上野樹里主演、田中圭、松重豊らが出演する『持続可能な恋ですか?~父と娘の結婚行進曲~』(TBS)の最終話となる第10話が6月21日に放送された。
颯(磯村勇斗)からプロポーズされた杏花(上野樹里)。しかし、意外にも杏花は冗談にせず、即答で断るでもなく、返事を保留する。「俺が杏花ちゃんの"奥さん"やるよ」という理想的条件もさることながら、同居を通して改めて颯が「昔から良い子で、今もわりと良いヤツ」であること、颯との暮らしが快適で楽しいことを知っているからだろう。
しかし、可能性があることにむしろ驚く颯は、あまりに察しが良く、人の心に敏感すぎるのが、恋愛においては大きな弱点だろう。
一方、颯がプロポーズするところを見てしまった晴太(田中圭)は颯と出くわし、「もう遅い」と言われる。杏花もまた、自分の本心を確かめようと晴太にもう一度会うが、改めてさよならを告げた上で、颯にも返事の期限を待たずに「ごめん、私、結婚はできない」とプロポーズを断る。
杏花とは対照的に、ラブラブな林太郎(松重豊)と明里(井川遥)は、結婚することになり、明里が沢田家を訪れる。明里が「すこぶる」という副詞で辞書編纂者の林太郎の口調を真似て言うと、それを受け、「骨抜きにされた」と整形外科医で骨フェチの明里の特性で表現し、笑い合う姿は、恋愛真っ只中の2人の世界そのものだ。
そんな中、晴太への想いを残しつつ1人になった杏花を放っておけないのは、やはり颯だった。
林太郎と杏花の結婚式が行われる中、颯は晴太の前に現れる。そして、自分が嘘を言ったと言い、プロポーズを杏花に断られていることを伝えると「親族席、花婿の娘、杏花ちゃん。一人は寂しいと思います!」と晴太を送り出す。
そして、式場に現れた晴太は、実に晴太らしい、いや、晴太と杏花らしい言葉でプロポーズするのだ。
「お父さんになってもらえませんか」
「お父さんが2人でも、僕がお母さんでも。普通の結婚じゃなくてもいいですか」
「普通じゃないくらい杏花さんが好きです。僕と結婚してください!」
そして、父と娘のW婚活はまさかの同時ハッピーエンド。ラストは平和で案外薄味に着地するのかと思いきや、しかし、最後の最後で、実質的主役がバトンタッチするという意外な結末が待っていた。
1年後、カレー好きの晴太と杏花が営むレストランで、杏花はテラスでヨガ教室をしており、それぞれ好きなことをして生きる姿が描かれた。その傍らでは、晴太の息子の虹郎(鈴木楽)が、マレーシアにいる颯とオンラインで英会話をしている。
そして、虹郎が失恋したと話すと、颯は言うのだった。
「持続可能な恋は、かなわなかった恋だけなんだ」
あまりのイイヤツぶりに途中から多くの視聴者が肩入れし、応援していた中、最後にタイトルの意味を担う主役のバトンを受け取った颯。
林太郎が記した語義「結婚とは永遠に続く愛情へのむちゃな挑戦」。それは良くも悪くも変化していくものである一方、手にしそびれた者のみが自身の中に美しいまま抱き続けることのできる「持続可能な恋」もまた、悪くない。
TBS火曜ドラマでは定番化している「当て馬」「不憫」イメージのポジションからメインに躍り出た画期的展開だった。
(文・田幸和歌子/イラスト・まつもとりえこ)
◆配信情報
『持続可能な恋ですか?~父と娘の結婚行進曲~』
動画配信サービス「Paravi」で全話配信中。
また、7月6日(水)からNGシーンやクランクアップ映像などが観れるParaviスペシャル版も配信開始する。
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