就職活動中、会社説明会でひと目惚れをした⼤⼿製菓会社の御曹司・富⼠崎宰(犬飼貴丈)にまた会いたいという一心でなんと50キロの減量と入社をやり遂げた主人公・佐伯陽芽(大原優乃)。動画配信サービスParaviのオリジナルドラマ『-50kgのシンデレラ』第2話では、宰と再会を果たした陽芽に衝撃の事実が突きつけられる展開となった。

今話でも本作で一貫して描かれている主張が繰り返された。それは、必ずしも"痩せている=綺麗"というわけではないことだ。ダイエット期間、なかなか体重が落ちないことに焦り、食事を取らずに倒れてしまった陽芽に親友・宮野加奈⼦(谷まりあ)が大切なダイエットの極意を説く。ダイエットで一番大事なことは「健康になること」であり、「体重を減らすこと」はあくまでのそのための手段でしかない。

大事なのは痩せることではなく、「なりたい自分になること」であり「健康的な心と体を手に入れること」であると度々諭されていた。このスタンスこそが、本作が視聴者にとって不要な美的強迫観念を引き起こさずに観られる由縁だろう。具体的な「持続可能なダイエット法」として「糖質制限」についても紹介され、「GI値」の高い食品への置き換えなどすぐに実践できそうな方法まで伝授してくれているのも本作の魅力の一つと言える。

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さて、「胸を張れる自分になっていたい」という想いで50キロものダイエットに成功した陽芽は遂に憧れの人・宰との念願の再会を果たすも、彼が社長の一人息子、かつ新任の広報部長であると知り、あまりのその王子様ぶりに恐縮し"私とは住む世界が違う・・・"と弱気になってしまう。そんな時にも彼女を支えたのは他でもないダイエットをやり遂げた過去の自分自身であるところも頼もしい。確かにダイエットに限らず、何か一つのことに打ち込みやり遂げた経験や記憶は、その時だけでなく未来に渡って何か壁にぶち当たる度に本人に自信をプレゼントしてくれるものだ。

そして、その時は突然やって来る。街でたまたまぶつかったのが宰で、「ちょっと付き合ってくれないかな? 今だけ恋人同士ってことで」というまさかのお誘いに、近年ある意味ここまでのTHE王道展開は珍しく少々面食らってしまう。誘い出された先は市場調査のための人気カフェだったが、ここで驚きの事実が発覚する。宰が"人探し"も兼ねているとポツリポツリと話す探し人の特徴や出会いのエピソードは、2年半前の陽芽との初対面時の出来事と完全一致し、彼は陽芽が落としていったガラスの靴ならぬストラップを大切に持っていた。あの時、ひと目惚れしたのは陽芽だけではなかったのだ。

なるほど、本家の『シンデレラ』では魔法によって舞踏会仕様にお洒落をしてめかし込んだ姿のシンデレラに恋をした王子様にとって、名前も素性も何も知らない彼女を見つける手がかりとして活躍したのがガラスの靴だった。本作では、あろうことか彼のためにダイエットし別人のような見た目になった後で、実は彼は"元々の自分"を好いてくれていたことがわかるのだ。

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陽芽にとっては願ってもみない信じがたい展開で、宰が他人を外見だけで判断することのない正真正銘の王子であることがわかったわけだが、控え目な彼女のことにその探し人が目の前にいる自分であるとは言い出せなさそうだ。

「他の人たちは見えない線の向こうでただ私を見てるって感じで。でもあの人はその線を飛び越えてきてくれた」とは陽芽が宰について語った言葉だが、そんな彼を信じて今の見た目がどうであれ名乗りを上げてみたらいいのに・・・と思ってしまうのだが、きっと話はそう単純には進まないのだろう。

(文:佳香(かこ))

【第3話(10月24日[月]放送)あらすじ】

富⼠崎宰(犬飼貴丈)が探している女性は、太っていたころの佐伯陽芽(大原優乃)だった。しかし、50kgのダイエットをして見た目がすっかり変わってしまった陽芽に宰は気づかない。陽芽も一旦は両想いであることに喜ぶが、宰がぽちゃ専である可能性や、宰と自分が釣り合わないと思い、宰の探している女性は自分だとは言い出せないでいた。宰と陽芽は"ぽちゃ" 陽芽を探すためにいろいろな店を訪れる。宰は、お互い下の名前で呼ぶように強制したり、陽芽の美味しそうに食べる姿を褒めるが、会話はいつも"ぽちゃ" 陽芽のことばかり。陽芽も会えなくなることを恐れて真実を言えずにいた。苦しむ陽芽を見るに見かねた加奈子(谷まりあ)は、宰の歓迎会で使えるダイエットと恋の秘策を授けるが・・・。

◆放送情報
Paraviオリジナルドラマ『-50kgのシンデレラ』
毎週月曜深夜25:35よりTBSほかで放送。
動画配信サービス「Paravi」では、全話配信中。
(C)Paravi