もうこの上ないハッピーエンドだった! ついに最終回を迎えた『ユニコーンに乗って』。「大人の青春」をテーマとした本作は一体どんなラストを迎えたのか。最後は、ドリームポニーが教えてくれた2つのメッセージについて考えてみたい。

とりあえず佐奈と功の結末にクラッカーを鳴らしたいです

ついに結ばれた佐奈(永野芽郁)と功(杉野遥亮)。終わってみて思うことは、結局2人はずっと両片想いだったということ。あの日、キャンパスで功が佐奈の手を引いて逃げたときから、2人はお互いのことを想い合っていて。その気持ちに向き合うのに3年余りの月日が必要だったわけだけど、逆に言うとブレることなく2人はお互いのことを必要とし合っていたのだった。

もうとにかく佐奈を抱きしめたときの杉野遥亮の表情が愛らしい! 想いが溢れて声はちょっとウェットになっているんだけど、愛しい人の温もりが腕の中にある幸せに口元はつい綻んでいる。積もり積もった愛と喜びが抑えようにもこぼれ出していて、そのうれしそうな表情を見ているだけで、こちらまで幸せな気持ちになった。

杉野遥亮の魅力は健やかさだと思う。異次元のスタイルと涼やかなマスクの持ち主ではあるんだけど、どこかでちゃんとごく普通の一般的な男の子としての感覚みたいなものを本人が残していて、それが演じるときに漏れ出ている。だから、親しみが持てるし、応援したくなる。ひねったところのない、それでいてあざとくもない健やかさが、演じる役まで魅力的にしている気がする。

少し場面は遡るけど、カフェで商談をしている佐奈を見かけたときの表情もすごく良くて。もう生きている世界が違う名残惜しさ、佐奈が遠くに行ってしまったような寂しさを瞳に交えつつ、最後はそれでも佐奈の健闘を祈るように薄く口元だけで笑む。昼下がりの陽光の眩しさも相まって、美しくもせつないシーンになっていた。功の一途さは、健やかな杉野遥亮だから出せたものだと思う。

もちろんヒロインの永野芽郁も本当にチャーミングだった。永野芽郁は、受けの芝居が映える俳優だなと思う。リアクションに嘘や不純物がない。「この先もずっと一緒にいよう」と言われて、優しい顔で「うん」と頷くところも、「今、うんって言ったからな」と功に確認されてもう一度「うん」と返事をするところも、紐がほろりと解けるように、自然と幸せが溢れていて。つくりものめいたところのない、くすぐったそうな笑みに心を奪われてしまった。

こんなに清潔感があって爽やかなカップルもそういないと思う。そもそもだけど、西島秀俊を含めたメイン3人の共通点は清潔感。3人とも濁りがまったくない。3人の持つ清潔感が、そのまま『ユニコーンに乗って』のカラーになっていて。この最終回なんてまさに一点の曇りもない、夏の青空みたいだった。この清涼感は3人がもともと持っているものが大きかったと思う。まさにこの3人しか考えられない組み合わせだった。

いくつになっても青春を生きるために必要な2つのもの

しかも次郎(前原滉)は恵実(青山テルマ)と結ばれ、小鳥(西島秀俊)は羽田(広末涼子)といい感じ、というフィナーレに。こんな各キャラ同士がくっつき合うなんて、『ママレード・ボーイ』かよ! でもみんな幸せそうだからオッケーです。

恋と夢と幸せ。LDHもびっくりの、Love,Dream,Happinessだった『ユニコーンに乗って』。この作品は「大人の青春」がテーマだったけど、改めて「青春」とは何なのかを考えさせられた。

「青春とは人生のある時期ではなく、 心の持ち方を言う」とはアメリカの詩人、サムエル・ウルマンの言葉。まさにこの言葉通りの作品だった。青春とは学生の特権じゃない。心さえ輝いていれば、社会人になっても、40代になっても、いくつになっても青春の主人公だ。

その上でもし青春の条件というものがあるとしたら、『ユニコーンに乗って』では、以下の2つの重要性が描かれていた。

1つ目は、夢を持つこと。起業という夢を持つまでは、佐奈の10代はもしかしたら青春と呼べるものではなかったのかもしれない。やりたいことを見つけられなかった功は、はた目から見れば王道のキャンパスライフを謳歌していたかもしれないけれど、やはり青春ではなかった。夢が人生を輝かせた。夢が進むべき道を照らしてくれた。

最終回でも、小学校の先生になりたかったという小さい頃からの夢を叶えるために、小鳥がドリームポニーを一時的に離れ、山形の小学校で働くことを決めた。子どもたちに向かって話している小鳥は、いつもより口調がゆっくりで、ちょっと声色も高くて、先生そのものだった。遠回りもした。本来の夢とは少し形も違うのかもしれない。だけど、ひとつ夢を叶えた小鳥は、とてもうれしそうだった。

昨今は夢がなくてもいいという風潮だし、それ自体はまったく否定しないけれど、同じくらい夢があるって素晴らしいということも声高に叫びたい。夢を追い続ける限り、人はいつだって青春のど真ん中なのだ。

そしてもう1つが、仲間を持つこと。大学の講演で「こんな僕でも起業できますか」と質問された佐奈は「はい、起業は誰にでもできます」と力強く答えた上で、「叶えたい夢と仲間さえいれば」と付け加えた。アイデアはあるけど知識はなかった佐奈に、功と次郎が夢を形にする技術をくれた。そこから恵実をはじめ、いろんな仲間が集まって、「スタディーポニーキャンパス」という大きな夢が形になった。人は、1人では何もできない。でも、仲間がいれば乗り越えられる、大抵のことは。

特に今回しみじみいいなと思ったのが、海斗(坂東龍汰)だ。最初はあんなに無表情で誰に対しても無関心だった海斗が、気づいたらよく笑うようになっていた。佐奈と功が付き合うことになったと報告を受けたときも、はやし立てる次郎と恵実の横で、うれしそうに笑っていた。あんな海斗の顔を見たことがない気がして、何気ないシーンなのになんだか泣きそうになってしまった。誰かの幸せを自分のことのように喜べる。それが、仲間というものだろう。

そして、小鳥の夢をみんなで全力でサポートするところも、仲間の絆が感じられた。あれは業務外の残業というよりも、文化祭の準備で遅くまで残っていたときの高揚感を思い出させる場面だった。ここでもやっぱり海斗がたらこおにぎりを買ってきてくれて、それだけで胸がじんわり温かくなったし、「海斗、優しいじゃん」とツッコミを受けて、照れ臭そうに無言でリアクションするところも何とも言えず愛らしかった。

現実はそう簡単ではなくて。仕事で夢なんて言っていられないし、職場の同僚を仲間と呼べない(呼びたくない)という人も多いかもしれない。仕事でハイタッチなんてもう何年もしていないと思うかもしれない。

でも、このドラマを観ていたら、あんなふうにハイタッチできる仕事をしてみようと思えたし、ハイタッチできる仲間がいたらいいなと思えた。それだけで、素敵なことだと思う。

そして、夢や仲間は別に仕事に限らなくてもいい。趣味でも何でも構わない。夢中になれるものさえあれば、人生はいくつになっても楽しめるし青春なんだ。『ユニコーンに乗って』が残した爽やかな余韻は、きっと誰かの何かを始めようという力になっているはずだ。

(文・横川良明/イラスト・まつもとりえこ)

◆放送情報
『ユニコーンに乗って』
動画配信サービス「Paravi」で全話配信中。
また、出演者のリアクションが見られるオーディオコメンタリー版も配信中。