藤原季節主演『ギルガメッシュFIGHT』の第4話が配信に。出演者の女性たちやスタッフの尽力により、『ギルガメッシュFIGHT』が真裏で放送されていた五輪開会式を越える視聴率をマークする快挙を成し遂げ、歓喜に湧く中、何とCNNからの取材依頼が! 流ちょうな英語で電話応対するディレクター・加藤竜也(藤原)のスマートな姿がカッコいい!
プロデューサー・栗田淳一(大東駿介)もCNNスタッフにいいところを見せようとするも、取材に応じるのは加藤。英語が話せる加藤を見て、司会の大沢ゆりえ(出口亜梨沙)や出演者の西岡亜紀(真島なおみ)も感心。焦った栗田は2人を食事に誘うが、加藤とサワリー尾中(永野宗典)との先約があるからと断られてしまう。
些細なことではあるが、加藤が注目されることに対して、栗田の嫉妬心が湧きたつ様子が伝わってくる。それが、栗田の"魔王"と称される部分が引き出される引き金だったのかもしれない。
会議では、加藤が新企画を次々と打ち出し、視聴率も好調。番組ファンだという有名人も見学に駆けつけるほどで・・・。だが、そんな見学者たちを見た西岡は、栗田に「ここは、私たちにとって戦場なの。あんなのいたら、女の子たちが集中できない。さっさと追い出して」と忠告。バツの悪い栗田とは対照的に、戦う気概に満ちた西岡が何とも勇ましかった。
番組は好調だったが、その裏で、毎週の新企画と疑似生収録の疲弊がスタッフにのしかかり、現場はパンク状態。しかし、加藤の要求や口調はどんどんきつくなる一方。番組AD・北原(大下ヒロト)からも「最近、加藤さん、やばくないすか? 要求がおかしいですよ」という声も聞こえてくるほどだった。
そんな折、西岡を新しい番組に出すよう芸能事務所会長の二階堂(羽場裕一)から圧力をかけられた栗田。だが加藤は、西岡は『ギルガメ』の看板だからと拒否。加藤が演出する前の『ギルガメ』がひん死状態だったことに触れ(!)、さらには企画を出さないなら会議室から出ていくよう言い捨てる。栗田は、深いため息をついて会議室を出て行ってしまう。
さらに、「出演者が体を張ってやってんだよ、時には心も削ってさ」と構成作家の轟(七瀬公)の企画を酷評し、クビを言い渡す。怒った轟がぎっくり腰になるも、加藤は心配すらせず、何とぎっくり腰から新企画を生み出す始末。「俺、ついていけないわ。ごめん、抜けるわ」と会議室を後にする轟の言葉が、この場の空気を物語っていた。そして加藤は、残ったメンバーにも過酷な要求を突きつけ・・・。スタッフをねぎらうこともなく、自身の番組作りの"正義"を貫こうとする加藤。
栗田は夜遅くまで仕事をするスタッフに差し入れをしてねぎらい、またある時は、ロケ撮影中に警察沙汰になってしまった北原を守るため、自ら動いた。一方、加藤はそんな北原にもきつくあたっていた。
ふと、加藤が言った「番組はプロデューサーのもんじゃない、俺たちディレクターのもんだ!」という言葉が思い出される。番組は一体誰のものなのか、そもそも誰かのものなのか、誰が作っているのか・・・。それはテレビマンの職場だけではなく、多くの働いている人たちが直面することでもあるのではないだろうか? 見ていて、身につまされるものがあった。
金をかけた新企画の収録を見た栗田は、番組の予算もスタッフも少ないことに触れ、「今後、俺の許可なく勝手なことをするな」と加藤に忠告。加藤はたまらず、疑念視していた栗田の"裏金"のことを口にするが・・・。
急遽スタッフが会議室に召集され、栗田はさらなる飛躍のためにと、次回から加藤の下でディレクターをやってきた名高圭介(堀井新太)が演出を担当することを告げる。「は?」と驚く加藤に、栗田は「お前には演出からも番組からも降りてもらう。お疲れ様でした」と通告。名高も「加藤さんのやり方にはもうついていけません。すみません」と頭を下げる。
"魔王"栗田は周囲から根回しをし、加藤を『ギルガメ』から"切った"のだった。タバコを吸いながら何も言わずに出ていく加藤。そのデスクで燃やされた企画案を見た番組APの宇藤くるみ(生越千晴)は「狂気の裏にも試行錯誤があったんですね」とポツリ。スタッフは加藤がいない不安のなかで、番組作りを進めることになるのだった。
人間関係の小さな歪みが積もり積もって、大きな崩壊へとつながった第4話。「カメラは低く、志は高く」と言った栗田の言葉を実行した加藤。その志は、もちろん番組作りを妥協しないということではあるが、それだけではいけないということを痛感させられるものでもあった。
"覚悟"を持ったプロ意識の高い出演者、自身の時間=命を削って番組作りに尽力する多くのスタッフ、番組を実現するために動くプロデューサー・・・改めて"仕事"を成すという尊さを感じずにはいられない。時代背景は違っても、やはり仕事の在り方というのは、いつの時代も一筋縄ではいかない命題なのだろう。
加藤が去った『ギルガメ』にはどんな未来が待っているのか? どう"志"を貫くのか? 『ギルガメ』がどんな答えを見せてくれるのか、期待したい。
文:小松加奈
【第5話(1月28日[土]放送)あらすじ】
テレビ東洋ディレクター・加藤(藤原季節)が「ギルガメッシュFIGHT」を去ってから一年。視聴率は相変わらず高いままである。だが、現ギルガメの演出である名高(堀井新太)は企画ノートに「加藤さんならどうするか?」と書き記していた。加藤が去り、案件や流行りに乗っかった企画ばかりになった「ギルガメ」には愛がなくなり、エロだけが残ってしまった。そんな状況に出演者は徐々にやる気を失っていく。ある日の収録終わりに、ギルガメのMC・ゆりえ(出口亜梨沙)はテレビ東洋プロデューサー・栗田(大東駿介)を呼び出し、番組を卒業したいと告げる。かつて出演者と裏方の熱意と愛に包まれていた「ギルガメ」は、熱を失ったまま終焉を迎えるのか。演出家としての加藤と、プロデューサーとしての栗田の想い・・・。それぞれが出した結論とは。
◆放送情報
Paraviオリジナルドラマ『ギルガメッシュFIGHT』
第5話は2023年1月28日(土)深夜1:15から動画配信サービス「Paravi」にて配信予定。
第1話は無料配信中。
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