ヤングマガジン及びwebで連載された気鋭の漫画家・Gino0808による同名漫画を原作に据え、ジャニーズWEST・重岡大毅が主演を務める『雪女と蟹を食う』(テレビ東京系)の第3話が7月22日に放送された。
人生に絶望し、死ぬ前に北海道で蟹を食うと決めた北(重岡)は、強盗に押し入ったセレブ妻・彩女(入山法子)と2人、北海道に向かう奇妙な旅へ。しかし、山形・銀山温泉を目指す途中で、彩女が倒れてしまう。それを見た北は、ふと自分が痴漢の冤罪でつかまり、親にも親友にも恋人にも信じてもらえなかった辛い過去を振り返る。
彩女は気管支の持病により、少し無理をすると熱が出たり呼吸困難になったりするため、慣れていると話すが、北は不安でならない。自分は死ぬと決めたはずなのに、人の体調不良にこうも心が搔き乱されるとは。
なんとか銀山温泉に到着するが、苦しそうな彩女を床につかせ、何か欲しいものはないかと北が尋ねると、彩女は「怒られちゃうから」「うつっちゃうかもしれないけど」と言いつつ、キスをせがむ。北はお安い御用だと言い、キスするが、ふとその視線は彩女の指輪に。彩女は大きなダイヤの婚約指輪を旅の途中からつけていたが、それは体調が悪いときや不安なことがあるときの「お守りみたいなもの」と言う。
第1話で、なぜ彩女がシンプルな結婚指輪ではなく、豪華な婚約指輪をつけているのかが不思議だったが、その理由は、「あの頃が一番幸せだったから」。そして、「過去の思い出を牛みたいに反芻して馬鹿みたいですよね」と彩女は笑い、そっと指輪を外す。
彩女と抱き合い、愛おしそうに頬を撫でられたことで、再び北の中に辛い記憶が蘇る。親には世間に顔向けできない、生まれなければ良かったと言われ、親友には二度と顔を見たくないとなじられ、恋人には別れを切り出される――しかし、誰も信じてくれず、理不尽だと思っていたことは全て自分が他人にしてきた冷たい仕打ちの報いだと思い始める。第1話冒頭で死のうとしつつ、窓の外から聞こえる子どもたちの賑やかな声にすら毒づいていた厭世的な北の中に、着実に変化が起こっているようだ。
咳き込む彩女を看病する北に、彩女は誰かに看病してもらうのはすごく久しぶりだと漏らす。小説家の夫はほとんど家におらず、彩女は広い家でずっと一人ぼっちだったのだ。図書館で会ったとき、彩女を見て「美人なだけで何もしなくても、旦那の稼ぎで悠々暮らしてる人だと思ってた」ことを北は正直に明かし、自身の誤解や偏見で、孤独に耐えてきた彩女に怖い思いをさせたことを詫びる。
そして、自分にできることはないかと尋ねると、彩女は激しく北を求めてきたが、北はそこで彩女の本心に気づいてしまう。それは、北との逢瀬が「享楽」なんかじゃなく、死のうとしていた自分と同じ「自暴自棄」だということ。なんとも切ない気づきである。
翌日、体調が戻った彩女の運転で2人は北海道に向かうが、ガイドブックを買いに立ち寄った書店で、北は彩女の夫・雪枝一騎の小説を見つけ、購入する。「実話に基づく」と謳った作品は、貧しい小説家と若く美しい妻の生活をモチーフにした短編集だった。献身的に尽くす妻に疲れ、不倫に走るという内容に、北は複雑な思いを抱く。
そして、ふと「彩女さんて、死ぬつもりで俺についてきた?」という疑問をぶつける。
ところが、彩女は「今気づいたんですか?」と驚いた様子。彩女が「いいですね」と言ったのは、「死ぬ前に蟹を食べる」というところまで指していたのだ。そして、太宰治の『斜陽』の「夏の花が好きな人は、夏に死ぬ」という一節になぞらえ、夏に死ぬことを決めていると宣言する。
彩女を愛おしく感じるたび、自分にはもはや先がないのに、彩女は元の生活に戻るのだということに改めて絶望していた北にとって、これは嬉しい告白なのか、それとも・・・・・・?
目的地の北海道はもう目の前。ここに来て目的が「一致」した2人が選ぶ道とは?
(文:田幸和歌子)
【第4話(7月29日[金]放送)あらすじ】
死ぬ前に蟹を食べるため北海道へ向かう人生に絶望した男・北(重岡大毅)と謎多きセレブ人妻・彩女(入山法子)。彩女が死ぬためにこの旅についてきたと知った北は、彩女の冷たい表情に何も言えなくなってしまう。函館へと向かうフェリーへ乗り込んだ2人だったが、狭い客室で気持ちがすれ違い・・・。そんな中、彩女は北に「本当は死ぬのが怖くなったのではないか」と問う。北が出した答えとは・・・。◆番組情報
ドラマ24『雪女と蟹を食う』
毎週金曜深夜0:12からテレビ東京系で放送
地上波放送終了後、動画配信サービス「Paravi」にて配信
(C)「雪女と蟹を食う」製作委員会
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