ヤングマガジン及びwebで連載された気鋭の漫画家・Gino0808による同名漫画を原作に据え、ジャニーズWEST・重岡大毅が主演を務める『雪女と蟹を食う』(テレビ東京系)の第6話が8月12日に放送された。
死ぬ前に蟹を食うと決めた北(重岡)と、強盗に押し入ったセレブ妻・彩女(入山法子)は、北海道に着いたが、札幌ではぐれてしまう。
1人ホテルをチェックアウトした彩女が向かったのは、教会だ。そこで、カバンから太宰治の『斜陽』を取り出した彩女は、高校の教師だった夫・雪枝一騎(勝村政信)との過去を思い出す。
2人を結びつけたきっかけは、マイナーな文芸誌で一騎が大賞を受賞したこと。国語の授業で素晴らしい解釈を発表した彩女も実は同じ賞に応募していたと聞き、彼女の文学的素養に関心を抱いた一騎が、男女でラストの解釈がかなり分かれるから意見を聞かせてほしいと渡したのが、「斜陽」だった。2人はそこから恋の秘密を抱える仲になっていったのだ。
その教会にやって来たのは、空腹の北を助け、食事をさせてホテルに送り届けたマリア(久保田紗友)だ。転んだ子どもに駆け寄るマリアが落としたカバンを拾い、転がり落ちた十字架に書かれた名前を見て「ひかりさん」と彩女は呼びかける。しかし、その名についてマリアは「子どもの形見・・・・・・じゃないですけど」と言い、忘れないよう残していると話す。はたして何も残らなかった子どもとは?
マリアが教会に来たのは、北に語った、空腹のマリアを救った神父との縁からだろう。互いの接点を知らないままに、マリアは彩女に街を案内しながら、山からおりてきた熊みたいな食べ方を見せた北のことを話す。また、彩女は人を待っていると言う。彩女が待っているのは、悲しいかな、おそらく北ではないだろう。
それにしても、なぜ彩女は教会に足を運んだのか。マリアと彩女には、おそらく偶然でない何かのつながりがありそうだ。
一方、彩女を思いつつも、完全に蚊帳の外状態の北は、暑さと空腹でベンチに寝そべり、このまま死ねたら・・・・・・と自暴自棄になる。そして、金も持たずに蟹専門店に行き、最高級の蟹とビールを注文。しかし、蟹は最期の晩餐にとっておこうと言った彩女との約束がチラつき、そのまま店を出ようとする。それを止める店員に殺してくれと言うも、「勝手に死ね。人に迷惑をかけるな」と言われ、あっけなく追い出される。
空腹でふらついていたところを、またしてもマリアに発見され、弁当をもらって泣きながら貪り、挙句、家に連れて帰られる北。そして、10時間以上寝倒して、朝食も作ってもらい、彩女にもう一度だけ会いたいと考えるのだった。
マリアの部屋の本棚には、彩女と野宿で星空を見上げながら話した宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」があった。ラストを忘れていた北は、パラパラとページをめくり、死に別れのバッドエンドを思い出す。そして、子どもの頃に受け入れられなかったことも。もしかしたら思い出したくないのかもと言った彩女の言葉が、ここで痛切に北の胸に刺さる。北は一方的に彩女を思い、見つめ続けていたつもりだったろう。しかし、彩女は北のことなど、全部お見通しだったのだ、と。
空腹や暑さで死にそうになりつつも、どこまでも甘ったれで、中途半端で、果てぬ欲望だらけ、煩悩だらけの北が、実に人間くさい。その一方、彩女が1人食事をしている店に、女性を引き連れた一騎がやって来る。一触即発の危険な状態だが、またその一方で、北を助けたマリアの身にも危険が迫っているようで・・・・・・。はたして北と彩女は無事再会できるのか。
(文:田幸和歌子)
【第7話(8月19日[金]放送)あらすじ】
札幌で彩女(入山法子)と離れ離れになってしまった北(重岡大毅)は、路上で倒れていたところを再びマリア(久保田紗友)に拾われ、マリアの家に身を寄せていた。素性を明かさない北を「コタロー」と呼びながら、何気ない日常に幸せを感じているマリア。ある日、マリアから「生きがい」を問われた北はふと彩女のことを思い出す・・・。一方、彩女が夫・一騎(勝村政信)の編集担当・巡(淵上泰史)ととある教会で落ち合っていて・・・。◆番組情報
ドラマ24『雪女と蟹を食う』
毎週金曜深夜0:12からテレビ東京系で放送
地上波放送終了後、動画配信サービス「Paravi」にて配信
(C)「雪女と蟹を食う」製作委員会
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