テレビ東京にて7月15日(金)20:00より放送スタートとなる『警視庁強行犯係 樋口顕 Season2』(※初回は2時間スペシャル)。"警察小説の第一人者"である今野敏原作の本格ミステリーを元に、これまで全12作のスペシャルドラマと、昨年1月期には連続ドラマ化が実現した本作がSeason2として帰ってくる。この度、本作で主人公の樋口顕を演じる内藤剛志にインタビューを行い、シリーズへの思い入れや刑事役を演じるにあたってのこだわりなどについて話を聞いた。

――まず、本シリーズSeason2への思い入れをお聞かせください。

今は見逃し配信とかサブスクなど、テレビの見方が変わっている時代だとは思いますが、レギュラー放送のドラマって元々は「毎週見たい」「テレビを通じてあの人にまた会いたい」というのが基本だと僕は思っています。なので、まずは「来週の金曜日の8時が楽しみだ!」と思ってもらえるものを作るということに、もう一度挑戦させていただける場だと捉えています。すでに答えが出ているわけではなくて、みんなで考えながらなんですけれどもね。

――以前「作品をさらに進化させたい」とコメントされていましたが、どのようなことなのでしょうか?

去年も今年もそうですがコロナ期間にあったり、また世界のあるところでは争いが起こっている。具体的には色々あるんですが、大きく言うと「そんな現実をドラマにどう反映できるのか?」ということだと思います。そもそもそういうことを背負わないでやるのはダメだと思ってやってきたドラマなんです。だからその時その時の時代の空気みたいなものを反映していきながら進化していきたいと思っています。
その上でこのドラマが僕たちなりの答えにならなきゃいけないと思っていて。正解が一つなわけではもちろんないんだけれど、例えばコロナ期間の今は「不自由な中でも人との繋がりは大事にすべき」、そういうことを考えながら向き合っています。

――撮影現場は、どのような雰囲気ですか?

9割私語、1割セリフですね。ほとんど僕が喋っているんですけど(笑)。楽しくやっています。話している内容が大事ということではなくて、本番に向けてアイドリングをしているイメージです。出演される方ほとんど知り合いだったりするので「あれからどうなった?」とか。チームワークですからね、刑事ドラマって。犯人側の方も含めて、(視聴者に)楽しんでいただくためのチームです。

――犯人と対峙するシーンもあると思いますが、その直前まで割と和気あいあいとしているのですか?

場合によります。スイッチを入れて本番に臨みたいタイプなので基本的にはそうなのですが・・・昨日撮影した"あのシーン"なんかは、ものすごく仲の良い俳優さんとだったのですが、一切話さないで撮影に臨みました。2話のシーンです。いわゆる「エモい」シーンというか。見ていただければすぐに分かると思いますよ。

――Season2からは竹財輝之助さんがレギュラーキャストとして加わりますが、どのような印象をお持ちですか?

新しい風をいれていただけるとすごく楽しみにしていますし、化学反応や予測のつかない変化も楽しみにしています。またイケメンが増えましたね(笑)。

――ずっとやっているチームに新しい方が加わるというのは、やはり嬉しいことですか?

僕たちは、長くやっているからといって、それを固定しているという風には全く思っていないんです。今まで出ていただいたゲストの方も、たまたま同じ画面に出てこないだけで同じ世界に住んでいるわけじゃないですか。「ビート」に出ていただいた柄本明さんはまだ捜査二課にいらっしゃるのかなと思ったり、「暁鐘」に出ていただいた宅麻伸さんも公安部外事一課にいらっしゃるのかなと思ったりしてやっていますから。これからも世界がどんどん広がっていくような、レギュラーとかゲストとか、固定しない方法でやっていきたいですね。大きなファミリーの一員が増えたということで、僕たちとしては嬉しい限りです。

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――「Paravi」では過去作も配信されていますが、一押しのエピソードや特に印象に残っているものはありますか?

全部ですね。みんなで産み出した子どもだっていう思いがあるので、愛情は全部同じです。
ですが、強いて言うとすれば、「回帰」からラストの居酒屋のシーンに榎木(孝明)が初めて加わって3人になったときは印象に残っています。その前までラストシーンは佐野(史郎)と二人だったのですが、そこから大きく変わったんですよ。ある日、児玉(宜久)監督から「(ラストシーンを)3人でやりたいと思うのですが、いかがですか?」って言われて、それは面白いなと思ったんです。(榎木演じる)天童隆一は上司だけれども、同じ世代の仲間でもあって、どうやって取り組もうかなと考えた記憶がありますね。

――ご自身が出演された作品はご覧になりますか?

オンエアではなかなか観られないのですが、必ず完成品はチェックしています。やってしまったものは他人だという感覚で、「ヘッタクソだなこいつ!」って(笑)。もちろん反省するようなものをお見せするって本当はいけないと思うのですが・・・自分の中での問題点を見つけるために必ず観ています。
今って、僕の20、30代の頃の昔の作品を観られるじゃないですか。その頃の出演作を観てみると、やれていること、やれてないことって今と一緒なんですよね。僕だけが分かることかもしれないんですけれど。大して成長していないので、常に宿題はあります。照れもしないし、かっこいいとも思わないし、非常に淡々と第三者という感じで観ています。とはいえ、上手い下手じゃないんでしょうね、俳優って。

――「Paravi」で配信中の内藤さんの出演作といえば、TBSの『徹底的に愛は・・・』などがありますね。

僕が演じたのは有吉浩一郎という外務省の主席でキャリアという役どころだったので、英語でのアドリブを要求されてものすごく苦労しましたね(笑)。あと、印象に残っていることがあって。第5話で、浩一郎が不倫関係にあった安達純子(仙道敦子)に別れを告げるのですが、その後に躓いて転ぶシーンがあるんです。ただ、元々の台本には「去っていく背中」としか書いていなくて。監督やスタッフたちと「浩一郎が純子に対して真実の愛に気づき始めたけれど別れを告げた」という大事な場面に、何か印象に残るものが欲しいということで、あえて無様なシーンを入れたんです。思いついたアイデアを台本にプラスαしながら作っていけることがドラマの醍醐味でもありますよね。

――樋口に限らず、刑事役を演じる上で筋を通していることがあれば教えてください。

夢や希望を届けたいと思っています。ドラマなので僕らはフィクションですけど、刑事って正義を背負うじゃないですか。ご覧になったあとに、「この世界や人生に希望をもってもいいのかな?」って感じていただけたらと思います。というか、「希望を届けないで何がドラマだよ!」ってちょっと思ったりもします。

――そんな刑事役のイメージが強い内藤さんですが、もし犯人役をやるとしたら、どんな犯人を演じてみたいですか?

刑事役をやっていると犯人と対面するでしょ?すると必ず理由があるんですよ。例えば、権力が欲しかったとか、お金が欲しかったとか。だから自分がやるんだとしたら、動機が分からない人をやってみたいですね。もちろん、絶対にあってはいけないことなのだけど。刑事ドラマが成立するのは、犯人側の心情が分かるからだと思うんですよ。でも、そうじゃない人って本当に怖い。表現として、そういう世界があるならば、自分が混乱してしまうくらいのをやれると面白いでしょうね。

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◆番組情報
金曜8時のドラマ『警視庁強行犯係 樋口顕 Season2』
2022年7月15日(金)20:00スタート※初回2時間スペシャル
動画配信サービス「Paravi」にて各話放送終了後に配信開始