山﨑賢人主演の日曜劇場『アトムの童(こ)』(TBS系)の第4話が11月6日に放送された。ゲーム業界を舞台に、若き天才ゲーム開発者・安積那由他(山﨑)が大資本の企業に立ち向かい、周囲の人たちとの交流を経て成長していくストーリー。今回は、紆余曲折を経てアトム念願のゲームがついに完成する回となった。
「アトム玩具」を再建するため、那由他らは新ゲーム「アトムワールド」作りに励むが、完成を目前に、突然データが消えてしまう事態に。インド人投資家へのプレゼンは、10日後に迫っており、それまでにゲームを復元できなければ、融資は到底受けられず、会社は倒産してしまう。一同が慌てる中、那由他はバージョン管理ツールのことを思い出すが完全に復元させるには1カ月かかってしまうという。
そこで、那由他は外注を提案。海(岸井ゆきの)がゲームイベントで名刺交換をした相手に、社内で手分けして連絡をとり、手伝ってくれる人材を集める。しかし、会社に来て作業してほしいと言う隼人(松下洸平)と、それぞれで作業してデータをクラウドにあげる進め方で良いと言う那由他の意見が対立。隼人はバラバラに作業すると出来上がりもバラバラになると主張するが、2人は口論になってしまい、会社をうまくまとめられない海は社長の難しさを痛感、落ち込んでしまう。
その頃、ゲームのデータだけが消えた不自然さから、専務の八重樫(でんでん)は財務担当・鵜飼(林泰文)の仕業ではないかと疑っていた。鵜飼はPCを使える上、インターネット検索サービス「SAGAS(サガス)」にアトム玩具の特許を売ることばかり勧めていたためだ。
一方、ゲーム復元の外注はうまく進まず、結局、アトム内でやることに。理由は、そのほうがワクワクするから。実は外注を提案した那由他も仕上がりにこだわりたい思いは隼人と同じで、効率重視のために自分が大人になろうとしただけだったのだ。
また、他の社員たちはインド人投資家が日本の玩具が好きだということに気付き倉庫に眠っていた金型をもとに往年のフィギュアを復活させることに。
しかし、一致団結してゲーム作りに邁進する中、ただ1人、不穏な動きをしている人物が。鵜飼はプレゼン目前に、「やよい銀行」支店長・小山田(皆川猿時)に呼び出され、データを再び消去するよう命じられていた。実は家族を盾に(?)脅されていたのだ。データを消去したのはやはり鵜飼だった。
板挟みに苦しむ鵜飼はプレゼン前夜、PCに近づくが、泊まり込んでいた那由他が目を覚ます。警戒心ゼロの那由他は、鵜飼を疑う様子もなく、逆にみんなに助けられている、何回失敗してもやり直せば良いと言う。その言葉は鵜飼に届いたのか。那由他が席を離れた隙に鵜飼は再びPCに触れるが・・・朝4時の薄暗い空間の中に広がる緊張感が今後の展開を決めるのだと思うとドキドキさせられる。
いよいよプレゼン当日。PCをインド人経営者とアトム社員全員が見守る中、そこに現れたのは消去された画面ではなく、データ消滅前よりもさらにワクワクするゲームだった。
"じいちゃんず"が往年のフィギュアを復活させ、アトムがこれまでに作ってきたジオラマを各方面から取り寄せ、それを那由他と隼人が写真に撮って、データを取り込み、背景に使った。天才ゲーム開発者「ジョン・ドゥ」のデジタルスキルに、アトムの長年のジオラマ作りのアナログな温もりが加わり、これまでにない新しいゲームが誕生したのだ。インド人経営者はその出来に大満足で、歴史に残る名作になると太鼓判を押す。
しかし、その頃、鵜飼が命令に背き、アトムに寝返ったことで小山田は激怒していた。そんな中、那由他はトラブルでストップしていたデータを鵜飼が再試行してくれたことに感謝を述べるが、鵜飼は自分が消去した犯人であると打ち明け、土下座する。
しかし、そんな鵜飼に海は「その分働いてもらわないと」と言い、隼人も「結果、良いモノができた。そうなると、トラブル最高!ってなっちゃう」と笑う。お人好しだらけのアトム玩具は温かく微笑ましい一方で、さすがになぜセキュリティ対策をしないのか不安になるが・・・
事態は一件落着。だが、SAGASの社長・興津(オダギリジョー)は次なる一手として、政府の支援を得て、ゲームのリリースを一手に管理する許可を得ようとしていた。これは独占禁止法違反にならないのかという声もSNSには散見されたが・・・。
それにしてもデータを消去させるなど、やることがいちいちセコイのに、SNSでは「興津、最高!」「興津、悪役ぶりが似合う」などなど、興津ファンが増加している。不思議な悪役人気が高まるオダギリジョー効果、恐るべし!
(文:田幸和歌子/イラスト:まつもとりえこ)
【第5話(11月13日[日]放送)あらすじ】
「アトム玩具」初のゲームがようやく完成した。販売に向けて早速、配信サイトに申請を出すが、どのサイトからも審査で弾かれてしまう。
理由がわからず途方に暮れる那由他(山﨑賢人)たちに、興津(オダギリジョー)は「SAGAS」が運営する世界最大のゲーム配信サイトで新作ゲームを扱わないかと持ち掛ける。
興津の力など借りたくない那由他たちは、自社のホームページで細々と配信を開始。アトムワールド体験会のイベントも開いて販促用のゲッチャリロボを配るが、ゲームの売り上げは一向に伸びない。それどころか「SAGAS」の力の大きさを痛感するばかりだ。
万策尽きた「アトム玩具」・・・。そこに、一通の問合せメールが届く。
◆放送情報
日曜劇場『アトムの童(こ)』
毎週日曜21:00よりTBS系で放送。
地上波放送後、動画配信サービス「Paravi」でも配信中。
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