帰る家ごと変えてしまう"鍵遊び"の次には合同温泉旅行に行く仁科夫婦と森尾夫婦の様子が描かれた『夫婦円満レシピ～交換しない？一晩だけ～』（テレビ東京系）第6話。

そして遂に森尾真司（黄川田雅哉）が抱える闇が明かされた。仁科志保（佐津川愛美）が"何だか不安定"だと言っていた真司の心はやはりあの母親の過干渉によって歪にねじ曲げられていた。今回も、森尾夫婦が宿泊すると聞きつけて旅館に子宝祈願の象を送りつけてくるような無神経かつ自己中心的な母親の支配下にずっと身を置いているのは厳しすぎる環境だろう。

彼はラマーズインポテンツではなく、パイプカットを受けていた。何でもできる格好良い父親が亡くなってしまうなり、その代わりに母親に依存され始めたという真司は、自分がどれだけ頑張っても父親のような完璧な男性にはなれないことを思い知らされ、すっかり自信を喪失、自己嫌悪に陥ってしまったのだという。出産に立ち会った際に、自身が嫌いな自分のコピーが生まれることに恐怖を覚え、パイプカットをしたようだ。

長年にわたって自分自身としてではなく、もう帰らぬ誰かの身代わりとして振る舞うことを暗に求め続けられてきたら、そりゃあ誰だって自分を押し殺してしまうだろうし、そんな中ではなかなか健全な"自己"は形成されにくいだろう。彼はこの合同温泉旅行を通して、彼自身のことを求め、受け入れてくれる存在がすぐ隣にいることにようやく気づけたようだ。

あそこまであからさまに後継ぎを生むことを求める母親を前に、妻の裕子（橋本マナミ）も自身の務めのために"子作り"としてだけ自分を求めてくるのだろうと真司は思ってしまっていたのかもしれない。確かに自分自身を受け入れられていなければ、なかなか愛する人の前でもありのままの自分を曝け出せすことは難しいものなのだろう。真司は"自分の妻が他人に抱かれているのを見て妻への欲情を取り戻す"という夫婦交換の効能の前に、まず"自分には裕子を抱く資格がない"ということが先立ってしまっていたようだ。

裕子沼にハマってしまいかけていた浩介（千賀健永／Kis-My-Ft2）はいくら人が良いとは言えその流されやすさには不安が残るものの、きちんと真司に裕子の異変について伝えていたのは流石である。自己保身よりも相手のために動ける浩介の優しさはここでも発揮されていた。

ある意味、母親からの歪な愛情の呪縛によって奥底に閉じ込められ追いやられてしまった真司の本音と秘密は、常識的な日常を過ごしていては引き出すことも打ち明けることもできなかっただろう。このややこしくこんがらがってしまった心の綻びを一気に解くのに夫婦交換（スワッピング）は有効な手段だったのかもしれない。

さて、次週は志保のママ友・安藤ちはる（柳ゆり菜）が何やら危ない橋を渡ろうとしているようだ。予告編で窪塚祥子（板谷由夏）に「魔性の男」と紹介されていた医大生・柏木智也役の松本怜生はABEMAの人気恋愛番組『彼とオオカミちゃんには騙されない』で抜群の存在感を発揮し、その後『石子と羽男―そんなコトで訴えます？―』（TBS系）にもゲスト出演を果たしていた若手俳優。彼がどんな役どころを担っていくのかにも注目したい。

文：佳香（かこ）

【第7話（11月16日[水]放送）あらすじ】

仁科志保（佐津川愛美）のママ友・安藤ちはる（柳ゆり菜）は夫の祐樹（和田雅成）と結婚する際、お互い干渉しないというルールを決めていた。干渉はしないものの、ちはるは祐樹の浮気を疑っていた。
そんな中、ちはるはSNSで出会った友達と会うことに。しかし、ずっと女性だと思っていた友達は18歳の若いイケメン男子だった。若い男子の柏木智也（松本怜生）に驚くちはる。ちはるの前に現れた謎のイケメン、智也の正体とは･･･？

◆放送情報
ドラマ Paravi『夫婦円満レシピ～交換しない？一晩だけ～』
毎週水曜深夜0：30よりテレビ東京系で放送
※11月16日（水）は深夜1：10からの放送となります。
動画配信サービス「Paravi」で21：00より毎話独占先行配信

(C)「夫婦円満レシピ～交換しない？一晩だけ～」製作委員会

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