テレビ東京系にて毎週木曜深夜0:30から放送中の渡邊圭祐主演、木ドラ24『チェイサーゲーム』。本作は、ファミ通.comにて連載中の300万PVを超える同名漫画が原作で、ゲーム開発を手掛ける会社を舞台に、夢・苦労・葛藤などゲーム業界の"ウラ側"を赤裸々に描いたお仕事奮闘ドラマ。本日、いよいよ最終話が放送となるが、これまでのストーリーは全て動画配信サービス「Paravi」でも楽しめる。
今回、漫画原作者の松山洋と上田和範役を演じる浜野謙太にインタビューを行い、本作への思いや最終回の見どころなどについて話を聞いた。
――間もなく最終回を迎えますが、ドラマの放送がスタートしてから何か反響は届いていますか?
松山:やはり放送後は様々な反響をいただきました。テレビの持つ、いわゆるマスに向けた力というのは改めて感じました。漫画「チェイサーゲーム」も、Web上で誰でも見られる状態で連載していたものではあるのですが、やはり公共の電波で放送されるドラマというのは、多くの人に色んな形で刺さるんだな、と。整体師の方に、「観ましたよ」と言っていただいたときは、「おー!」ってなりました(笑)。
浜野:SNSなどで「上田」を検索すると、ドラマをリアルタイムで観ている方々の感情の動きが、上田によって分かるんです。「上田ー!(怒)」とか、「いい奴じゃん、上田!」とか。それが嬉しかったですね。あと、上田のタクシー運賃のエピソード(第5話)が放送されたときなんかは、「これ、松山社長の話じゃない?」って話題にもなりましたね。
松山:ネットニュースにもなりましたからね(笑)。
――浜野さんは上田役を演じてみていかがでしたか?
浜野:本当に、以前からこういう役が出てきてほしかったんです。ダメな人だけど、そんな人が会社にずっと在籍している意味ってなんだろう?というのは、このドラマを通しての出題なんです。ただのコメディ要素ではなく、すごく良いテーマを背負うキャラクターだと思います。
――松山さんから見て、浜野さんの演じる上田はいかがでしたか?
松山:原作に出てくる上田は、仕事のできないただのダメなヤツなのに、その道20年という問題児のキャラクターなんですよね。ですがドラマでは、主人公の龍也(渡邊圭祐)や魚川(東啓介)、社長の松山など濃いキャラクターが物語の中心にいるように見えて、上田の存在が最も視聴者視点になりやすく、共感を生みやすいのだと思います。
とても印象に残っているのは第3話でトランスジェンダーの話がでてくるとき。みんなが「これはこうあるべき」と主張する中で、上田だけが、「そもそも普通ってなんだっけ?」って言うんです。誰もが簡単に答えを出そうとするところを、凡人代表の上田だからこそ悩んでいて、最後に彼なりの答えを出すじゃないですか。そこで、「なるほど、今回のドラマって上田の視点で見ていくのが視聴者にとって一番居心地が良いんだな」と感じましたね。
――松山社長役は、片岡愛之助さんがクセの強い感じで演じていらっしゃいますが、ご感想は?
松山:愛之助さんって私のようにおでこも広くないし、姿かたちはまるで別なんですが(笑)。見た目は違えど、原作漫画の松山が持っている独特のオーラや存在感を纏っていて、実際に見ていると「やっぱり松山だな」と思いましたね。
――ちなみに、浜野さんがもし会社員だったら、松山社長のゲーム会社で働いてみるのはどうでしょう?
浜野:どうなんでしょう・・・怖いですよねえ(笑)
松山:怖くないよ!(笑)
浜野:でもやっぱり、社長が多角的なポリシーを持ってやっていらっしゃるというのは、色々なことが学べそうですし、人生自体が太くなりそうですよね。撮影現場でも引っ張ってくれる監督とか、バンドのリーダーとか、信念があるかないかというのは、やっぱり分かるものなので。
――浜野さんもバンドのリーダーを務めていっらっしゃいますが・・・?
浜野:そうなんですよねえ(笑)。ジェームス・ブラウンに憧れて音楽をやっているのですが、彼はバンドメンバーにすごく怖がられた人なんです。音をはずしたら罰金とか。相当独裁的な人だったようなのですが、私はその独裁感のないジェームス・ブラウンみたいになっちゃってて。みんなに指摘されると、すぐ折れちゃうような(笑)。
――主演を務める渡邊圭祐さんのご印象はいかがですか?
松山:以前から色々な作品でよく拝見していた役者さんではあるのですが、カメラの回っていない時間に何度かお話もさせていただいて。「こんな生き物いるのか!」って感心するほど純粋な方で、物事を真摯に捉えていて、会話していても絶対に否定の言葉が出てこないんです。あんなにシュッとしたイケメンで、魂まで綺麗で、 「そりゃモテるわ~」って思いました(笑)。
浜野:本当にめっちゃいい人なんですよ。目立とうとするタイプではなくて、現場のみんなで楽しくやるというのが根本にあって。話も面白いし、ゲラだし、「楽しませてくれるイケメンっているんだ!」って(笑)。
あと、渡邊くんは声がすごく良いですよね。個人的に龍也がすごくツボなのですが、発する声がすべて計算されているというか。愛嬌のある声やすっとぼけている声、ふいにでちゃった「え?」だったり・・・。コメディにもすごく向いている俳優だと思います。
――ドラマの舞台にちなんで、これだけは負けない!と言えるようなゲームはありますか?
松山:私はゲームのお仕事をやっていますが、ゲームが超下手で。開発の終盤になると実際に遊んで試したりするのですが、だいたい私が3回目のコンティニューで成功すると、「丁度いいバランスだね」って開発スタッフが判断するんですよ。変な目安になっちゃっていますね(笑)。
浜野:僕はゲームが本当に弱いんですよね。最近はオセロも将棋も息子に負けるようになっちゃって。『スプラトゥーン』なんかも勝てなくて、コントローラーを投げたくなっちゃいます。あ、でも『信長の野望』とかは好きかなあ。強いて得意なことを挙げるなら、"泊まっているホテルの部屋番号を絶対に忘れない"ことでしょうか(笑)。みんな忘れるでしょ?
――最終話の放送に向けて見どころを教えてください。
松山:いよいよクライマックスです。ドラマ『チェイサーゲーム』が、漫画とは異なる、どういう結論を出すのかというのは楽しみにして欲しいですね。とてもメッセージ性の強い作品になったと思います。あと、上田の動向にはご注目いただきたいです。まさか最後に上田で泣かされるとは思わなかったですね。正直、参りました!
浜野:僕も最後にかけての展開は新しいな!って思っているのですが、思い返してみると、『チェイサーゲーム』という作品には根底に流れている一貫したメッセージがあって、それに気づかされます。そこで浮き出てくるのが、不思議なことに上田なんですよね(笑)。龍也も会社も完結に向かっていくけど、謎の上田の全貌も完結していくので、そこには注目していただきたいですね。大好きな8話になっているので、是非とも観てください!
【プロフィール紹介】
◇松山洋
ゲームクリエイター/経営者 1970年福岡市生まれ。
九州産業大学卒業後、コンクリート会社の営業マンを経て、株式会社サイバーコネクトツー代表取締役社長。代表作に『NARUTO-ナルト- ナルティメット』シリーズ、『ドラゴンボールZ KAKAROT』、『鬼滅の刃 ヒノカミ血風譚』、『ジョジョの奇妙な冒険 オールスターバトルR』、『.hack』シリーズ、『戦場のフーガ』などがある。「絶望禁止」を信条とするゲーム開発への過剰とも言える熱意と努力は、業界内外で一目置かれている。
一方、エンタメへの強い思い入れ故の歯に衣着せぬは発言が、物議を醸すこともしばしば。
趣味は「仕事」。特技は「仕事」。休みの日は「仕事」。愛称は「ぴろし」。
◇浜野謙太
1981年8月5日生まれ。神奈川県出身。愛称"ハマケン"。バンド「在日ファンク」のボーカル兼リーダー。在日ファンクのデジタルシングル「身に起こる」が11月30日(水)配信、ワンマンライブ「身に起こる the One マン」を12月3日(土)恵比寿LIQUIDROOMにて開催。俳優としては、映画「婚前特急」(2011年)で第33回ヨコハマ映画祭・最優秀新人賞を受賞の他、ドラマ・映画など出演作多数。「つまらない住宅地のすべての家」(NHK)に出演中。映画「雑魚どもよ、大志を抱け!」が2023年3月24日(金)公開予定。
Twitter:@hamaken_bone(https://twitter.com/hamaken_bone/)
Instagram:@ hamaken0805(https://www.instagram.com/hamaken0805/)
◆番組概要
木ドラ24『チェイサーゲーム』
毎週木曜深夜0:30~1:00(※10月27日が最終話)
動画配信サービス「Paravi」にて放送終了後に順次配信
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