山﨑賢人主演の日曜劇場「アトムの童(こ)」(TBS系)の第7話が11月27日に放送された。ゲーム業界を舞台に、若き天才ゲーム開発者・安積那由他(山﨑)が大資本の企業に立ち向かい、周囲の人たちとの交流を経て成長していくストーリー。数字ばかりを見て、モノ作りに関心のない興津と、逆にモノ作りへの愛情・こだわりが強く、数字に無関心な那由他は、組んだら案外良いパートナーになりそうだと、第5話のレビューで指摘したが、今週はまさにその予想が現実のモノとなる展開に。

アトム玩具をSAGASに買収された後、海(岸井ゆきの)は那由他と隼人(松下洸平)の力を借りて、新会社「アトムの童」を設立。数年後、アトムは従業員も増え、活気を取り戻していた中、那由他と隼人はゲームクリエイターの交流会で米シアトルから来たティム(モクタール)と出会い、シアトルでのゲーム作りという新たなステージに関心を抱く。

一方、アトムはオモチャ作りを再開しようとするが、付き合いのあった工場に製造を断られてしまう。筆頭株主が投資会社「宮沢ファミリーオフィス」になったことで、子供の安全の為に使われていた塗料を軍事に使用するため、おもちゃメーカーに卸すことを禁じられたというのだ。

その頃、SAGASもまた、宮沢ファミリーオフィスに株を大量取得されている事態に、社長・興津(オダギリジョー)が危機感を抱いていた。そこへ同社社長・宮沢沙織(麻生祐未)が突然やって来て、人工関節技術「アトムロイド」を市場開放するためにゲーム事業を手放すことを要求する。宮沢が登場した途端、弱々しく秘書・吉崎(六角慎司)に同意を求めつつ喋るなど、負け犬感溢れる興津が悲しい。さらに興津は、経産省事務次官・堂島(西田尚美)に相談するが、堂島からすでに見限られていたことを知る。

最高に面白かったのは、アトムの入り口で傘から水滴を滴らせた男のトボトボした足元がスローモーションで描かれた演出だ。この男はもちろんアトムに助けを求めに来た興津だ。

興津はアトムロイドの技術を守るため、オリンピックで初めてeスポーツに選ばれるゲームを作りたい、そのための腕と技術、アイディアが必要だという。成功したらアトムロイドの技術を返すと提案するが、雨に打たれてトボトボ登場したわりに、上からしかモノを言えない興津がもはや可哀想でならない。

当然、卑怯な手でアトム玩具を買収した興津に、アトム社員たちは協力する気がないが、「アトムの技術=アトムの魂」を取り戻すため、那由他はただ一人SAGASに協力することを決める。那由他と隼人がシアトルに経つ3日前だというのに・・・。

隼人はそんな那由他に、かつてジョン・ドゥが興津にパクられたゲームを奪い返すため、SAGASに乗り込んだ自分と全く同じだと言う。そして、「出発が2週遅れるだけ」という那由他に、新しいチャレンジにワクワクする那由他を理解する隼人は、納得がいくまでやり遂げるだろうと言い、別れを告げる。互いが理解し合っているからこその悲しい別れである。

かつての敵と手を結ぶ展開は、日曜劇場の一つの定番。それにしても「宝の持ち腐れ」と言ってアトムから奪った技術を、結局自身が全然使えておらず、「守るためだった」と綺麗ごとを言う興津の情けなさ。

そして、堂島の「この国では真面目にコツコツ働いた人間がバカを見るんです」というストレートな悪役セリフ、様々なモノや技術が次々に軍事に転用されたり、海外に流出したりする危機のわかりやすい描写は、若干チープな感もあるが、おそらく大事なメッセージではある。はたして那由他と隼人、そしてアトムの今後はいかに?

(文:田幸和歌子/イラスト:まつもとりえこ)

【第8話(12月4日[日]放送)あらすじ】

「宮沢ファミリーオフィス」による「SAGAS」の買収問題が浮上する中、「アトムの童」の技術を取り返すためにも、宿敵・興津(オダギリジョー)のもとでゲーム開発をすることを決めた那由他(山﨑賢人)。

隼人(松下洸平)は一人シアトルへ向かうことを決め、二人の溝は深まり、決別することとなった。

「SAGAS」の経営存続を賭けた株主総会までに、新作ゲームの開発に取り組む那由他だが、期日が迫る中、アイデアが浮かばず行きづまってしまう。

不利な状況を察した興津は、最後の頼みの綱である、ある男(山﨑努)の元へ向かうが・・・。
そんな中、運命の株主総会が開幕する。

◆放送情報
日曜劇場『アトムの童(こ)』
毎週日曜21:00よりTBS系で放送。
地上波放送後、動画配信サービス「Paravi」でも配信中。