松田健(小関裕太)が"元カノ馬鹿"を無事卒業できた『来世ではちゃんとします3』(テレビ東京系)第5話。
フランスに戻る元カノ・華(筧美和子)の見送りに行くことを大森桃江(内田理央)に伝えた松田。傷心中の桃江は、聖羅(ルウト)に手を握られ人肌の温かさに思わず涙してしまう。「どうしたの?何かあった?」なんて優しい声を掛けられ桃江も、全身を委ね全体重をかけて誰かにもたれかかりたくなってしまう。そんな時もある。
しかし、松田と付き合ってからというもの、流されやすい自分とおさらばできつつある桃江。聖羅に迫られても「彼氏と決着つけてからこういうことしたいです」とはっきり"NO"を突きつけられていた。「私、今まで男の人に依存してきて、もう男に頼らないで幸せになろうって決めたのに、今度は聖羅さんに頼ろうとしてしまいました」と謝罪する桃江だが、聖羅だって桃江の異変に気が付いていながら距離を縮めてきたわけだ。
誰だって、簡単には埋まらない寂しさや心の穴を抱えながら生きている。自分でその穴をなんとか塞げたり、誰も傷つけず誰のことも巻き込まず解決できればいいが、そうはいかない時だってある。一人では立っていられない時だってある。
桃江からの素直なリアクションを受けて(大丈夫、男の代用品にされるのは慣れっこだから)と心の中で呟く聖羅も確かに切なく寂しいが、彼女だって桃江のことを「初恋の娘(こ)に似ている」と言い、誰かの面影をそこに重ねている節がある。
もしかするとそれは松田の元カノ・華だって同じかもしれない。
松田から渡仏を断られても尚、「気楽に1年くらい考えてみたら?行ってみたら楽しいパターンかもよ」と引き下がらないばかりでなく、それが叶わないとわかれば、また離れる前に「私たち、いつも肝心なとこで合わないね。大好きなのに」と言い残す。本心なのだろうが、それはどこかで離れた後も相手の気持ちを自分に繋ぎ止めておこうとする鎖のようで、華の弱さでもあるかもしれない。
それを見透かすように松田は華に真っ向から謝る。
「知らない国でずっと1人で耐えて頑張って本当に偉かったね。一緒にいてあげられなくてごめん」
あれだけ強引な華も「一緒にいたい」というシンプルな一言が言えなかったのだ。たとえ松田にフランス行きを断られたとしてもいろんな理由がつけられる。でも自分と一緒にいることを断られては立ち直れなかったのかもしれない。
「俺、今の暮らし本当に気に入ってるんだ。大森さんとの。それに大森さんを裏切って海外移住する方がきっとずっと後悔すると思うし。何よりまだ幸せにできてないから。それにほら、ほら、セックスもしてな・・・」と言いかけた松田の口をそっと抑えて、キスをした桃江。そして華には言えなかった一言を口にする。
「ダメだよ、もう別の人のこと考えちゃ」
微妙な距離感が歯痒かった桃江と松田は屋上のベンチの上で、これまでのその時間や距離を埋め合わせるかのように互いを求め合うが、そこに強風に乗って枯れ葉が吹き荒んでくる。ふと我に返り「帰ろっか」と言い合う2人のこの間の悪さもまた可愛い。
無事本命バレンタインチョコも渡せた上、舞い散る雪は桃江の心の中につっかえていた心配や不安をそっと溶かしてくれるかのようだ。
「ねぇ、今日が人生で一番幸せかも」
「もっと幸せな日作っていこ」
こんな言葉が自然と口を突いて出るほど満たされている2人の様子は幸せそのものだ。
「じゃあいろんな幸せをいっぺんにじゃなくて少しずつ、もっとゆっくり味わいたいから今日は解散しない?」
今ある幸せを噛みしめ確かめるように言う桃江に、松田が重ねる「うん。でももう少し一緒に歩きたいな〜」という散歩のお誘い。さすがに完璧すぎるだろう。この流れが見事すぎる。
急がなくても、焦らなくっても。2人にはまだまだ時間はあるからね。
文:佳香(かこ)
【第6話(2月8日[水]放送)あらすじ】
セカンド童貞・林(後藤剛範)に恋する女装男子・栗山凪(ゆうたろう)はSNSで知り合った柊忍(七瀬公)と会っていた。凪にとって好条件の忍だが、どうしても林のことが諦めきれない凪。忍から告白され、好きな男がいると伝えるが、それを聞いた忍は・・・。一方、檜山(飛永翼)がガチ恋するソープ嬢の心ちゃん(中川知香)は最近仕事を休みがちになっていた。檜山からの連絡や送金を無視し、引きこもり状態に。心ちゃんに一体何が!?
◆放送情報
ドラマParavi『来世ではちゃんとします3』
毎週水曜深夜0:30よりテレビ東京系で放送中
動画配信サービス「Paravi」で毎週水曜21:00より毎話独占先行配信中
(C)「来世ではちゃんとします3」製作委員会
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