テレビ東京系にて2023年1月6日(金)深夜0:12より、ドラマ24『今夜すきやきだよ』の放送がスタート。本作は、アラサー女性2人の共同生活を通して、日常生活に当たり前のようにあるジェンダーロールや、婚姻制度、セクシュアリティにまつわる生きづらさに迫る、グルメシーンも満載のガールズムービーとなっている。

今回、仕事はデキるが家事が苦手、結婚願望が強く恋愛体質な太田あいこを演じる蓮佛美沙子と、仕事はスランプ気味だが家事全般は得意、アロマンティックの浅野ともこを演じるトリンドル玲奈にインタビューを行い、役作りやお互いの印象について話を聞いた。

――まず、オファーを受けたときの感想をお聞かせください。

蓮佛:去年『うきわ』というドラマで本間(かなみ)プロデューサーと太田(良)監督とご一緒していて、「また絶対にお仕事したい!」と思っていたのですが、それがこんなに早く叶うとは思っていなくて、そこがまず嬉しかったですね。原作を読んでみて、本当に"今"やるべき作品というか、私たちが生きていくうえで直面する感情をすごくリアルに描いているなと思いました。脚本だともっとコミカルなタッチになっていて、そういうところにも惹かれて、撮影が楽しみでした。

トリンドル:まず、タイトルにすごく惹かれました。「どんなお話なんだろう?」と思いながら原作を読んでいくと、"のほほん"とした空気感は常に流れているのですが、それぞれが直面する、それぞれの価値観での問題が描かれていて。結婚がどうとか、恋愛がどうとか、仕事がどうとか、年齢的にも共感できる部分がたくさんありましたね。「ぜひやりたいな」と思いました。

――ご自身が演じるあいこ、ともこそれぞれに共感した部分や、自分とは違うなと思った部分があれば教えてください。

蓮佛:恋愛体質なところは全然似ていないなと思いましたね(笑)。正直、原作を読んだときには「私自身とは違うな」と思いましたし、今までやってきた役のイメージでいえばともこの方が視聴者の方々も思い浮かべやすいかもしれませんが、そんなあいこ役を任せていただけるのが、すごく嬉しかったです。"感情ジェットコースター"というか、素直に目の前の人や出来事に反応していくあいこは演じていてとても楽しいですね。

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トリンドル:ともこはファンタジーな一面がちょこちょこ出てくるのですが、私もたまに周りから「あれ、別の世界に行ったのかな?」と思われるようなことがありますね。違うなと思うのは、ともこは人と接するときに自分の中で一回飲み込んでから答えを出すタイプなのに対して、私は結構せっかちで、思ったことはその場ですぐ言うタイプ。そういうところはちょっと違いますね。

――それぞれの役柄を演じる際に気を付けているところや、注目してほしいポイントを教えてください。

蓮佛:私に関しては原作のあいことビジュアル的に異なる部分も多いかと思うのですが、私は原作がある以上、そこにひとつの答えがあると思って取り組みたいと考えているんです。作品に入る前にプロデューサーの本間さんから「あいこは太陽やヒマワリみたいな存在であってほしい」と伝えられていたので、そこにプラスして、自分が原作から引き継いでいきたいエッセンスを入れていきました。強く自分を打ち出しているけど、心には自分の物差しと世間的な物差しを両方持っていて、そこを行ったり来たりしているという人間臭さもある役です。これは自分の中の勝手なイメージなのですが、"油絵"のひまわりを意識しています。あっけらかんとした素直さや真っ直ぐさ、人間臭さを感じてもらえたら嬉しいなと思います。

トリンドル:台本を読んで、そんなに感情的ではないけれど芯のある役なんだろうなと思いました。バタバタしているあいこを包み込む優しさは持ちつつ、自分の中で一本筋を通している感じを意識しています。あとは、2人のテンポ感の中で、意外と「おっとりしていて静か」だけじゃないともこも出てくるので、素直に自分から溢れ出るものを楽しんで演じています。それから今回、私ほとんどメイクをしていないんですよ。そんなところも自分の中では結構新しいですし、役作りをする上では、すごく味方になってくれているような気がします。

――食事シーンも多いですが、撮影はいかがですか?

蓮佛:すごく美味しい食べ物がたくさん出てくるので、撮影をしていく中で太るかなと思っていたんです。でも、一口目の「美味しい!」っていう自分の素直な感想でお芝居をしたいなというふうに思うと、その前の休憩でご飯を抜いたりして、常にお腹を空かせておくようになりました。その結果、食べる総量が減っているみたいで、今ちょっとずつ痩せてきています(笑)。

トリンドル:私は、劇中に出てくるご飯が美味しすぎて「もっと撮って、このシーン!」っていつも思っています(笑)。

――辛いことや飲み込まれそうなことがあったときに、どうやって気持ちをリフレッシュさせていますか?

蓮佛:作品が終わったあとや、嫌なことがあったときは、好きなものを作って食べるということはしますね。ハンバーガーやポテトのような「ジャンクフードを食べるぞ!」というときもありますし、から揚げにパスタみたいな組み合わせもやっちゃいます(笑)。健康面とかは考えず、好きなものを好きなだけ! あとは、人と会って会話をすることで発散できるというのもありますね。ネタとして話したらいつの間にか笑っているというか。

トリンドル:私も人に話します。すごく仲の良い人とか絶対にこの人というわけではなく、はじめましての人でも話しちゃうくらい、とにかく客観的な意見が欲しいのだと思います。あとは、飼っているネコに聞いてもらいますね(笑)。うちのネコは、絶対に反応してくれるんですよ。それがすごく癒されて、途中から「もういいっか!」って思えてきます。

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――あいことともこのような、分かり合える女友だちはいらっしゃいますか?

蓮佛:少ないですけど、いますね。よく遊んだりお話をしたりするのは新垣結衣ちゃん。お付き合いも長いですし、何でも話せる数少ない友だちの1人です。何も喋っていなくて、お互いに携帯をいじっていたとしても、そういう沈黙も苦にならないというか、空間ごと楽しめる感じ。具体的に言葉で「ここが好き!」というよりも、「なんか好き」という感覚で、でもこの「なんか」ってすごく強いなと思いますね。

トリンドル:1~2年前にInstagramで知り合ったモデルの新井貴子ちゃんです。貴子ちゃんの『情熱大陸』を見て、私が感動しすぎてDMしたんです! たまたま私のことも知ってくださっていて「大好きです」って言ってくれて、そんなところから一緒にお茶をすることになって。人生の歩み方が似ていて話が合うので、すごく仲が良いです。

――タイトルにちなんで"すき焼き"に関する思い出があれば教えてください。

トリンドル:母が手頃なお肉やお野菜を使って本当によく作ってくれていました。この間、実家でたまたま母子手帳を見つけたのですが、読んでみたら三日に一回くらいはすき焼きを食べていましたね(笑)。

蓮佛:小さい頃のトリちゃんはすき焼きでできているんだね(笑)。

――最後に、この作品を通じて伝えたいことは?

蓮佛:本作にはジェンダーロールやセクシュアリティについてが描かれているのですが、とにかくみんなが心地よく生きてほしいなと私は常々思っていて。自分の大切なものは自分しか守れないし、それは誰かに奪われて良いものではないんだというのは、すごく感じましたね。「こういうことが言いたいんです!」というのを強く押し付けるような作品ではなくて、軽やかに2023年の今を見つめて、寄り添っていける気持ちが持てる作品かなと思います。

トリンドル:「みんなちがって、みんないい」のに、なかなかそれに気づけなかったり、世の中にある価値観に負けちゃったりすることがあると思います。そんな中で、私はこの作品を読みながら、「みんな生きたいように生きて良いんだな」ということを再確認することができました。本当に色々な人に見てもらえたら嬉しいなと思っています。

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◆番組情報
ドラマ24『今夜すきやきだよ』
2023年1月6日(金)深夜0:12放送スタート
放送終了後、動画配信サービス「Paravi」にて配信

(C)「今夜すきやきだよ」製作委員会