海斗(坂東龍汰)、疑ってごめんよおおお。

仲間の裏切りによって、窮地に追い込まれたかのように見えたドリームポニー。『ユニコーンに乗って』第7話で明かされたのは、不器用だけど、深いドリームポニーへの愛だった。

海斗の告白と小鳥さんの泣き顔にもらい泣き!

「スタディーポニーキャンパス」の特許が、ゲームアカデミアに奪われた。永瀬(松尾貴史)の口車に乗せられた功(杉野遥亮)や次郎(前原滉)は犯人を海斗だと思い込み、糾弾。海斗はドリームポニーを去り、ゲームアカデミアに転職する。

が、これらはすべて佐奈(永野芽郁)たちと海斗の仲を引き裂くために永瀬が仕組んだ罠。技術流出は海斗が意図して行ったものではなかった。それどころか、海斗はずっと前から「スタディーポニー」のユーザーで、ドリームポニーの一員になりたくて採用試験を受けていたことが判明。そっけない態度の海斗だったけど、実はドリームポニーを深く愛し、自分の居場所だと感じていたのだった。

これは完全に騙された〜! 普通に海斗が裏切ったものだとばかり思っておりました。もうね、佐奈たちと一緒に僕も頭を下げたい。海斗、疑ってごめんなさい。

しかも今回明かされた海斗の背景がかなり切なくて。コミュニケーションが得意ではない海斗は常に孤立しがちだった。悪意なく失礼なことを言ってしまう性格と、高すぎる能力ゆえに教師からも疎まれ、あらぬ濡れ衣を着せられたことにより、学校生活からドロップアウト。どん底だった海斗の人生を救ったのが、「スタディーポニー」だった。

同じように不登校の身でありながら現在はCEOとして活躍する佐奈のインタビューを見て「スタディーポニー」を知り、自分もこんなアプリをつくりたいと一念発起。エンジニアの道を目指しはじめる。「スタディーポニー」は、暗い部屋に閉じこもりきりだった海斗の光だったのだ。

そんな生い立ちを告白する坂東龍汰の語りがまた良くて。起伏のない低い声から漏れる小さな揺らぎに、海斗の痛み、孤独、もう一度ここで働きたいという強い想いがこもっていて、めちゃくちゃ泣かされた。海斗というキャラクター上、大げさに声を震わせたり、表情をくしゃくしゃにさせることはできない。それでも、瞳いっぱいに溜めた涙からは、初めて自分の気持ちを伝える怖さと、受け入れてもらえたうれしさまで溢れ出ていて、胸が熱くなった。

周りのメンバーのリアクションも良くて。佐奈の透明感ある泣き笑いもさることながら、いちばんもらい泣きしているのが小鳥(西島秀俊)というところに、小鳥さんらしさが出ていた。あの小鳥さんのシワをいっぱいつくっての泣き顔は胸に来るものがあったし、「海斗さんは、クラゲではありません。たった一人の、私の同期です」というメッセージに説得力をもたらしていた。

坂東龍汰といえば、今期で7クール連続出演という売れっ子。ただ、いい意味で本人のキャラクターが前に出てくることはあまりなく、役に合わせて自然と作品に溶け込んでいる印象だ。この海斗という役もクセの強さはしっかりと表現しつつ、悪目立ちはしない絶妙なバランス。今後もオファーが絶えないだろうなと確信させる見事な仕事っぷりだった。

ちなみにひとつだけ聞かせてください。海斗は功のパソコンで何をやってたの・・・?

もしかして功はドリームポニーを離れる?

物語としては、ゲームの練習のため男子チーム、女子チームがそれぞれお泊まりする場面が登場。小鳥や功のパジャマ姿は安定の愛らしさだったし、恋愛話を振られて、「私のそんな話に興味ありますか?」ととぼける小鳥に、功が「あります」と即答するところはつい笑ってしまった。

また、前回訪れた冨士浅間神社のお守りを小鳥がこっそり海斗の分まで買っていたくだりも、涙腺を緩ませるものが(インスタの写真で1人だけ目を瞑っているのも安定の小鳥さん)。リモート会議中に鳩のうんちくを披露する小鳥の話を、佐奈たちが笑って聞いているのも、さり気ないけどいいシーンだった。「大人の青春」という本作のコンセプトがいちばんよく表れた回だったんじゃないかなと思う。

ただ一方で、終盤に向けて新たな暗雲も立ちこめてきた。功の父親の会社にトラブルが発生したのだという。ここで、最終回に向けた予想なのだけど、もしや功は最終的にドリームポニーを離れて、父親の会社を継ぐことになるんじゃないだろうか。功にとって、ドリームポニーはどこか佐奈ありきなのは事実。そうではなく、功自身が本当は何をしたいのか向き合う局面がやってくる気がする。

そのとき、敷かれたレールを走るのではなく、自らの意志で父の跡を継ぐことを決めたら・・・? 「大人の青春」がコンセプトの本作だからこそ、ひとつの「青春」に区切りをつける場面があってもいいし、だとしたらそれは功しか考えられない。

そして、そうやって道が分かれることで、やっと佐奈と功はお互いの気持ちに向き合える。ビジネスパートナーとしてではなく、恋人同士として新たなスタートを切れるんじゃないかな。

いずれにせよ、ここからはきっと佐奈たちそれぞれが自分たちはどう生きていくのかに迫る内容になるはず。ユニコーン企業を目指すことに青春を懸けてきた佐奈たちの人生の選択に注目したい。

(文・横川良明/イラスト・まつもとりえこ)

【第9話(8月30日[火]放送)あらすじ】

念願の「スタディーポニーキャンパス」ローンチの喜びも束の間、早智(広末涼子)から、ドリームポニー買収を持ちかけられた佐奈(永野芽郁)は、戸惑いを隠せない。大切な会社を手放すことなど考えられない佐奈。功(杉野遥亮)と栗木(前原滉)も同じ想いであることを確認し、買収の話を断ることに。しかし、早智の「もっと先の未来は想像できているか」という言葉にひっかかりを覚えてしまい・・・

一方、父・征一(利重剛)の会社が、顧客情報流出トラブルに見舞われたことを知った功は、父の助けになりたいと願い、あるスタートアップ企業が開発した最先端のセキュリティーシステムの導入を提案。しかし父に無下に却下され、旧態依然とした大企業の姿勢にもどかしさを感じていた。

それぞれモヤモヤを募らせる佐奈と功。しかし2人は、小鳥(西島秀俊)の助言もあり、互いの悩みに共通点を見出す。そして解決に向けて道を切り拓くことを決意! そして、そんな2人の決断が、ドリポニとそれぞれの運命を大きく動かしていくことに──

◆放送情報
『ユニコーンに乗って』
毎週火曜22:00からTBSで放送中。
地上波放送後には、動画配信サービス「Paravi」でも配信中。