大人になっても残るピュアさは時に厄介で、簡単には割り切れず自分も周囲のことも苦しめる。『来世ではちゃんとします3』(テレビ東京系)第3話では、それぞれがそれぞれの大切な存在のためにさらにもう一歩踏み込んで動き出す様子が描かれた。

まずはガチ恋中のソープ嬢・心ちゃん(中川知香)の欠勤が続きLINEも未読のまま放置されている檜山トヲル(飛永翼/ラバーガール)。居ても立っても居られず檜山がLINEで10万円送金するなり既読になる心ちゃんのちゃっかりとしたたくましさと、この心ちゃんにとっての非常事態にどうにか自身が他を出し抜いて彼女にとって特別な存在になれないかと画策する檜山の攻防は滑稽ではあるが、檜山の行動が100%下心ではないからこそ厄介なのだ。檜山の漫画アシスタントでコスプレイヤーの蜜柑ちゃん(岬あかり)に、ファンと恋愛に発展する可能性がないか一縷の望みを込めて確認するも玉砕。

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「そろそろ面食い辞めないとろくなことにならないっすよ」と檜山に助言しつつも、実は自身も美容整形を繰り返し辞められない蜜柑ちゃん。檜山のことなんてどうでも良いだろうに全く自分に興味のない彼の素振りが面白くなく、そんな彼がハマっている心ちゃんの写真を見て「私なんかと全然違うじゃん・・・」といちいち自身の容姿と比較してしまう蜜柑ちゃんもまた満たされなさそうだ。

「こんなに努力してるのに。痺れるような痛みがずっと続いても、息するのも辛くても。可愛くなるために我慢したのに」

という彼女の心の声は、美容整形沼だけでなく、報われぬ恋をする者の心の叫びにも聞こえた。

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さて、心ちゃんからのLINE既読無視に悩まされる檜山とは打って変わって大森桃江(内田理央)の元にはかつてのセフレたちからこぞってLINEが届く。急に釣れなくなった桃江に群がる元セフレたちという非常に分かりやすい構図が繰り広げられるわけだが、そこに投下した「彼氏ができました。もう会えません」という桃江からの正式広報LINEへのリアクションも実に様々だ。

Bくん(平田雄也)からはわざわざ電話が入り、「桃江ちゃん本命になったらちゃんと他の男切るんだね。意外。彼氏はそんなに良い男なの?」という桃江の本気度を探るような問いかけもくだらないと言えばくだらないが、なんだか既視感がある男女の攻防だろう。筆者にはこの電話でBくんは桃江が彼氏に本気であることが確認できるなり、彼女に自分より優位に立たれてしまわぬうちに、それを認めてしまわなくて良い内に早々に電話を切って退散したようにも見えた。

「彼氏とお幸せに」という社交辞令の一つも言えずそそくさと一方的に電話を切るBくんの余裕のなさが垣間見えるが、桃江はそれぞれとの思い出が一気に蘇ったのかちょっぴり感傷モードに。「セフレなんて体だけの寂しい関係だって言われるかもしれないけど、それだけじゃないんだよな」という桃江の心の声に元祖『来世ちゃん』を感じさせながらも、それが新たなステージに移行していくのを目の当たりにした気がする。

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そして新たなステージ移行前の嵐として元カレ・Eくん(おばたのお兄さん)の襲来が描かれた。もちろんクズっぷりは健在で、もう自分の力では前のように桃江をどうにかできないということを認めたくはないのか最後の足掻きとして「今まで散々クズな俺を許容してきたくせに今さら手の平返しすんじゃねぇよ」と寒々しいことを口走る。

ダッサ!痛。このどうしようもない男に桃江の堪忍袋の緒もついに切れる。

「なめんじゃないわよ!みんなみんな自分のことばっかり!私の幸せとか考えたことあんの?自分の都合よく私を利用することしか考えてないじゃない。"いつでもおいでって言った"だ?私にも都合があんの!状況次第に決まってるでしょ、モノじゃないんだから」

よくぞ言ってやった、桃江!!ここで清々した視聴者も多かったのではないだろうか。

そしてこのEくんとのやり取りはドアの向こうでそれを聞いていた松田健(小関裕太)にもある決意をさせる。海外に留学していた元カノ・華のことを有耶無耶にしたまま桃江と付き合っていてもいいものなのか、あの器用な彼の中での迷いが膨らみ始める。それだけ桃江に本気ということに違いないが、このタイミングで夜中に、しかも電話で、自分がどうしたいか決まっていないことを小出しにするという最もやってはいけないことをやってしまう。実に彼らしくない。

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察しの良い桃江はもちろん「会ってきなよ。まだ引きずってるって言ってたでしょ?会って来て、その上でこれからどうするか決めて」と言ってしまうが、もちろんそれは本心ではなく、そこで「いや、俺には桃江がいるからその必要はない」と言って欲しかったのだろう。

その桃江の願いも虚しく一言「はい」と答えた松田に「松田くんのバカ」と言い残し電話を切ってしまう桃江。あぁ、恋の渦中、付き合いたてのカップルのこのやりとりが実にリアルだった。

電話を切った後"松田くんも遊び人のくせにまだ元カノに本気って何よ"と言いながら、かつてのセフレの名前を挙げて「みんなバカバカ」と泣きながら口にする桃江の姿には、全く同じシチュエーションでなくともきっと身につまされる思いがする女性は少なくないだろう。

痛い、胸に鋭くいつかの痛みが蘇る。「みんなバカ」の後に続くのはきっと「私のバカ」だ。

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既に発表されているがこの松田の元カノ・華役を務めるのは筧美和子。これだけ長く松田の心に棲み続ける華に次話でお目にかかれそうだ。

文:佳香(かこ)

【第4話(1月25日[水]放送)あらすじ】

ある日、桃江(内田理央)は女装男子の栗山凪(ゆうたろう)とラブホテルで女子会をすることに。ジャグジーやカラオケを楽しみながら、互いの悩みを打ち明け、分かち合う2人。そして桃江は元セフレの一人であるDくん(富田健太郎)にちゃんと別れを告げようとする。
一方で、桃江の悩みの原因でもある松田(小関裕太)は元カノの華(筧美和子)と会っていた。付き合っていたころを懐かしむ2人だが、松田は華からあることを提案され動揺する・・・。

◆放送情報
ドラマParavi『来世ではちゃんとします3』
毎週水曜深夜0:30よりテレビ東京系で放送
動画配信サービス「Paravi」で第1話から最新話まで配信中
※21:00より毎話一週間独占先行配信

(C)「来世ではちゃんとします3」製作委員会