栄治ィィィィ(八村倫太郎)!!!

神回だった第5話に続き、またもや泣かされてしまった『君の花になる』第6話。今回の胸アツポイントを早速紹介したいと思います。

夢は追い続けるのも、あきらめるのも、苦しい

今回のテーマは、脱退した元メンバー・良介(池田匡志)を軸に描かれた、夢を追うことの難しさ。売れない8LOOMに見切りをつけて、早々に別の道を選んだ良介。しかし、8LOOMは雌伏のときを越えて、念願のブレイク。しがないフリーターのままの良介はその姿が、眩しくて、苦しくて、仕方なかった。

あのケーキも最初から嫌がらせのつもりで買ったわけじゃない。本当はおめでとうってお祝いしたかった。でも、今の自分とかつての仲間の現在地が違いすぎて、どうしてあのときもう少し自分は頑張れなかったのか、今の自分をどうやってあいつらに見せることができるのか、そう考えはじめたらもう逃げるしかなかった。

キラキラしている人に顔向けできない気持ちって、多かれ少なかれあると思うんですよね。僕もある時期までは『熱闘甲子園』を見るのがめちゃくちゃしんどかった。青春という季節をあんなに輝いている人を見ると、自分はもうそこに戻れないことが悔しかったし、自分には二度とあんな熱くなれる瞬間はやってこないことが虚しくてしょうがなかった。だから、良介の気持ちはすんげえわかる。

そして、その上で栄治が放った「僕、ずっと8LOOM辞めたかった・・・」に涙腺が決壊した。良介の今の姿は、あったかもしれない自分のifの世界線。売れない時期を耐えられたのは、自分が強かったからでも、夢への情熱が大きかったからでもない。ただ、順番が違っただけ。他の人が先に辞めたから辞められなかった。こういう気持ちも、部活やバイトで感じた人はいるんじゃないでしょうか。

別に自分は立派なんかじゃない。ネガティブな栄治だから、そんなふうに卑下してしまうのもわかるし、そんな自己肯定感の低い栄治が人知れず8LOOMの武器になろうと頑張っていたことを知って、「栄治はすごいよ!」って肩を抱いてあげたくなりました。

また、そんな栄治を見ている有起兄(綱啓永)の表情がいいんですよ! グッと嗚咽をこらえるように唇を結んで、ただ静かに涙だけが流れている。一瞬で胸を衝かれるような、真に迫りつつも、色気のある顔でした。

そこからの「泣かせに来るなよ!」の泣き笑いがもうたまらない! 個人的には、8LOOMの中でも有起兄はめちゃくちゃキャラ立ちしているな〜と思って見ています。なんだろう。ちょっとした台詞も、台詞以外のところも、一挙手一投足が全部有起兄らしい。

今回で言えば、あす花(本田翼)に「1位おめでとう!」とお祝いされてハイタッチするときのトテトテ歩きとか、「本当はさ、あすぴょんとおめでたパーリーしたかったんだけど」の指ポーズも、ちょっとチャラくて愛らしい有起兄らしさが爆発していて、イキイキと演じる姿に綱くん自身まで応援したくなります。

良介の花を咲かせられる場所は、きっとどこかにある

あと忘れちゃいけないのが、ケンジ(宮野真守)。個人的にはケンジにいちばん泣いちゃったかな。会場に駆けつけた良介の肩を抱いたときの表情も、「8LOOM最高!」と両手を挙げる良介を見て、涙をこらえるようにうつむくところも、胸に迫るものがあった。

僕がもうケンジに近い年齢だからというのもありますが、こういうのってそばで見守っていた大人も辛いんですよね。もっと自分が支えてあげられたら良介は辞めずにすんだかもしれない。もっと言えば、もっと早くに自分が8LOOMをブレイクさせてあげられていたら、今あの場所に良介も立っていられたかもしれない。そういう罪悪感がきっとケンジにもあって。それが、何も説明していないのに伝わってくるような演技でした。

「大丈夫。その痛みはだんだん薄くなるから。完全には消えないけどね」

あの台詞は、同じように夢を追った経験も、夢をあきらめた経験もある元アイドルのケンジだから言える言葉。もうやり直すことはできないし、立っている場所は全然違うかもしれない。でも、光り輝くステージに立つことだけが人生のすべてじゃない。その人その人の花を咲かせられる場所が、きっとある。

「僕たちはきっとまだ旅路の途中さ」

『HIKARI』にそんな歌詞がありました。そう。まだまだ旅は続くのです。夢をあきらめたから人生が終わるわけじゃない。いつか良介も自分だけの花を咲かせる日が来たらいいな。短い出番ではありましたが、そんなことを願わずにはいられない、とても共感性の高いキャラクターになっていたと思います。

『君の花になる』第6話は、夢を追い続ける人も、夢をあきらめた人も、どちらも応援する。どちらの人生も決して間違いなんかじゃないと思わせてくれるお話でした。

寮母とアイドルの恋にモヤモヤするオタクのお気持ち表明

一方、弾(高橋文哉)は弾で膨れ上がったあす花への恋心を「からかって悪かった」と自らセーブすることを決意。ただその動機は、この大事な時期に8LOOMの活動に100%集中できていなかった自分への反省であって、ファンを思ってということではないんですよね。

そんな弾を見ながら、なぜ自分がこんなにもあす花と弾の恋にモヤッとするのか、その理由がわかった気がします。

ぶっちゃけた話をすると、アイドルが恋愛をすること自体はしゃーないとは思うのです。人間ですから。そこを規制する権利なんて誰にもない。もうちょっと時期は考えてほしいとか、せめて人目につかないところでやってほしいとか、言いたいことを挙げれば小室圭さんの自己PR文くらいのボリュームになるので自粛しますが、ただひとつ申し上げるとすると、「もうちょっと弾がファンを大切に思っている描写があった方が良かったのでは・・・?」に尽きます。

第1話から一貫して、応援してくれる人たちに対する弾の気持ちが伝わってこないんですよね。というか、弾の頭の中に全然8LOOMYの存在がないように見える。

落ち目の8LOOMが3年間それでも活動することができたのは、少数とはいえ貴重なファンが熱心に推してくれたからだし、配信で1位を獲れたのも、SNSがバズったのも、あす花のおかげでもなんでもなく、ファンのおかげです。

とある元アイドルの女優さんにインタビューをしたとき、アイドルが他の俳優や歌手と違ういちばんの要素として「応援してくれる人がいて成り立つ職業」と答えていました。その明快で的確な答えに、さすがトップをとるアイドルグループにいた人は違うなあと感動したのを覚えています。

別にオタクがエラいというわけではないけれど、実際問題、応援してくれる人がいないとアイドルは活動ができないわけで。8LOOMはボーイズグループと冠していますが、売り方はどう見てもアイドル。ならば、やはりアイドルとしての美学と葛藤はきちんと描いてほしい。

ファンへの感謝の気持ちと、今自分の中に生まれている恋心が少なからずファンの声援を裏切るものであることへの自覚があって、それでも好きになる気持ちを抑えきれないというのであれば、こちらは所詮しがないオタク。もう何も言いませんとも。推しの幸せを心の底から願います。

真夜中に寮母をおんぶしてもいい(よくない)。
白昼堂々、寮母をハグしてもいい(よくない)。
ライブでこっそり寮母だけにファンサしてもいい(よくない)。
ファンの目の前で寮母と相合傘をしてもいい(よくない)。

その上で、8LOOMYのみんな、ありがとう。でも、僕は今心から大切にしたい人がいるんだ。そういう描き方をしていただけたら、こちらもあす花のもとへ全速力で駆け出す弾の背中に「いっけーーー!!!!」とエールを送れた。

火曜22時枠ですもの。恋愛要素が盛り込まれるのは、まあわかる。そして今までもアイドルの恋愛を描いてきた作品はありました。だから、アイドルと恋愛の両立自体はできたと思うんですよ。

でも、『君の花になる』に関して、少なくとも僕の中で恋愛要素がハレーションになるいちばんの理由は、8LOOMYの存在を完全に透明化している(でも、現実では8LOOMを応援するように8LOOMYをめちゃくちゃ煽ってくる)ところかなと、6話まで拝見して思いました。

とは言え、この先もあす花と弾の恋愛模様が盛り上がっていくことは既定路線。これ以上、モヤッとボールを投げ続けたところで、もはやそれは運営に当たり散らすオタクになってしまう。なので、ここらで一旦思考を切り替え、ここからは寮母とアイドルの恋を応援していきたいと思います。

弾、おめぇ、癒えない傷を抱えたあす花のために咲く、君の花になれよーーー!!!!(号泣)

(文・横川良明/イラスト・まつもとりえこ)

【第7話(11月29日[火]放送)あらすじ】

弾(高橋文哉)の高校で行われた8LOOMのライブに駆けつけるも、過去のトラウマから校門の前で動けなくなってしまったあす花(本田翼)。

そんなあす花を弾が心配する中、メンバーたちの発案であす花をサプライズで労う「寮母感謝デー」が開催されることに。

そのころ、あす花は香坂(内田有紀)から、寮母としての弾との関わり方に関して釘を刺され、より一層弾への思いを封印しようと決意していた。

そんな中、弾の母校から生徒たちへ向けたビデオメッセージの依頼が舞い込む。
撮影に訪れた教師・池谷(前田公輝)は、あす花が学校を辞めることになったある出来事について、弾たちに話し始め・・・

◆放送情報
『君の花になる』
毎週火曜22:00よりTBS系で放送。
地上波放送後、動画配信サービス「Paravi」で配信。
『8LOOM ROOM~君花アフターパーティー!』も配信中。