う姿は何とも言えなかった。

この事件によって誕生した闇医者としてのエースが、今闇医者としてでしか果たせない剣持への復讐を遂げた。しかし、この復讐は真田のポリシーに反する"命の選別"の上に成り立っており、その選別の犠牲になったのが紛れもない青葉という大いなる矛盾を孕んでいるのがまた皮肉だ。きっとエースもこのことに、そして"闇医者"としての限界を感じているに違いないが、一体彼ら"仮面ドクターズ"はどこに向かおうとしているのだろうか。

天野真一からエースになり代わった彼の耳には、剣持の「申し訳なかった。ありがとう」はどう響いたのだろうか。

ついに警視庁副総監の高城(沢村一樹)まで登場し"仮面ドクターズ"の正体に迫ろうとするが、高城はふと捜査員に「奴らが悪党だと思いますか?」という疑問を投げかけており、どうやら彼の中で"仮面ドクターズ"にどこかシンパシーを覚えるところがあるのかもしれない。

そして彼のバックにいる副総理の羽場(伊武雅刀)は第1話でエースに「生き伸びる価値がない」と切り捨てられたことを相当根に持っているようだ。自身の罪の当然の報いを受けた剣持に対して、"仮面ドクターズ"もそろそろ彼らが行ってきた"命の選別"のツケを払う時が来ているのかもしれない。

次回の最終話では、鈴木亮平演じる謎の男の正体も明かされるのだろうか。

(文:佳香(かこ)/イラスト:まつもとりえこ)

【最終話(3月12日[日]放送)あらすじ】

ジョーカー(藤原竜也)不在の中、幼い娘を救ってほしいという母親(徳永えり)から闇医者チームに依頼が来る。

交渉に向かうエース(妻夫木聡)だったが、13年前に救えなかった少女と患者を重ねてしまい、トラウマからオペができなくなってしまう。

一方、高城(沢村一樹)が指揮する警察の捜査は、闇医者チームの目前まで迫っていた。
危険を察知したジョーカーは、自ら取り調べに応じて高城に"ある取引"を持ちかける・・・

◆放送情報
日曜劇場『Get Ready!』
毎週日曜夜21:00よりTBS系で放送。
地上波放送後に動画配信サービス「Paravi」で配信中。
また、火曜ドラマ『夕暮れに、手をつなぐ』とのコラボ企画Paraviオリジナルストーリー「ゲトレ夕暮れ大暴れ」も独占配信中。