就職活動中、会社説明会で出会いひと目惚れをした⼤⼿製菓会社の御曹司・富⼠崎宰(犬飼貴丈)にまた会いたいという一心でなんと50キロの減量と入社を心に誓いやり遂げてしまう主人公・佐伯陽芽(大原優乃)の努力の結晶が描かれたParaviオリジナルドラマ『-50kgのシンデレラ』が、10月10日にTBSでも放送開始した(毎週月曜深夜25:35~)。
この設定だけ聞くと、"ルッキズム"に囚われた女子がダイエットに精を出す物語にも聞こえかねず危うさを孕んでいるようにも思えるが、本作がそれを免れているのは陽芽がダイエットを決意した宣言にこそ表れている。
「また(彼と)会う時には胸を張れる自分になってたい」「いつもみたいに諦めないで頑張りたい」という心意気で彼女はダイエットに励む。陽芽は決して「痩せて綺麗になりたい」とは一度も口に出さない。このことが「痩せている=美しい」という偏った美的感覚や強迫観念を想起させず、あくまでその原動力は「言い訳せずに諦めず何か一つのことを達成し成長することで自分に自信を持てるようになりたい、変わりたい」という"成長欲"や"変身願望"に根差しており、そのための手段の1つとして"ダイエット"が位置付けられているからこそだろう。
また主人公が自分自身の外見について卑屈になったりせず、家族や親友・宮野加奈⼦(谷まりあ)からの愛情をいっぱいに受け自己肯定感をしっかりと保っているという点もこの物語をカラッとしたものに仕上げている。だからこそ、屈託のない彼女の笑顔や幸せそうにお菓子を食べる姿に宰も目を奪われたのだろう。
初回から宰演じる犬飼貴丈の王子様ぶりが全開で炸裂していたが、特に犬飼ファンからすれば本作は待望のラブコメ作品の相手役ではないだろうか。第25回「ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト」でグランプリ受賞の末に芸能界入りを果たし、その後『仮面ライダービルド』(テレビ朝日系)で主演抜擢、朝ドラ『なつぞら』(NHK総合)出演と"王道サクセスストーリー"の持ち主ながら、近年はひと癖ある役柄が続いていたように思える。さらに恋愛作品となると、『オー!マイ・ボス!恋は別冊で』(TBS系)では主人公の初恋の相手役ながらも浮気癖のある公認会計士を演じ、『サレタガワのブルー』(MBS系/TBS系)では妻に不倫され苦悩する夫役を熱演した。
大手製菓会社社長の一人息子でシゴデキのイケメン御曹司役、かつ誰に対しても分け隔てなく優しく、その言葉に嘘がないパーフェクト男性をキラキラに見せてくれる犬飼。そして、特殊メイクを施しダイエット成功前の陽芽役を体当たりで演じ、変身前後の変化感を体現してくれている大原。減量によって見た目は劇的に変化しても、内面のピュアさはそのまま健在な陽芽の"変わらなさ"も見事に内包している。大原と言えば、『ただ離婚してないだけ』(テレビ東京系)で演じたガールズバーの店員で、自分に得がある方にばかり取り入り、立ち振る舞うあざとくもたくましさのあるほのか役を好演していたのも記憶に新しい。
さて、50キロもの減量を果たし別人に生まれ変わった陽芽は2年の歳月を経て、ようやく憧れの宰との再会を果たすが、彼は陽芽のことを覚えてくれているのだろうか。
(文:佳香(かこ))
【第2話(10月17日[月]放送)あらすじ】
ぽっちゃり女子の佐伯陽芽(大原優乃)は、一目惚れした富⼠崎宰(犬飼貴丈)と同じ製菓会社に就職すべくダイエットを決意。親友の宮野加奈子(谷まりあ)のアドバイスを受けながら、食事の見直しや運動など様々な方法を駆使して、見事50kgのダイエットと就活に成功。広報部に配属される。ある日、広報部の部長として宰が本社に帰社する。宰は社長の一人息子で次期社長候補の御曹司だった。さらに仕事も出来てルックスもよく、男女問わず人気な宰を目の当たりにし、陽芽は思わず尻込みしてしまう。そんな中、休日に偶然宰と遭遇した陽芽は、宰に「ちょっと付き合ってほしい」と言われて・・・。
◆放送情報
Paraviオリジナルドラマ『-50kgのシンデレラ』
毎週月曜深夜25:35よりTBSほかで放送。
動画配信サービス「Paravi」では、全話配信中。
(C)Paravi
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