北川悦吏子のオリジナル脚本×広瀬すず・永瀬廉出演のドラマ『夕暮れに、手をつなぐ』(TBS系)の第1話が1月17日に放送された。

本作は、九州の片田舎で育った"野生児"のような女の子・浅葱空豆(広瀬)が音楽家を目指す青年・海野音(永瀬)と運命的で衝撃的な出会いを果たすことから始まる青春ラブストーリーだ。

物語は永瀬廉のMVのような美しい映像から始まり、横断歩道で女性とぶつかった瞬間、イヤホンが落下。拾って再び歩き出すが、音楽が突然途切れ、振り返ると、先ほどぶつかった女性が手を振り、叫んでいる。落下したイヤホンを拾ったときに二人のイヤホンが入れ替わったのだが、実は偶然にも同じ曲を聴いていたため気づかなかったのだ。

こうした小物を使った「偶然」の仕掛けはいかにも北川悦吏子脚本らしい。しかも、二人をつなぐモノが「音」という点は、片耳失聴を公表している北川悦吏子自身の経験も反映されているのだろうか。

そこから二人は何度も運命的な出会いを繰り返す。

公園のベンチでスマホ片手に曲を作っている音の前に、噴水で顔を洗う「野生児」が現れたと思ったら、先ほどの女性・空豆で、音が落としそうになったスマホをキャッチしてくれたかわりにびしょ濡れに。しかし、服を買おうと言う音の提案に、服は乾くからきにしなくて良いと立ち去る。

空豆は幼馴染の婚約者・翔太(櫻井海音)を追って上京したが、他に好きな人ができたという理由で振られてしまう。翔太は空豆がバカにされていたのをかばってくれたり、イジメられるきっかけを救い、人気者に変えてくれたりした「恩人」的存在でもあった。自暴自棄になった空豆は高級ホテルで一番高い1泊30万円の部屋に泊まることにし、高級中華店でフカヒレを食べたり紹興酒を飲みまくったり、荒れ放題に。

一方、音は同じとき、同じ店で、大手レコード会社「ユニバースレコード」のA&R(アーティスト発掘から育成、戦略担当)の磯部真紀子(松本若菜)に「あんたの曲には心がない」とダメ出しされていた。

中華料理店で偶然再会した2人は、さらにその後、橋の上で再会する。婚約指輪を落とし、拾おうとして靴を落とした空豆を、身投げしようとしていると勘違いした音が止めたのだ。

そこから靴を落とした空豆を音が背負ってホテルまで送り届けると、音が怪我をしていることに気づいた空豆が部屋で手当てする展開に。空豆は死ぬ気じゃなかったと言い、翔太が自分の片割れだったこと、いないと息もできないという思いを切々と語る。

音は、空豆がスマホをキャッチしたことで水没から救われた自作のメロディを聴かせるが、空豆は大泣き。その直後、翔太にもう一度会いに行くから一緒に行けと言う。思考回路がどうなっているのかとツッコみながらも、結局、翌日一緒に翔太の家に行く音は、北川ワールドらしい繊細で優しい"巻き込まれ男"だ。しかし、そこにいたのは今カノで、「ごめんなさい! あなたのこと、翔太くんから聞いてました」と空豆に謝罪する。

2人だけの大切な思い出を今カノに話していた翔太に怒りを爆発させた空豆は、帰宅した翔太を、長崎+宮崎+鹿児島ちゃんぽんの九州弁で責めまくる。広瀬すずの狂犬のような感情のぶつけ方は見事だ。それに対して、空々しく東京の言葉で話す翔太の対比は、もう二人が別の世界に住んでいることを明確に示していた。

一方的な婚約破棄で、ウェディングドレスなども準備し、式場等も当然おさえているのだろうから、翔太に慰謝料を請求するというのが普通の思考回路だろうが、ヒロインが決して理屈や正論で行動しないのは、北川脚本ならでは。

音は空豆に田舎に帰ることを勧めるが、空豆が勘違いしたことにのっかり、自分が仮面の人気アーティスト・マンボウだと嘘をつく。そのまま別れたはずの二人だったが、後日、友達もおらず、お金もなく、サウナで倒れた空豆が、音の下宿する雪平邸に引き取られてきたことから、音と「一つ屋根の下」生活がスタート。
 空豆が窓から顔を出し、路上にいる音に呼びかけるシーンをはじめ、『ロングバケーション』を感じさせるシーンが多数あるほか、エネルギッシュなヒロイン×クールで感情を表に出さない繊細そうな男性という組み合わせなど、北川ワールド全開の第一話だった。

(文:田幸和歌子/イラスト:まつもとりえこ)

【第2話(1月24日[火]放送)あらすじ】

空豆(広瀬すず)と音(永瀬廉)
2人の共同生活が始まるー。

お楽しみに!

◆放送情報
『夕暮れに、手をつなぐ』
毎週火曜22:00よりTBS系で放送。
地上波放送後、動画配信サービス「Paravi」でも配信中。