テレビ東京にて現在放送中の『復讐の未亡人』とドラマ24『雪女と蟹を食う』。(なお『復讐の未亡人』は、すでに動画配信サービス「Paravi」で全話独占配信中。)この度、この2作品に出演している淵上泰史にインタビューを行い、役作りや現場の雰囲気について話を聞いた。
『復讐の未亡人』で淵上が演じるのは、主人公・密/美月(松本若菜)の夫・優吾(平岡祐太)の弟で探偵の鈴木陽史。密と志を共に、優吾の死の真相を調べる為に職場に潜入して巧妙に復讐の罠を仕掛けていく。また『雪女と蟹を食う』では、主人公・北(重岡大毅)と出会う謎多き美女・彩女(入山法子)の夫・雪枝一騎(勝村政信)の担当編集である巡健人役を演じている。
――まず、それぞれのキャラクターをどのように捉えて役作りをされていったのか教えてください。
『復讐の未亡人』では、鈴木陽史という役を演じています。優吾の双子の弟ですが、彼は子供の頃から美月に対して恋心がある。だけどそれは一生成就しなくて、その距離感が変わることはないという切ない役でもあります。台本を読んでいて、優吾は光で陽史は影なんじゃないかなというのは感じていましたね。笑顔を出さずに、声のトーンや出来るだけ無駄な事をせず引き算の芝居を意識して、それが後々効いてくるんじゃないか?など、監督と話し合って決めていきました。
『雪女と蟹を食う』で演じているのは、雪枝一騎の担当編集の巡健人という役です。雪枝の小説家としての才能を信じていてバックアップしていきたいという想いのある熱い男なのですが、彩女に対して誘惑するようなシーンもあるので、未だに巡健人という男が何をしたかったのか、はっきりとは分からなくて、僕の中では一番怖い人物でした。二面性がありつつ、どこかで一本の線のように繋がっておかなくてはいけません。もちろん入山さんや勝村さんの芝居がどう来るのかによって僕のセリフの感じや行動も変わってくるので、そこは現場で楽しもうとは思っていました。あんまり悩んでもしょうがない。オリジナルの役ですし、僕が作ることで"巡健人"になっていくんじゃないかなと思って取り組みました。
もちろん2つの作品を楽しんでいただきつつ、違いのある僕の役もひとつ、お楽しみに。
――現場の雰囲気はいかがでしたか?
『復讐の未亡人』に関して言えば、メインの井樫彩監督は20代の監督なのですが、やっぱり男性の監督と女性の監督で現場の雰囲気が違うところがあるんです。井樫監督はまだお若いですし、女性の視点から見た演出というものもあって、僕はそれが面白かったですね。
『雪女と蟹を食う』の方は男性の監督が3人でした。内田(英治)監督とは『ダブルミンツ』という映画でガッツリやっていますから、そのときと同じ緊張感のある現場でした。共演者でいうと、入山さんとは『アニバーサリー』という映画で恋人同士の役を演じて以来のお芝居で、空き時間に色んなお話をしましたね。勝村さんとはサッカー仲間で、対戦相手に勝村さんのチームがいるのですが、めちゃくちゃ弱くて!いつもボコボコにして勝つんです(笑)。一緒に芝居をするのは初めてだったので、現場で会ったときに「お~淵上くん!」って言って握手をしてくれて、すごく嬉しかったですね。
――今回は脇役として作品を支えていますが、主演のときとのスタンスや演じ方の違いはあるのでしょうか
僕は、舞台と映画『ダブルミンツ』のダブル主演の経験しかないのですが、やはり責任という意味ではちょっと変わってくるんじゃないでしょうか。主演の時は自分が引っ張らなきゃというより、むしろ支えなきゃなという思いは持っていました。脇で入る場合は、良い意味で「色んな人を食ってやろう」というのがあります。かき乱す、じゃないですけど、楽しみながら思いっきりやろうという感じですね。
僕の中で、単独で主演をやるということを大きな目標として置いていて。ただ、僕を主演に起用して、それで視聴率を取れるのか、映画動員少ないんじゃないかって自分でも思いますから。ただ、これは極論ですが、僕が主演でも作品さえ良ければそんな事は関係ないと思ってますけどね(笑)。とにかく今は一つ一つの作品に集中して、そして結果も残しながら、信頼もまだまだとっていかなきゃいけない。「淵上おもしろいな」と思ってもらって、何とかキャスティングに入っていけるように、まだその途中だと思っています。
――今回ご出演される2作品はどちらも漫画原作ということで、見せ方や演じ方で何か意識したことはありますか?
すでに絵があるので、それと似ていなかったり真逆だったりするとちょっと微妙ですよね。キャスティングしてもらった以上は、衣装や髪形など、近づけられる部分は近づけますが、こればっかりはしょうがないので・・・。一番大事なのは芝居だと思いますし本質的なところさえしっかりやれば、観てくれる人にも届くとは思うんです。そこは衣装合わせでも深く話し合いますし、毎回の悩みです。
『雪女と蟹を食う』の巡は、原作には出てこないということでリアリティのある人物にしたくて。実際に編集の仕事をしている知り合いがいるので、その方の佇まいや表情を思い出しながらやっていました。
――『復讐の未亡人』はすでに「Paravi」で全話配信中ですが、何か反響はありましたか?
やっぱり原作を知っている人が結構たくさんいらっしゃって。僕がInstagramで宣伝をしたときに、「陽史をやるんだ!」って驚いてくれた人が多かったです。
――ちなみに以前、主演の松本さんにインタビューをした際、淵上さんに「座長・松本若菜を支えられるように、俺頑張るから」って言ってもらったとおっしゃっていたのですが、いつも、そんな風に現場で素敵な気遣いなどをされているのでしょうか?
きっと言ったんだと思いますが、正直あまり記憶にないです・・・(笑)。僕は脇役が長いので、意識していないところで勝手にそういう風になっていったのかもしれませんね。やっぱり主演って大変な立場だと思うので、現場で話しかけたり、シリアスな場合は距離を置いたりとか、気は遣いますね。松本さんとは他愛もないことも色々お話しました。
――『雪女と蟹を食う』の内容にかけまして、淵上さんが死ぬ前に食べたいものは?
父親が作る食パンがいいですね。バターは無しで蜂蜜をかけて・・・って表向きには言っておきますが、本当は焼肉がいいです(笑)。
――最後に、ドラマをご覧になる方に向けてメッセージをお願いします。
『復讐の未亡人』と『雪女と蟹を食う』、全く違う作品になっていますし、僕も全く違う役どころを演じています。とにかく観ていただいて、楽しんでいただいて、たくさんの感想が僕まで届いたら嬉しいなと思います。是非ともよろしくお願いいたします。
◆番組概要
『復讐の未亡人』
毎週木曜深夜2:35~テレビ東京にて
動画配信サービス「Paravi」で全話独占配信
ドラマ24『雪女と蟹を食う』
毎週金曜深夜0:12~テレビ東京系にて
動画配信サービス「Paravi」にて放送終了後に配信
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