実はひと目惚れした者同士だったことが明かされた主人公・佐伯陽芽(大原優乃)と⼤⼿製菓会社の御曹司・富⼠崎宰(犬飼貴丈)の不思議な"人探し"が始まった。動画配信サービスParaviのオリジナル連続ドラマ『-50kgのシンデレラ』第3話では、もう存在しない、というよりも、ずっと目の前にいる人間のかつての姿を探し求める奇妙な旅が描かれた。
宰がずっと想い続けているのが50キロ減量する前の"ぽちゃ" 陽芽だったことがわかるも、それは自分だと言い出せず、あろうことかその人探しに協力すると申し出てしまう陽芽。陽芽自身が体型のことにばかり引っ張られているあまり、宰について「昔の自分が好き=ぽちゃ専」の可能性さえ浮上し、その当時とは違う見た目になった今の自分に幻滅されないかと心配してしまうのだと言う。さらには、その頃の自分に戻るために敢えて太ることにまで思い至る陽芽は完全に頑張るベクトルを履き違えている。元々"自分なんかと釣り合うはずがない"という思い込みも手伝って、なかなかの恋愛迷子ぶりだ。
そんな彼女に対する親友・宮野加奈⼦(谷まりあ)のアドバイスはいつだって的確だ。「太ってる時も今も中身は変わらないんだから、外見じゃなくて陽芽自身を見てもらわなきゃダメなんじゃないの?」と、相手に合わせて自分を変えるのではなく、今の自分を見てもらう必要性を説く。せっかくダイエットに成功し、「胸を張れる自分に」なったと思いきや、中身は自信がないままの陽芽は、結局痩せていようが太っていようが"外見"に囚われ続けてしまっているのが何とも皮肉でもある。かつての自分の特徴と言えばまず念頭に"太っている"がくるようで、それ以外の魅力を自分自身でも把握できていないのだろう。
ただ、陽芽の嘘をついてでも"2人で一緒に過ごすこの時間が続いて欲しいと願ってしまう"という気持ちには心当たりがある視聴者も少なくはないだろう。好きな人を騙している罪悪感や素直になれない歯痒さ、この時間がいつまでも続くわけではないと頭ではわかっている不毛さはあれど、理由がどうであれ、もう会えなくなってしまうことを恐れるあまり、本音が言えない、核心に触れられないというのは片想い女性共通の切なる悩みかもしれない。
さて、今話陽芽への好意が見え隠れしたのは同期の田嶋凌介(綱啓永)だ。そして彼が陽芽への好意を滲ませたことに反応し、宰の中でも芽生え始めた彼女への想いがより大きくなり本人が自覚的になる副次効果ももたらされた。宰の歓迎会の最中、陽芽の隣をずっとキープし、必要以上にボディータッチをしたり、帰りも送っていくと譲らない凌介の様子に、宰がすかさずカットイン。
心配のあまり普段よりも強めに口出ししてしまう宰の言葉は、陽芽にはあくまで上司としての業務上の注意に響くようで、歯痒くなった宰は遂に本音をこぼす。「悔しかった。陽芽さんが美味しそうに食べてるところを田嶋が見てると思うと取られたみたいで」とほぼ告白のようなことを口にしたが、これにはいくら鈍感な陽芽も、紛れもなく今目の前にいる自分自身に宰が好意を寄せてくれていることに気がついただろう。
そう言えば、宰の企画が通ったことを自分のことのように喜んでいた彼の同期で、陽芽の教育係の先輩・清水美和(南りほ)も今後ライバルとして存在感を強めてきそうな気配を感じる。
(文:佳香(かこ))
【第4話(10月31日[月]放送)あらすじ】
歓迎会終わりに富⼠崎宰(犬飼貴丈)からかけられた言葉に、佐伯陽芽(大原優乃)は勇気づけられる。ぽちゃ専疑惑のある宰に、今の瘦せた自分を好きになってもらうよう、陽芽はより一層ダイエットや仕事に励むようになる。その頑張りを見ていた宰は重要な仕事を任せることに。しかし無理がたたった陽芽は職場で倒れてしまう。宰に心配をかけて意気消沈した陽芽だったが、加奈子(谷まりあ)から体調管理と無理しないダイエットのアドバイスをもらい、無事職場復帰。責任を感じていた宰も胸をなでおろす。一方、陽芽は同期の田嶋(綱啓永)から、仕事が成功したら二人きりでご飯に行かないかと誘われ・・・。
◆放送情報
Paraviオリジナルドラマ『-50kgのシンデレラ』
毎週月曜深夜25:35よりTBSほかで放送。
動画配信サービス「Paravi」では、全話配信中。
(C)Paravi
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