毎週火曜深夜24:58からTBSで、アートが題材となった異色ドラマ『階段下のゴッホ』が放送中。本作の主人公は、とある絵画に出会ったことで一念発起し、画家になるという夢を叶えるべく東京藝術大学を目指すことにした"高収入バリキャリ女子"である鏑木都(SUMIRE)。仕事と美術の道の両立への挑戦を試みる都が、意を決し美術予備校に入学し、格差も壁も乗り越え自分らしく生きるヒューマンラブストーリーとなっている。今回、"ザ・才能の塊"である都の6歳下の青年、通称"ダビデ"こと平真太郎役に挑む神尾楓珠が、本作の役どころ、そして見どころについて語ってくれた。

――出演のお話を聞いた時の率直な感想を教えてください。

今までそれほど美術というものに触れてきてなかったので、正直、不安もありました。しかも絵画の才能がある天才役だったので、「え、本当に!?」と驚きもありました。絵を描くことは今までそんなにやっていなくて、好きな漫画のキャラクターを描くとか、そのぐらいしかなかったので。

――脚本を読んだときの印象は?

すごく世界観があって、セリフの言い回しも独特だなと思いました。それと、都目線のナレーションが多いんです。それが「誰かに当てた手紙」のような感じのナレーションなんですけど、そういう部分も他のドラマとは違うなと思いました。

――今回演じたのは、天才的な絵の才能を持つ真太郎。彼を演じるにあたって、どのような役作りをされましたか?

撮影前に、みんなで絵画の指導を受けたんです。例えば、デッサンの時には腕を肩から動かしてペンを動かすとか、ベーシックな動きがあるんです。そういう動きは分からなかったので、一から教わりました。全部新たな知識で新鮮でしたけど、難しかったですね。僕が想像していた感じとは、全然違いました(笑)。実際に先生が描く様子を見た時もすごかったです。迷いなく筆を進めていて、どうして一瞬で「ここに色を足そう」というのを考えられるんだろうなと思いました。

でもやっぱり、どんなふうに撮るのか未知の部分が多かったので、現場で世界観を作り込んでいくしかないという感じでした。だからキャラクターもあまり固めすぎず、柔軟に対応できるようにして撮影に入りました。

G2_38_re.jpg

――現場で、監督や共演者の皆さんと一緒に現場でキャラクターを作り上げていかれたんですね。

本当にそんな感じでした。絵画の天才の役なので、「どうやったら天才に見えるんだろう」という部分は、少し苦労しましたね。絵を描くシーンは難しかったです。絵を描いているところ以外で、真太郎が「周りとは違うな」と思わせられたらいいなと思って演じていました。

――そんな真太郎はご自身から見てどのように映っていますか? ご自身と似ている部分、違うなと思う部分は?

真太郎はすごく自由なんです。見ている視点も僕とは違って。どこかすごく合理的というか・・・、本当に「絵のためにならないものは何もいらない」というぐらい徹底していて、そういう部分はすごく"今風"だなと思いました。僕も、何かにハマったらもうそのことしか考えないので、そういう部分は少し真太郎と似ているかな(笑)。でも真太郎ほど、周りと違う存在にはなれないなと思います。誰かといると合わせてしまう方なので、真太郎のように周りに合わせることなく生きていくというのは・・・、すごく大変だなと思います。そういう部分で真太郎とは、全然違いますね。

――役柄的に、あまり周囲とコミュニケーションを取らない性格の役どころでしたが、撮影での様子はいかがでしたか?

現場では、普通にみんな仲良くしゃべってました(笑)。特に美術予備校のシーンの合間など、(共演の)高橋侃くんがよく話しかけてくれるんです。話しているうちに、みんな打ち解けてきました。予備校仲間の空気感は、結構、侃くんが作ってくれたと思います。現場では食べものとか好きな芸能人の話などで盛り上がって、男子メンバーとはラーメンも食べに行きました(笑)。

登場人物の関係性と、現場での普段の関係性が少し似ている部分があったので、普段の関係性のままで「本番!」みたいな感じでした。あえて撮影で何か切り替えるというのは、あまりなかったです。

ただ、僕が演じる真太郎は都との関係性が大事な軸になっているので、SUMIREさんとは、そこまで意識してたわけじゃないですけど、距離が近くなりすぎないように・・・という感じは自然とありました。あまり干渉しない方がいいのかなというのは、何となく思っていました。

SUMIREさんとは、以前同じ作品に出ていたことがあるんですけど、その時は掛け合いがなかったんです。今回共演させていただいて、改めてSUMIREさんの持っている空気感が独特で、なかなかいない空気感の方だなと思いました。でも話してみるとフラットな感じで話しやすくて、明るくて。落ち着いてはいるんですけど、ノリもいい、そんな一面を新しく知ることができました。SUMIREさんは趣味でも絵を描かれているので、現場でも空き時間にずっと描いていましたね。都の絵にずっと色を足したり、筆を動かしたりしていたのが印象的でした。

G2_36_re.png

――本作はアートが題材になっていて、これまでの「ドラマストリーム」作品とは一線を画した作品のように感じます。

僕もどんなふうになるのか、楽しみです。絶対に今まで見たことない感覚のドラマになるだろうと期待しています。

ストーリーが進むにつれて、真太郎のいろいろな葛藤、都の仕事と勉強との両立する難しさなどが描かれていくんですが、そんなふうに登場人物それぞれが悩みを抱えるなかでも、アートの持つ"力"みたいなものをすごく感じられるんですよね。

絵にもいろいろな見方があって同じ題材でも描いている人によって全然違うものになったりするので、視点や見方を変えれば全然違うものに見えるという部分とか、人それぞれの在り方みたいなものがアートの描写で表現されているような気がします。

そうしたなかで真太郎は何を抱えているのか、そして都と真太郎の関係が最終的にどうなっていくのか・・・というのが、一番の見どころになっていると思います。

(取材・文/齊藤恵)

◆放送情報
『階段下のゴッホ』
毎週火曜深夜24:58よりTBSほかで放送中。
動画配信サービス「Paravi」では、毎週1週間先行配信中。
(C)「階段下のゴッホ」製作委員会