ヤングマガジン及びwebで連載された気鋭の漫画家・Gino0808による同名漫画を原作に据え、ジャニーズWEST・重岡大毅が主演を務める『雪女と蟹を食う』(テレビ東京系)の第4話が7月29日に放送された。
人生に絶望し、死ぬ前に蟹を食うと決めた北(重岡)は、強盗に押し入ったセレブ妻・彩女(入山法子)と北海道へ向かう。しかし、彩女が死ぬためについてきたことを知り、浮気などで寂しさを紛らわしてでも死から逃れてほしいと願うが、彩女は冷たい表情で言う。
「終わりにしたいの、もう。繰り返すこの日常を、私というつまらない人間の物語を」
函館に向かうフェリーの中、死へ向かう彩女と、彼女をなんとか死から引き離したいと思う北との気持ちがすれ違う。すると、彩女は「怖くなったんですか?」と尋ね、残金の半分をあげるから、北海道に着いたら飛行機で東京に帰って良いと言う。死ぬつもりで強盗まで犯した北が彩女を引き留めようとし、逆に彼女に1人で帰って良いとまで言われる皮肉。
しかし、北は不機嫌になるでもなく、強盗についてきた彩女を「酔狂な人」だと思っていたことを打ち明け、今ならその理由=孤独がわかると言う。北の本来の素直さが、彩女によって引き出されつつあるように見える。
北は彩女に1人で死なないことを約束してと言い、彩女もまた、旅の間は楽しそうな顔をすることを約束してほしいと言い、2人は再び肌を重ねるが・・・・・・。北が部屋を出た後、彩女は床に落ちた夫・雪枝一騎(勝村政信)の小説に気づく。そこで蘇るのは若き日の記憶――実は小説家の夫は、彩女の高校時代の教師だった。
なぜ強盗で自分を選んだのかと彩女が北に尋ねると、北は彩女を金持ちで何不自由なく暮らしていると思ったから、ムカついたのだと本音を語る。逆に、なぜ彩女が強盗である自分を選んだのかと聞くと、その答えは「あなたは私と同じだから」。この季節は孤独が一番浮き彫りになる、外は暑いのに凍えるような肌寒さがつきまとい、体のどこも世界とつながっていないようなあの気持ち・・・・・・と表現。それを受けて北が「蝉・・・蝉の幼虫」と言うと、彩女は「やっぱり似た者同士ですね」と微笑むのだった。
しかし、彩女は北がそう思い至ったヒントを知っていた。彩女は北が床に落としていた夫の小説『蝉時雨』を取り出し、感想を尋ねるが、「わからない」と言われ、「やっぱりその程度だったってことですね」と吐き捨てる。だが、これは北に向けられた言葉ではなく、「大衆文学に成り果ててしまった」、いろんな意味での「失敗作」と冷たい表情を見せる。
そこで、北は何気ない顔で「まさか実話じゃないですよね?」と問う。「実話に基づく」と謳われた短編集には、主人公にまたがっていたのは蝉ではなく、三徳包丁を持った妻だった、妻が三徳包丁を振り下ろしたという描写があったためだ。しかし、北の質問に彩女は答えず、席を外す。
その後、1人になった彩女の携帯に夫からの着信が。小説の相談らしい内容と、ついでに誕生日を祝う言葉を添えるが、電話の向こうでは夫の腕をとる女性、おそらく愛人の姿があった。回想シーンでは、国語の授業で、彩女の解釈に驚きを隠しきれないかつての教師である雪枝一騎の姿が描かれていたが、もしかして彼の小説は彩女をヒントに生まれているのか。そして、家にほとんど帰らず、かといって離婚もせず、彩女を1人にしておくのは、もしかして才能のない夫の小説を助けてきたのが彩女だったためか。彩女は一騎にとって、小説のヒントをくれる存在であると同時に、コンプレックスでもあるのだろうか。
北と彩女が深くつながる感覚を覚える一方で、どこまでも部外者の北が切ない。次週予告では、北海道に着いた2人は別行動となり、これまで2人きりだったロードムービーに新たなキャラが登場していたが、いったい何が起こるのか。物語が複雑に絡み合ってきた。
(文:田幸和歌子)
【第5話(8月5日[金]放送)あらすじ】
死ぬ前に蟹を食べるため北海道へ向かう北(重岡大毅)と彩女(入山法子)。遂に2人は北海道へ到着する。フェリーで函館港に降り立った2人は、函館の朝市を巡ることに。その風景になんとなく既視感を覚えた北。そこはかつてテレビ番組で見た朝市だった。更に、彩女もその市場にはある思い入れがあり・・・。2人は人生最期の地を稚内と決め、さらに北へと向かうが、ホテルでのある会話をきっかけに想いがすれ違ってしまい・・・。◆番組情報
ドラマ24『雪女と蟹を食う』
毎週金曜深夜0:12からテレビ東京系で放送
地上波放送終了後、動画配信サービス「Paravi」にて配信
(C)「雪女と蟹を食う」製作委員会
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