チャイコフスキー連続殺人犯の正体が明かされた『赤いナースコール』(テレビ東京系)第11話。
"チャイコフスキーくん"は灯台下暗し、見た目通り怪しい人物がしっかりとクロだった。そう、医師の石原(板尾創路)だ。石原は猟奇的なサイコパスシリアルキラーに違いないだろうが、どうやら彼にもこの連続殺人事件を起こす動機が別のところにあり、それを悟られまいとしているかのようだ。
彼は院長・榎木田(鹿賀丈史)に対して、作曲家・チャイコフスキーがいわゆるマザコン的に母親を恋慕っていたことを引き合いに出し、何度か"母親への異常な愛情"というような言葉を口にする。医大の中でもずば抜けて優秀だった石原がこの田舎にある個人病院・榎木田記念病院で勤務していることにも何か理由がありそうだ。
そこでふと考えられるのは、榎木田院長の元妻で看護師の西垣(浅田美代子)が話していた「45年前に起きたあのこと」に石原も関与しているのではないだろうか。例えば、父親を見殺しにして欲しいと依頼したあの娘こそが石原の母親だった場合どうだろう。その依頼に従った西垣がナースコールを取らなかったことで望み通り父親は亡き者にはなったものの、その罪悪感に苛まれ続け、石原の母親は自らを責め続け情緒不安定になったり、あるいは自分も父親の後を追ったというような最悪のシナリオだってあり得なくはない。石原が単なる猟奇的殺人犯という形だけで終わることはなさそうだ。
そして気になるのは回想シーンから石原の関与がはっきりと明らかになっているのが刑事の加藤(堀口紗奈)、そして広報担当者・遠山(岩本淳)の2人のケースのみであることだ。購買部の江口(名取えりか)や看護師の野田(上地春奈)、トラック運転手・宇多川(長野克弘)らの殺害シーンは映し出されなかった。彼らの遺体から"戦利品"を持ち去ったのは石原に違いないが、手を下したのは別人という可能性もまだ捨て切れない。
一方、電ノコ男はやはり院長の榎木田だろう。前話で予想した通り、313号室に意図的に集められた入院患者たちは、2年前に町田のコンビニで起きた殺人事件に関わっていた。翔太朗(佐藤勝利)が脚本を担当し、殺された山之内(小堀裕之)がプロデューサーを務めた『セクシー刑事』の「傷だらけの正義」回のモチーフになった事件で、313号室の殺された入院患者らはいずれもその関係者だった。今話残酷な方法で殺害された津田(山本浩司)はフリー記者時代にこの事件について誇張した記事を書いていたことがわかっている。
となると、この事件の被害者で逆ギレした男に殺された学生こそが榎木田と西垣の間に生まれた息子・三上誠一と考えるのが自然だろう。しかし気になるのは、津田がこの記事をきっかけに被害者遺族に訴えられているということだ。津田のことにその遺族の素性も調べ上げているだろうことが予想されるため、そうなると榎木田や西垣に対して警戒心を示していなかったのが不思議に思えてくる。もしかすると誠一はこの事件における"加害者"側だった可能性さえ浮上するのではないだろうか。いずれにせよこの事件に2人の息子が深く関わり、人生を狂わされたことは間違いなさそうだ。
そしてこの町田の事件が2年前に起きたものだとすれば、誠一とアリサ(福本莉子)が兄妹の関係ではなくかつて恋人同士だったことも十分あり得る。その場合、誠一が被害者だろうが加害者だろうがいずれにせよあの事件をモチーフに面白おかしく脚色した上でドラマ作品に仕立てた翔太朗に対する復讐心があるのはアリサも同じということになる。石原の関与の証拠が映像としては明示されていない殺人事件にもしかするとアリサが関わっていることだって考えられなくはない。
次週いよいよ最終話。病院内にたった一人取り残された翔太朗は一体全体どうなってしまうのだろうか。最も気になるのはやはりアリサの正体だ。
文:佳香(かこ)
【最終話(9月26日[月]放送)あらすじ】
チャイコフスキー犯は医者の石原祐二(板尾創路)だった。なぜ殺害を?だがもう1人の殺人鬼がまだ潜んでいるはず。そして病院長・榎木田誠(鹿賀丈史)から出た復讐の意味とは?最後の患者となった春野翔太朗(佐藤勝利)が危ないと、三森アリサ(福本莉子)は病室に向かうが、その途中で停電が発生。院内を最後にして最大のパニックが襲う。翔太朗に忍び寄る犯人の影・・・最後に生き残るのは誰なのか!?"呪われた病院"の真相がついに今夜明らかに!
◆番組概要
ドラマプレミア23『赤いナースコール』
毎週月曜23:06からテレビ東京系で放送
地上波終了後、動画配信サービス「Paravi」にて配信
(C)「赤いナースコール」製作委員会
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