もしかすると、健太先輩(長尾謙杜)はドMなのかもしれない・・・。小梅(飯沼愛)の姿になったパパ(眞島秀和)から、散々わがままを言われたのに、告白をするなんて。普通の男子なら、「この子と付き合うの、無理だわ」と引いてしまうはず。でも、健太先輩は、振り回されるほどに"小梅愛"が増しているように見えた。

好きな人には好かれない・・・のは、"余裕"の差?

恋愛って、不思議だ。必死で追いかけていた時は、見向きもしてくれなかった人が、少し引いた途端に、振り向くこともある。部活や勉強とちがい、努力の量が成功に比例するわけじゃないのが、恋愛のむずかしいところ。好きではない相手には、"余裕"を持って接することができるからだろうか。好かれなきゃ! と思わなくていいから、自然に振る舞うことができる。「好きな人には、好かれない・・・」の心理は、ここにあるのかもしれない。

実際に小梅も、中身がパパになった途端に、長年の片思いが実った。パパは、嫌われてもいい(というか、嫌われたい)と思っているから、"待て"をすることができる。律子(小栗有以)も言っていたように、告白の返事を保留にしたのは、健太先輩の恋心を盛り上げる要因になったのかもしれない。努力すれば、何でもトップになれてきた健太先輩にとって、簡単には手に入らないものほど、魅力的に映る可能性だってある。よくある少女漫画の王道パターンだ。「俺に振り向かないなんて、おもしれぇ女」と思っているうちに、恋に落ちていく。

ただ、小梅のもやもやした気持ちも、分からなくもない。だって、いま健太先輩と付き合えたとしても、その中身は自分ではないのだから。小梅はすでに、初めてのデートに、初めてのハグ、記念すべき告白と、大事なシーンを経験できていない。自分の姿をしたパパが、健太先輩との思い出を作っているのを、指をくわえて見ているしかないのだ。その上、『パパとムスメの7日間』第3話では、"初"お家デートの思い出まで奪われてしまった。せめて、付き合ってからの"初めて"は、自分が経験したい! と思ってしまうのも無理はないだろう。はやく、パパと小梅を戻してあげてくれ・・・!

見つめ合う小梅と健太先輩 はやく、『Love so sweet』を流して!

第3話のお家デートでは、胸キュンシーンが多発! 律子が気を利かせて帰ったあと、2人きりになった小梅(中身はパパ)と健太先輩は、何やら甘酸っぱい雰囲気に。勉強を教えてもらっていても、目が合っただけでドギマギ。これ、『Love so sweet』が流れてたら、確実に恋が芽生えているやつです(健太先輩は、すでにノックダウンされていますが)。

さらに、健太先輩、ケーキを食べている時に、口にクリームをつけちゃう。あざとい、あざとすぎる・・・。こんなことまで出来ちゃうなんて。パパも、「こうして見ると、まだまだ子どもだなぁ」なんて、愛おしそうに見つめてるし、なんだかいい感じ! 健太先輩のこと、ようやく認めたか!? というところで、(パパの姿をした)小梅がまさかの帰宅! 健太先輩が家に来ることを知り、いても立ってもいられなくなった小梅は、会社を早退してしまったのだ。「仕事より、恋が優先!」なところが、さすがJKである。

パパの姿になっているのも忘れて、健太先輩にラブビームを送る小梅。部屋から出て行こうとしないし、わがもの顔でおせんべいを食べ始めるし・・・。明らかにおかしな光景ではあるが、健太先輩からしたら、"好きな人の親に好かれている"と喜びに変わるのだから、面白い。

その帰り道、「川原は、ご両親に大切に育ててもらったんだな。俺も、川原のこと大切にしたい」と改めて"告白"をした健太先輩。ああ、人を愛するって、こういうことだよな・・・と気付かされたような気がする。大好きな人を、大切にしてきた人がいることを知り、自分ももっと大切にすると誓う。"愛"について、こんなに考えられる高校生、滅多にいないぞ! パパ、どうか小梅と健太先輩の交際を認めてあげてくれ!

ただ、よく考えると、健太先輩が惹かれているのは、パパの内面なのかもしれない。そもそも、パパと小梅が入れ替わるまでは、こんなに急接近することはなかったわけだし・・・。改めて、"パパとムスメとカレ"の奇妙な三角関係が幕を開けそうだ。

(文・菜本かな/イラスト・月野くみ)

【第4話(8月16日[火]放送)あらすじ】

健太先輩 (長尾謙杜) との勉強会を経て、期末テスト最終日に挑む小梅 (飯沼愛) の姿をした恭一郎 (眞島秀和)。しかし結果は散々で、ママ・理恵子 (羽田美智子) も呼び出され、三者面談をすることに・・・。三者面談が行われることを、恭一郎<中身は小梅>には隠そうとしていたのが、理恵子がうっかりバラしてしまい、慌てて逃げる小梅<中身は恭一郎>。学校で健太先輩に勉強会のお礼を告げると、健太先輩からあるお願いごとをされる。

一方、恭一郎<中身は小梅>は、御前会議も大詰めを迎えていた。余計なことは言わず座っているだけのつもりだったが、恭一郎をバカにする役員たちの態度に腹が立ち、恭一郎<中身は小梅>も黙っていられなくなってしまって・・・!?

そしてついに始まった三者面談。担任から衝撃の内容を告げられ、小梅<中身は恭一郎>は絶体絶命のピンチ!!そこに突如現れた救世主とは・・・!?

◆放送情報
『パパとムスメの7日間』
毎週火曜深夜24:58よりTBSほかで放送。
動画配信サービス「Paravi」では、1週間先行配信中。