大森桃江(内田理央)と松田健(小関裕太)だけでなく、その周囲もなんだか満たされぬ夜を抱えながら生きている様が描かれた『来世ではちゃんとします3』(テレビ東京系)第2話。

元セフレやら元カノからの誘惑を断ち切るべく松田が頼ったのは、処女しか好きになれないセカンド童貞・林勝(後藤剛範)宅。いまだ夢に見るほど元カノの風俗嬢・梢ちゃん(浦まゆ)のことが忘れられずにいる林は一途なんてものではなく、それ以外の誘惑に脇目も振らない。そんな元カノの残像に取り憑かれた林もまた、彼に恋する女装男子・栗山凪(ゆうたろう)にとっては憎くて仕方ないのに恨み切れない、そんな矛盾を引き起こす苦しい存在となる。

「憎ったらしいけどすぐ寝るところは可愛いな」

林の寝顔を前にポツリとこぼす凪の言葉が胸に染みすぎる。誰が悪いわけでもない片想いの連鎖を前に松田も思わず「林、こんなんだけどさ、凪ちゃんに救われてるところ、結構あるよ」と声を掛けずにはいられない。

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真っ当にピュアに生きていても、どうしたって誰かを傷つけてしまうことはあるのだ。どれだけ真っ直ぐ相手を想っても届かないことも、受け取ってもらえないことも。

凪は林の中に生き続ける梢の記憶を、ほんの一瞬、気休めでも構わないから忘れさせようと大胆にも自分から迫るも「そんな気分になれない。俺ずっと辛いんだ。まだ忘れられなくて」という残酷な、だけれども林本人にとっては嘘偽りない痛切な言葉が返ってくるだけだ。大男の口からこんな言葉が飛び出してくれば、それを責めることも嘲ることも誰にもできないだろう。

それでも、わかっていても「僕を傷つけた報いにハグして下さい」と言葉にして言える凪は強い。(馬鹿だな、忘れられるわけないじゃん。一番好きな時に消えた奴なんて。一生忘れるわけないじゃん)という凪の心の声は、林だけでなくもちろん自分自身にも向けられたもので、誰しもの胸の奥底にある"大切な人の不在"にまつわる喪失の記憶や痛みを思い起こさせる。

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さて、想い人に会えないのはスタジオデルタの頼れるリーダー・檜山トヲル(飛永翼)だって同じだ。ガチ恋している風俗嬢・心ちゃん(中川知香)に久々の予約を入れるも、お店側から体調不調で早退してしまったと連絡が入る。彼女の体調よりも自分の欲望を満たせなかったことにガッカリしてしまう自分自身にも、またゲンナリしてしまう。

一方、BL漫画を描いているが恋愛経験がなくリアリティのない作品になってしまうことに悩んでいた"梅ちゃん"こと高杉梅(太田莉菜)。オタク友達で特殊な性癖のエログロ漫画家・リンゴちゃん(小西桜子)にそのことを相談すると、持ち前の観察眼を生かして実体験だけでなく見聞きしたことを描いてみたらいいとアドバイスを受ける。

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猟奇的な表現で興奮する"リョナラー"のリンゴちゃんが脳内でボコボコにして興奮している彼氏とはどれほどのものかと好奇心を刺激された梅ちゃんの前に現れたのは想像とは全く違う風貌の彼氏・たっくん(飯原僚也/ダウ90000)だ。彼の登場やリンゴちゃんカップルのやりとりから、何も実体験がそのまま作品になるわけではないことを梅ちゃんはまざまざと学ぶ。

彼氏の前では赤ちゃん言葉を話しイチャついていたリンゴちゃんも「フィクションで抜いて、現実は優しく愛するのが正解」とリョナラーとしての処世術をどこか寂しそうにこぼす。

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本作に登場する人物は皆どこかに満たされぬものを抱えている。相手がいるいないにかかわらず、相手と相思相愛かどうかも関係ない。心の奥底から本当に満たされている人なんてごくごく一部で、皆何かの不在を抱えながらそれでも寂しい夜をやり過ごしているのだと、滑稽な彼らが寄り添ってくれる。

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さて、次話は心ちゃん本人の降臨か。

文:佳香(かこ)

【第3話(1月18日[水]放送)あらすじ】

ソープ嬢の心ちゃん(中川知香)にガチ恋中の檜山(飛永翼)は最近欠勤続きの心ちゃんの事が気になっていた。そんな中、副業で描いている漫画の書き下ろしの依頼を引き受けてしまい、仲の良いコスプレイヤーの蜜柑ちゃん(岬あかり)を手伝いとして呼び出すことに。
一方、桃江(内田理央)は松田(小関裕太)となかなか一線を越えられないことにやきもきしていた。そんな桃江は松田と真面目に付き合うため、ついに5人のセフレに別れを告げることを決心し・・・。

◆放送情報
ドラマParavi『来世ではちゃんとします3』
毎週水曜深夜0:30よりテレビ東京系で放送
動画配信サービス「Paravi」で第1話から最新話まで配信中
※21:00より毎話一週間独占先行配信

(C)「来世ではちゃんとします3」製作委員会