秋元康が企画・原作を担当する『警視庁考察一課』(テレビ東京系)の第1話が10月17日(月)に放送された。本作は、事件の考察を専門とした部署「考察一課」を舞台とした物語。キャストには船越英一郎、山村紅葉、西村まさ彦、高島礼子、名取裕子、内藤剛志ら、刑事ドラマやサスペンスドラマの"レジェンド"たちが勢揃いしている。
まず、冒頭から圧倒されるのは、画面から溢れ出す予想を超えた"圧の強さ"。リリース記事で宣材写真が並んでいるだけでも濃いのに、動いている迫力は格段の差がある。
また、船越慶一郎(船越)、山村楓(山村)をはじめ、西村まさ雄(西村)、高島誠子(高島)、名取悠(名取)、内藤昌志(内藤)、柳沢慎三(柳沢慎吾)、藤井龍(藤井流星/ジャニーズWEST)、徳永りえ(徳永えり)など、役名も超テキトー。設定も、「元捜査一課の伝説の刑事で、日本全国の崖情報に詳しく、甘いものに目がない」考察一課長・船越や、「全国を飛び回っていた元敏腕刑事で、ミステリーに詳しく、時に推理小説並みの考察を繰り出すことも?」という山村など、遊びまくっている。
そもそも「考察一課」が何かというと、現場の状況や事件資料をもとに、一歩も外に出ずに事件を考察する課のこと。「現場はこの中にある!」と頭を指さす船越は、『踊る大捜査線』の有名なセリフ「事件は会議室で起きてるんじゃない! 現場で起きてるんだ!」と真逆の考えで、なおかつ総力戦で地道に足を使って捜査する他局の人気ドラマ『警視庁・捜査一課長』(テレビ朝日系)とも正反対のスタンスである。と思ったら、「捜査一課」と「考察一課」は仲が悪く、捜査一課のことを「足で仕事する時代はとっくに終わった」と皮肉る。しかも、このドラマにはまさに『捜査一課長』で主演を務める内藤剛志が出ているというオマケ付き。
第1話「パパ活女子殺人事件」では、パパ活をする女性が殺され、その遺体が「手首」「足首」「生首」と、部分ごとにパパたちのもとに届く。こんなにもドラマの中で「生首」が連呼されるのも珍しいが、もっと珍しいのは、甘いもの好きの船越を注意する考察一課の面々による「尿酸値!」の連呼だろう。
そして、会議室から一歩も外に出ないため、崖がわりに脚立が使われるというミニマムな光景は、奇妙な哀愁を帯びていてなかなか良い。さらに、ズラリ横一列で歩く『Gメン'75』的構図があったり、ブラインドを指で押し下げてのぞく『太陽にほえろ!』的仕草があったり、様々な刑事ドラマのパロディてんこ盛りだ。
レジェンドを集めただけあって、長台詞は皆お手の物で、一人一人が順番にトンチキな「考察」を繰り広げる。しかし、オチに困ると「犯人はサイコパス」に落ち着くという展開は、秋元康作品『あなたの番です』『真犯人フラグ』などのオチ「犯人はサイコパス」がネットで盛大に批判を受けたことを逆手にとった自虐だろう。
レジェンドたちの「暴走」「勝手トーク」をまわすのは、芝居の安定感抜群の徳永えり。そして、本作で最も忙しく、最も汗をかき、経験値を一挙に大量獲得できそうなのが、ツッコミまくる藤井流星だ。
ちなみに、事件そのものはどうでも良いし、考察もどうでも良い本作において、第1話で最も輝いていたのは船越が放った以下のセリフではないだろうか。
「欺瞞と忖度だらけの世の中で信じられるものが2つだけある。1つが人間ドックで、もう1つが芦田愛菜さんだ!」
間違いない。
文:田幸和歌子
【第2話(10月24日[月]放送)あらすじ】
船越慶一郎(船越英一郎)、山村楓(山村紅葉)、高島誠子(高島礼子)、西村まさ雄(西村まさ彦)、名取悠(名取裕子)、藤井龍(藤井流星)が揃った考察一課に、至急の考察依頼が舞い込む。人気塾講師ニューチューバー篠宮倫太郎(才川コージ)が、塾の生徒を人質に立てこもったのだ。「生徒を1人ずつぶっ殺していこうと思います」――現在進行中の事件に挑むことになった考察一課。だが犯人の要求は謎めいたもので・・・◆番組概要
ドラマプレミア23『警視庁考察一課』
毎週月曜23:06~23:55(テレビ東京系)
地上波放送終了後、動画配信サービス「Paravi」にて配信
(C)「警視庁考察一課」製作委員会
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