刑事の工藤(池田鉄洋)を刺したトラック運転手・宇多川(長野克弘)のホルマリン漬けの遺体までもが発見された『赤いナースコール』(テレビ東京系)第9話。しかも傍には一連の連続殺人の犯人は自分だとする遺書のような走り書きを残して。工藤を刺したのは亡き看護師・野田(上地春奈)経由で依頼された院長・榎木田(鹿賀丈史)からの指令だろうが、この全ての罪をかぶって自死するところまで最初から含まれていたのだろうか。

今話気になったのは、榎木田が元妻で看護師の西垣(浅田美代子)と話していた「45年前に起きたあのこと」。この一連の事件と何かしら関わっているのは間違いないが、45年前"その一件"が起きたのは西垣が21歳の頃。その時から彼らの中で時間が止まっているのか、「あのこと」を忘れまいとしているのか、西垣は21歳から年を取らないと決めたのだと言う。

そして、もう1点気になったのが榎木田が医師・石原(板尾創路)に話していた自身の息子についての話。「うちの息子もユッケ好きだった」「いつも、一口食べてと言われたが最後まで拒否したよ」といずれも過去形だ。ユッケ好きということからもある程度の年齢まで榎木田の息子は存命だったのだろうが、どこかのタイミングで亡くなってしまったのか、生き別れてしまったのだろうか。45年前に生まれたのがその息子で、生きていれば今45歳ということなのか。そしてこの息子とアリサ(福本莉子)が何かしら関係しているのではないだろうか。

榎木田が苦悶の表情を浮かべ眺めていた写真に写っていたアリサのような女性を演じていたのはどうやら福本ではなく別の俳優のようだが、それは子役のような若年キャストという意味合いなのか、それともあの写真の女性とアリサは似て非なる人物ということなのだろうか。あの女性がアリサではないまた別人、例えば姉妹か双子となれば、これはまた話がややこしい。例えば、アリサと翔太朗(佐藤勝利)が廊下でキスしていたのを遠目に眺める何者かの気配が捉えられたが、それがアリサの双子や姉妹だとすると、片や自由に外に出られる日向の存在アリサと、何らかの理由でコソコソ隠れて生きなければならない日陰の存在である片割れの対比だったのだろうか。

313号室の生き残り組・後藤田(森田甘路)がわざわざアリサの病室を訪れてリークした、翔太朗と榎木田が談笑しており元からの知り合いなのではないか説の真相も気になるところだ。

そして、意外な関係性が見えたのが看護師の山根(ベッキー)と313号室の生き残り患者・津田(山本浩司)だ。理事長室に保管されている防犯カメラのデータを持ち出した病院の広報担当者・遠山(岩本淳)が電話で話していた相手は何と山根。遠山は津田を裏切り山根に寝返ったかと思いきや、実はその山根と津田が裏で繋がっていたのだ。

こんがらがった糸が徐々に徐々に解けてきた『赤ナス』。工藤の病室を訪れ、酸素量を調整していた石原は、これも単に人を怖がらせるのを楽しんでいるだけなのだろうか。

あと一歩掴めそうで掴めない、榎木田とアリサ、そしてあの写真に写る女性の関係性が歯痒くて仕方ない。彼らが抱える"事情"の全容が明らかになるのももう間もなくか。

文:佳香(かこ)

【第10話(9月12日[月]放送)あらすじ】

真空パックされた遠山健二(岩本淳)の遺体が見つかる。防犯カメラのデータが入った鞄は持ち去られたようだ。しかも着信履歴から遠山が最後に電話で話した人物が山根ミク(ベッキー)だと分かる。一方、刑事の工藤文世(池田鉄洋)は春野翔太朗(佐藤勝利)らの部屋に移ることに。工藤が加わり病室が盛り上がる中、三森アリサ(福本莉子)は、翔太朗と榎木田誠(鹿賀丈史)と密談していたという話を聞き、戸惑いを隠せずにいた。

◆番組概要
ドラマプレミア23『赤いナースコール』
毎週月曜23:06からテレビ東京系で放送
地上波終了後、動画配信サービス「Paravi」にて配信

(C)「赤いナースコール」製作委員会