興奮とか性欲を抜きにして、ただ相手に触れていたい。ぬくもりを感じたい。生物的に愛おしい。そんなふうに思えるセックスにたどり着いたのは、黎(島崎遥香)と柊人(渡邊圭祐)がシないまま愛を育んできたからこそ。年齢を重ねると、"付き合う=スル"というのが当たり前になってくるけれど、こんなに素敵な関係が築けるのなら、セックスをお預けするのもありなのかも? なんて。『私のシてくれないフェロモン彼氏』(TBS系)は、最後まで愛について考えさせられる作品でした。
"恋とセックスは別腹"な美織が、愛に目覚める日は来るのか・・・?
「柊人くんと致しまして・・・」
黎の告白を聞いた美織(森カンナ)& 衛(堀井新太)は大盛り上がり! 衛は最近まで黎のことが好きだったわけだし、平気なの? と心配になったけれど、どうやら彼の心は美織にあるようで。好きな人としかシない主義だった衛に、「俺をセフレにしてほしい」とまで言わせる美織のテクニックって、どれだけすごいの・・・。ぜひ、講座を開いてほしいところであります。もしかすると、絵画レンタルのお仕事よりも儲かるのでは・・・?
ただ、愛があるセックスはしないと決めている美織には、やっぱり何かのトラウマがあると思うんですよね。「犠牲とか苦労する(恋愛)なら、やめた方がいい」とあそこまでキッパリ言い切るってことは、過去に苦労してボロボロになった経験があるんじゃないかな。美織の繊細な部分にスポットが当たることはなかったけれど、いつか衛にすべてを話せる日が来るといいな。この2人、きっと最終的には結ばれて、愛があるセックスをするようになると思うから。
それに、美織×衛ってそもそもの相性もいいはずなんですよね。「10回シても好きにならなかったら、セフレにしてあげてもいいよ」と言う姉御肌の美織に、「・・・この前のは、10回に入る?」と返すポワポワ天然男子の衛。しかも、衛は律儀なところもあるから「美織が俺のことを好きになってくれるまで、もうしない!」と言い張ったりもする。そんな彼の真面目さに、美織も心を許していくんじゃないかな? と思うんです。
黎と柊人が、"結婚"を選んだ理由
その一方、セックスをしたことで、さらにラブラブ度が増した黎 & 柊人。このまま結婚に一直線! といきたいところだけど、一筋縄ではいかないのが2人の恋。柊人が伊坂から、アシスタントとして海外の撮影に同行しないか? と誘いを受けてしまうのです。もちろん、憧れの写真家のアシスタントになれるなんて、かなりのビックチャンス。でも、年単位で海外に行くとなると、黎と長期間離ればなれになってしまう。後ろ髪を引かれながらも、柊人は伊坂の誘いを断ってしまいました。
そのことを知った黎は、「結婚しない? もう、結婚しよう」とまさかのプロポーズ! 「離れてるのに結婚するなんておかしいかもだけど、でもだからこそ結婚しようよ。お互いを縛ろうよ」。"普通"に縛られていた以前の黎だったら、きっとたどり着けなかった答え。でも、柊人とだから見つけることができた。
「私たちは弱いから、結婚っていう約束を選ぶ。その安心感で、自由な自分たちでいるために」
どこかに登録しなくたって、一緒にいることはできる。愛し合うことだってできる。結婚したら、自由がなくなるのでは? と不安になる人も、なかにはいるかもしれない。でも、黎と柊人は"自由"になるために結婚を選んだ。なんだか、とっても美しいラストだったなと思うのです。しばらく離れてしまっても、この2人なら長い前戯だと思って愛を貯金しておくことができるはず! またいつか、『シて彼』のキュートでポップな仲間たちに出会えることを願って。
(文・菜本かな/イラスト・まつもとりえこ)
◆放送情報
『私のシてくれないフェロモン彼氏』
動画配信サービス「Paravi」で全話配信中。
また、地上波未公開のエピソードやシーンをたっぷり詰め込んだ『私のシてくれないフェロモン彼氏』"もっと寸止め"「限定版」を独占配信中。
- 1