山﨑賢人主演の日曜劇場「アトムの童(こ)」(TBS系)の最終話が12月11日に放送された。ゲーム業界を舞台に、若き天才ゲーム開発者・安積那由他(山﨑)が大資本の企業に立ち向かい、周囲の人たちとの交流を経て成長していくストーリー。

第8話では、宮沢ファミリーオフィスによるSAGAS買収計画が進む中、那由他はアトムの技術を守るためにかつての宿敵・興津(オダギリジョー)と手を組み、新たなゲーム作りに奮闘。しかし、株主総会開催直前、興津が顧客データ不正使用の疑いで警察に任意同行を求められ、株主総会は大荒れになったところで終わった。

続く最終回では、興津が警察に行った後、那由他の語りかけによりプレゼンの時間を確保。準備を進める中、世間の注目度が高まるタイミングでの任意同行を訝しく思う興津の秘書・吉崎誠(六角慎司)は、SAGAS内に裏切り者がいると考えていた。

そこで、海(岸井ゆきの)が疑いを向けたのは、元やよい銀行の支店長で、アトム玩具を陥れた「功績」でSAGAS役員となった小山田賢雄(皆川猿時)だ。海は小山田にカマをかけ、興津が警察から解放されたという嘘を吹き込むと、小山田はこっそり抜け出し、宮沢ファミリーオフィスの人物と接触。

その証拠をつかんだ海は、接触現場の動画をもとに小山田に詰め寄り、説明を求めるが、小山田はシラを切るばかり。そこで海は半沢直樹パロディ的に「小山田ぁっ!」と叫んだかと思えば、「勝ち馬に乗って、何が悪い?」と開き直った小山田をグルグル追いかけまわす、懐かしの「月曜ドラマランド」的ドタバタ展開に。

一方、株主総会に、隼人(松下洸平)がSAGASの株を8%保有している大株主・伊原総一郎(山崎努)と共に現れる。宮沢ファミリーオフィスの宮沢沙織(麻生祐未)は伊原の委任状を得ていたが、本人が総会に出席した場合、当然委任状より優先されるわけで、そこで形成逆転のチャンスが到来。

伊原の痒い背中に軟膏を塗った沙織に、シリアスゲーム作りで評価されている隼人が勝った形だが、あとは那由他のプレゼンに託された。

しかし、伊原は、そんなにすごい技術なら、ゲームなんかよりもっとタメになる使い方があるのではないかと手厳しい。そこで那由他は、ゲームの中では年齢・性別・環境関係なく平等だということ、楽しいことに使われるなら市場開放しても良いが、実際は戦争など楽しくないことに使われてしまうと訴える。その那由他のプレゼンに心打たれた伊原は、「私も一度そのゲームをしてみたかった」と呟き、目がほぼ見えていないことを打ち明ける。

伊原という大株主の賛同を得たことにより、SAGASの提案は可決され、さらに那由他は視覚に障がいがある人も楽しめる、新たなゲームの形を目指すことを思いつく。

宮沢ファミリーオフィスの買収計画が潰えたことで、興津は那由他と隼人に礼を言い、忘れていたクリエイティブへの情熱を思い出す。

一方、SAGASでのゲーム作りを続けたい那由他に、シアトルでゲーム開発をするために旅立つ隼人はもう一度別れを告げる。しかし、那由他はゲームの中は世界中つながっていると言い、これからもずっと2人のユニット「ジョン・ドゥ」としてゲーム作りを続けようと言うのだ。

実は遠隔地で共にゲーム作りができるであろうことは、多くの視聴者がずっと指摘していたこと。それに、興津が途中から、那由他に丸投げするだけのポンコツになったこと、ところどころで飛び出てくる「半沢直樹」感や予想通りの安直な筋書きなど、気になる点はたくさんあった。

しかし、その一方、SNSでは山﨑賢人、松下洸平、オダギリジョーを「眼福」として盛り上がる層も常に一定層いた。また、那由他と隼人がくっついたり離れたりを繰り返す恋愛モノとして楽しむ層もいた。これもまた伝統ある日曜劇場にとって、一つの新たなチャレンジだったのだろう。

(文:田幸和歌子/イラスト:まつもとりえこ)

◆配信情報
『アトムの童(こ)』
動画配信サービス「Paravi」で全話配信中。