山﨑賢人主演の日曜劇場『アトムの童(こ)』(TBS系)の第2話が10月23日に放送された。本作は、業界を舞台に、若き天才ゲーム開発者・安積那由他(山﨑)が大資本の企業に立ち向かい、周囲の人たちと関わりつつも成長していくストーリー。

老舗玩具メーカー「アトム玩具」社長の一人娘・富永海(岸井ゆきの)は、"ゲーム業界のバンクシー" 「ジョン・ドゥ」の一人・那由他の協力を得て、新生"アトム玩具"が始動となる。しかし、もう一人のジョン・ドゥ、菅生隼人(松下洸平)は、かつて彼らのゲームを奪ったインターネット検索サービス「SAGAS」の社長・興津晃彦(オダギリジョー)と手を結ぼうとしていた。はたして隼人の真意は? 

そして今回は、那由他と隼人がなぜ決別したのか、彼らの過去が明かされる展開となった。

那由他から一向に新しいゲームのアイディアが出てこないことにしびれを切らした海は、ジョン・ドゥの再結成を促すが、那由他は拒否。そこで新たなパートナーを探すべく、ゲームイベントに行くが、即席パートナーとして現れたのは、奇しくも隼人だった。

しかし、那由他はその場を去り、隼人も那由他について「ゲームを捨てたはずのヤツが、今は大好きな会社(アトム玩具)で大好きなゲームを作ってる。いい身分ですね」という皮肉を放つ。海が隼人を引き込もうと開発中のゲームを見せると、隼人は一瞬食いつき、「働き蟻。指示を与えると任務を遂行する、みたいな?」というヒントを呟くが、再結成の話は拒否。さらに、ジョン・ドゥ名義でSAGASから新ゲームをリリースすると告げるのだ。

仲間に引き込みたいからとはいえ、開発中のゲームを他人に見せる海の軽率さには驚かされるが、さらに存在を知ったばかり&本人と短時間会話しただけで「隼人くん」呼ばわりする距離感にも、「あの二人はまた一緒にゲームを作るべきなんだよ!」と力説する思い込みの激しさにも、アトム玩具を任せて大丈夫なのか不安になる。

しかし、海の暴走は止まらない。二人の溝の理由を探るべく、ネットカフェの森田(岡部大)を訪ね、かつて二人には仲良しの公哉(栁俊太郎)という存在がいて、ケンカばかりの二人の緩衝材になっていたこと、二人の才能を信じていたことを聞く。しかも、ゲーム開発の資金集めに奔走した公哉が、興津に相談。そこでゲームを見せたことでパクられ、別名で先行販売されてしまったことで、責任を感じた公哉が自殺。那由他は公哉への償いとしてゲーム業界を去り、隼人はゲームを続け、「人に踏みつけられる人生はこりごり」「敵対するよりはなから勝ち馬に」とSAGASと手を結ぶことにしたことが明らかになっていく。

海はこのときの公哉と同じことをしたわけで、さぞ肝を冷やしたろうと思ったが、そんな気配はない。ただし、公哉が「後悔はない」と言いながら辛そうだったこと、悔しそうだったことなどを那由他に伝えたのは良い仕事ぶりだった。

那由他は公哉の母(戸田菜穂)に会いに行き、隼人の気持ちがわからないと話す。そこで、隼人が前日に来ており、ジョン・ドゥのゲームを取り戻すためにSAGASと契約するつもりで、その契約が今日だと聞いたことで、契約を阻止するべく、隼人を必死で探す那由他。ここからはほぼ恋愛ドラマのような展開が繰り広げられる。

隼人を見つけた那由他は、裏切りだと誤解していたことを謝り、言ってくれなきゃわからないと言い、「そんなことのためにSAGASに入ったのかよ!?」と尋ねる。それに対する隼人の「そんなこと!?」という憤りも、那由他と公哉と過ごした時間が特別だったという語り口も、「バカだな、俺はここにいんだろ?」「また作ればいい」という那由他の返しも、恋愛ドラマそのものだ。さらに「もう遅いんだよ」という隼人の返しに至っては、『男女7人秋物語』で大竹しのぶに明石家さんまが言った「もう遅いねや」かと思った。

しかし、契約にサインする直前、『ストリートファイター2』もやったことのない興津のゲーム愛のなさに目を覚まし、契約を撤回。そして、かつて集ったゲームセンターに行き、「スト2」の「対戦相手」として「大技狙いすぎ」の那由他と「ガードしまくる」隼人が再会。共にアトム玩具でゲーム開発をすることになるという激アツな展開となった。

おそらく今後は海が公哉の役割を担う展開になるのだろう。個人的には、ずっとお喋り&茶飲みをしながら、たまにイラストを描くだけの「じいちゃんず」(アトム玩具の従来の従業員たち)が暇を持て余していないか心配だった。しかし、興津の本当の狙いはジョン・ドゥではなく、アトム玩具の特許にあるということもあり・・・今後の「じいちゃんず」の活躍に期待したいところだ。

(文:田幸和歌子/イラスト:まつもとりえこ)

【第3話(10月30日[日]放送)あらすじ】

那由他(山﨑賢人)と隼人(松下洸平)が「アトム玩具」でゲーム作りを始めて10カ月。繁雄(風間杜夫)たちがデザインしたキャラクターはPC画面の中でイキイキと動き出し、経営再建に向け順調な滑り出しをうかがわせた。

ところがその矢先、やよい銀行の小山田(皆川猿時)から突然、融資金の即時返金を迫られる。期限は1カ月。従業員総出の資金集めが始まる。

そんな折、パブリッシャーの晶(玄理)が、投資家とゲームクリエイターをつなぐ大規模プレゼン大会の参加を提案。那由他たちはラストチャンスに賭けるが・・・!?

◆放送情報
日曜劇場『アトムの童(こ)』
毎週日曜21:00よりTBS系で放送。
地上波放送後、動画配信サービス「Paravi」でも配信中。