「皆さんは、赤の他人とセックスをしたことがあるだろうか。私はある。しかも定期的に、夫婦交換をしている。断っておくが私はそういう趣味があるわけではない。夫との夫婦仲も良好だ」

娘・梢(紙崎瑛茉)と戯れながら、主人公の仁科志保(佐津川愛美)があっけらかんと打ち明ける衝撃シーンから始まる『夫婦円満レシピ~交換しない?一晩だけ~』(テレビ東京系)第1話。

"セックスレス大国"日本において、近年"セックスレス"を題材にしたドラマも増えてきてはいるものの、ここまでオープンにその解決に取り組もうとする夫婦の姿に斬り込んだ作品はなかったのではないだろうか。セックスレス夫婦の妻・志保が"妻だけED"の夫・浩介(千賀健永/Kis-My-Ft2)に誘われ「夫婦交換」すなわち「スワッピング」という新たな世界に足を踏み入れていく様子が包み隠さずリアルに描かれる。

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娘の「赤ちゃんが欲しい」という一言に触発されセックスに臨むも、どうしても機能せずひたすら謝る浩介の姿にさらに傷つく志保の様子もまた生々しくリアルで、一度でも拒まれたりセックスできなかったことがさらなるレスを加速させるとはよく聞く話だ。そこでどうにかこの状況を打破したいとあれこれ検索し「スワッピング」という方法に行きつき、志保を説得して一緒に参加しようとするあたり、浩介は実直で嘘がつけない性格なのだろう。

スワッピングの会「ナイトアクアリウム」を主催する窪塚夫婦役がそのどこか怪しげで妖艶な雰囲気、非日常感をよく醸成している。妻・祥子役を板谷由夏、夫・洋一郎役を平岡祐太が務めているが、2人共に相手の警戒心を解きほぐし、いやらしさなく言葉巧みに、少し手を伸ばした先にあるアダルティーな別世界を見せてくれている。洋一郎のバリトンボイスで囁かれる甘い言葉には、どこか満たされない心の隙を抱えた志保に理性を超えて新たな扉を開かせる背中押しをする力が宿っているのも納得できるし、祥子の落ち着いた知的な雰囲気には浩介も安心して身を委ねられるのだろう。

「相手の体に触れることなく、心に触れられると思いますか?」

という、洋一郎の言葉はなかなかに核心に迫っているように思える。ある意味、生まれたままの姿で野生に帰るような動物的な姿を見せられる相手がいるというのは心の安定にも繋がるとも言えるかもしれない。

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特にリアルだったのは、「ナイトアクアリウム」の見学に行くのに、娘を実家に預け、2人だけでドレスアップして出かけ、普段降りない駅に降りるだけで「街ゆく人々さえ別世界のように感じる」という志保の心の声だ。そして、2人並んで歩く仁科夫婦の姿だけで、家庭内とは全く違う2人の距離感や装いがよく伝わってきて、こちらまでドキドキさせられた。

"セックスレス"には様々な要因があるのだろうが、このように子どもが生まれてからなかなか夫婦2人での時間が持てないことも大きな理由の1つに挙げられるのではないだろうか。欧米のように生まれて間もない頃から赤ちゃんを子ども部屋に1人で寝かせるスタイルと、幼少期まで子どもと添い寝する日本の寝かしつけ事情、子ども部屋事情。さらには子どもをベビーシッターに預け夫婦2人で出かける時間を必ず設ける夫婦が多い欧米と、子どもが生まれると一気に子ども中心の生活にシフトチェンジする日本・・・このことも少なからず、性の実態調査「ジェクス ジャパンセックスサーベイ2020」で婚姻関係にある日本のカップルのセックスレスが51.9%という結果に繋がっているだろう。

さて、半信半疑で覗いてみた「夫婦交換」の世界に仁科夫婦がどのようにハマっていくのか、次週の展開が気になるところだ。演技の振れ幅が恐ろしく大きい佐津川に呼応し、千賀演じる"見たことのない浩ちゃん"のまた新たな一面が引き出されそうだ。

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文:佳香(かこ)

【第2話(10月12日[水]放送)あらすじ】

初めての窪塚夫婦との「夫婦交換」を経て、仁科志保(佐津川愛美)と浩介(千賀健永)の関係は以前よりも良好になった。最初は否定的だった志保も、夫婦交換にメリットを感じていたが、今回の一度だけと決めていた。しかし、窪塚洋一郎(平岡祐太)から、浩介が隠れて祥子(板谷由夏)と会っていることを聞かされた志保は浩介を問い詰める。すると「夫婦交換を続けたい」と言う。
なぜ浩介は夫婦交換を続けたいのか・・・?浩介の隠された思いとは?

◆放送情報
ドラマ Paravi『夫婦円満レシピ~交換しない?一晩だけ~』
毎週水曜深夜0:30よりテレビ東京系で放送
動画配信サービス「Paravi」で21:00より毎話独占先行配信

©「夫婦円満レシピ~交換しない?一晩だけ~」製作委員会