遂に⼤⼿製菓会社の御曹司・富⼠崎宰(犬飼貴丈)から主人公・陽芽(大原優乃)への告白が見られた動画配信サービスParaviのオリジナル連続ドラマ『-50kgのシンデレラ』第6話。

おそらく海外帰りの従姉妹と一緒にいる現場を目撃しあまりに絵になる2人の様子や、高校生の頃好きな男子に自分の好意を皆の前で笑われたトラウマなどが蘇り、宰からの真正面の告白を受け止められない。

宰が"人探し"について「無理に探そうとはしない」と宣言したのも、おそらく"ぽちゃこ"と陽芽が同一人物だと気づきつつも、それをひた隠しにしようとする陽芽に何らかの事情があるに違いないと配慮してのことだろう。それにいつまでも"過去"の思い出ばかり追い求めるのではなく、今感じている自分の本音を大切にしたいという決意表明でもあったのではないだろうか。

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しかし、好意が叶わないことはあれど、それを皆の前でバカにされ笑い飛ばされる経験がどれだけ根深く陽芽の中に傷を残しているか、まざまざと思い知らされる。陽芽の剥き出しの心の柔らかい部分をぐしゃっと潰してしまい、ここぞという時の勇気や自信を彼女から根こそぎ奪い去ってしまったのだ。当時の陽芽がこれ以上自分自身を傷つけまいと、防衛本能から予防線を張りにくるのだ。「私のこと好きになる人なんていないよ。宰さんはただ太って目立ってたから覚えてただけ。なのに優しくされたからって自惚れて」と。これ以上傷つけられまいと心を凍らせる。

どれだけ宰が「これだけはわかって欲しい。俺は真剣だってこと。好きだ。俺は陽芽さんのことが好きだ。どんな君でも」だと伝えてくれようとも「私みたいな人間は最初から部長に相応しくありません」と、互いの気持ちよりも釣り合いや他者評価、他人から見た時の勝手な感想ばかりが先行して頭を過ぎる。宰が言葉だけでなく、陽芽の喜ぶ顔が見たいと低糖質コースを提供するレストランに食事に誘い出してくれ、好意を行動で示してくれているにもかかわらず。

いつまで経っても主語が自分ではなく、第三者目線でばかり話すのは遠回りな断り文句にも聞こえかねないし、自分の確かな気持ちを軽んじられたようにも感じられてしまうのも無理はない。

「それなら君は誰なら俺に相応しいって思うの?(中略)誰が相応しいなんて決めるの?俺が誰を好きかって気持ちはどうでもいいって君も言うの?」

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自分を大切にできないと、ここぞという場面で相手のことを大事にできないのかもしれない。傷つかまいと自身を守ることに必死になりすぎる余り、相手の気持ちも知らぬ間に悪気はなくとも試してしまうような行動を取ってしまうことは、控え目でいることでも謙虚であろうとすることとも違う。親友・宮野加奈⼦(谷まりあ)が度々促してきた"誠実さ"はそんなことではないだろう。

陽芽が宰に対しても、自分自身に対してももうあと一歩思い切って踏み込めますように。目の前に差し出された優しさや好意の裏なんて嗅がずに、額面通りに受け取れるようになりますように。

(文:佳香(かこ))

【第7話(11月21日[月]放送)あらすじ】

富士崎幸(犬飼貴丈)から告白された佐伯陽芽(大原優乃)。しかし過去の恋愛のトラウマや、宰に向けられる他人の目線を気にして断ってしまう。落ち込む陽芽を元気づけようと、 加奈子(谷まりあ)はダイエットの知識と新商品のヒントを教える。無事新商品のプレゼンを成功させた陽芽だったが、 なかなか気分は上がらない。すると同期の田嶋(綱啓永)から、 大口契約の祝いにと二人で夕飯に誘われる。ダイエットメニューのある店で食事をしていると、高校時代に陽芽が好きだった坂口(青木瞭)と偶然再開。陽芽に失礼な態度をとる坂口を田嶋は追い払い、陽芽に幸とのことを尋ねる。宰を諦めようと無理して笑う陽芽を見かねて、田嶋は陽芽に「好きだ」と伝える。告白を受けた陽芽は自分の本当の気持ちに気づき・・・。

【第8話(11月21日[月]放送)あらすじ】

佐伯陽芽 (大原優乃) は、企画したイベントが成功したらもう一度話す時間が欲しいと富士崎宰(犬飼貴丈)に伝える。ところが発注先のミスにより、イベントで配る商品サンプルのパッケージ納品が間に合わないことが発覚する。窮地に立たされるが、陽芽は持ち前の手先の器用さを活かして、手作りのラッピングを作成。宰や田嶋(綱啓永) など部署の皆と力を合わせて、 イベントは大盛況で幕を閉じた。イベントに来ていた加奈子 (谷まりあ)から背中を押された陽芽は、宰に全てを打ち明ける。

◆放送情報
Paraviオリジナルドラマ『-50kgのシンデレラ』
毎週月曜深夜25:35よりTBSほかで放送。
動画配信サービス「Paravi」では、全話配信中。
(C)Paravi