Gino0808による同名漫画を原作に据え、ジャニーズWEST・重岡大毅が主演を務める『雪女と蟹を食う』(テレビ東京系)の第8話が8月26日に放送された。
死ぬ前に蟹を食べると決めた北(重岡)と、強盗に押し入られ、北と北海道への旅をしてきたセレブ妻・彩女(入山法子)は札幌ではぐれてしまう。
北は空腹で倒れそうなところをホステス・マリア(久保田紗友)に助けられ、彼女の家に居候していた。ある日、マリアが常連客の妻に襲われたところを救ったことで、2人は一夜を共にする。一方、彩女は、夫・雪枝一騎(勝村政信)の担当編集者・巡(淵上泰史)から夫の情報を得つつ、巡と一夜を・・・。しかし、「やっぱり凡庸ね」と冷笑し、2人が関係を持つことを「三文芝居」と断ずる彩女。不倫関係にあるかに見えたが、彩女にとって巡は夫の情報を得るための単なる道具だったのか。では、彼女にとっての北の存在は?
そしてようやく、はぐれた北と彩女を再び結びつける接点が訪れる。
マリアと彩女が教会で再会していたのだ。彩女は「待ち人」を待つのはやめた、だから最後にマリアに会いたいと思ったと、意味深な発言。一方マリアは、熊みたいだと評した「コタロー」と再会できた、しかも熊ではなく自分のヒーローかもしれないと語ると、彩女は「人によって物語はこうも違うものかって」と、またしたも意味深な調子で自身の「待ち人」について語る。
マリアが語る、無駄に謎だらけなのに嘘をついている様子はなく、堂々と働きたくないと宣言してしまうような良くも悪くも正直で、根は優しい「コタロー」と、彩女の語る「待ち人」が重なり合う。それは、彼女が執着し、追い続けていた夫ではなく、北のことだった。ごく普通に見えるけど、そうでなく、頑固で強引なのに気が弱くて、よく迷ったりする、純粋で優しい人。そして彼女もまた、彼の本当の名前は知らないという。
彩女は北と離れたことについて、価値観の違いなのか、泊まったホテルから姿を消していたと話す。北は彩女に去られたと思っていたが、彩女もまた同じ思いを抱いていたとは。そして、北が消えた日と、マリアが空腹の「コタロー」をコンビニ前で"拾った"日は同じだった。彩女はマリアの語る「コタロー」が北であることに、最初から気づいていたのだろうか。だとしたら、自ら接触せずに、北を待っていた理由とは?
そんな中、北はマリアに店に呼ばれ、命を救ったお礼として、もてなしを受ける。マリアはこれからの未来のことを話したいと言い、一緒に店で働かないかと誘うが、北は自身の過去と犯した罪を語り始める。それは、痴漢の冤罪で捕まったこと。プロポーズしようとしていた彼女にも、親にも、友人にも、冤罪を信じてもらえなかったこと。そして、自殺しようとするも死に切れず、金持ちの人妻(=彩女)を襲ったこと、その人妻に死を決意させてしまったことを告白する。
そこでマリアは自身が背負う咎――子どもをおろして何度も死のうとした過去と、生まれてくることのなかったその子が、自分を生かしている光であることを打ち明ける。北はそれを聞き、自分もいろいろな人に生かされてきたと話し、心中を誓った彼女を一人で死なせるような男はヒーローではないと言い切る。
単純で、弱くて、中途半端な北が、2人の女性――彩女とマリアとの出会いにより、確実に変化していた。
自分は絶対に死なない、生きがいを教えてくれたからとマリアに感謝を述べる北に、マリアは彩女がくれた本、太宰治の「斜陽」を渡す。そして、彩女がずっと待っていたことを伝え、早く行ってあげてと背中を押し、泣き崩れるのだった。謎だらけだった彩女の思いが徐々に見えてくる一方、思いを包み隠さず素直に見せるマリアが切なく、愛おしい。
北と彩女の再会は?そして、死にとらわれる彩女の決断は?いよいよ物語がクライマックスを迎える。
(文:田幸和歌子)
【第9話(9月2日[金]放送)あらすじ】
マリア(久保田紗友)から彩女(入山法子)の居場所を聞き、一心不乱に彩女の元を目指す北(重岡大毅)。再会した二人は小樽まで車を走らせる。海鮮丼を食べ、街を散策し、旅を楽しむ二人だが、北は、離れていた時間のことを一切尋ねてこない彩女に『蝉時雨』に出てくる妻を重ねていた。一方、一騎(勝村政信)は巡(淵上泰史)から彩女が男と北海道にいると聞かされ・・・。彩女と一騎の歪な夫婦関係。その過去がついに明らかに・・・!◆番組情報
ドラマ24『雪女と蟹を食う』
毎週金曜深夜0:12からテレビ東京系で放送
地上波放送終了後、動画配信サービス「Paravi」にて配信
(C)「雪女と蟹を食う」製作委員会
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