遂に、開かずの部屋"アボカドの部屋"が開かれた『吉祥寺ルーザーズ』(テレビ東京ほか)第11話。
池上さん(國村隼)が数日間姿を見せず連絡も取れないまま、このシェアハウスでの唯一のルールである"全員で食卓を囲む"約束の日曜夜7時を迎えてしまう。このルールが守られなかった場合には、全員の秘密が詰まったアボカド型の人形を叩き割ることになっていたわけだが、肝心の池上さんの秘密は"UFOを見たことがある"という肩透かしを食らうような内容だった。
しかし、その中にアボカドの部屋の鍵が紛れていたのだ。ルーザーズ5人に心当たりがないということは、この鍵の持ち主は池上さんなのだろうか。
意を決してアボカドの部屋に入ると、このシェアハウスのオーナー名である「万平一平」と書かれた暖簾が見つかる。どうやらこれは池上さんが義父から暖簾分けしてもらったうどん屋の名前のようだった。万平一平と池上さんに関係があるのは間違いなく、むしろ池上さん本人がこのシェアハウスのオーナーである可能性が突如浮上する。
そして思い出の品と写真、ラブレターの数々が詰まった年代ごとに分けられた段ボールが6箱。写真に写る女性や子どもはその度変わる。そう言えば、池上さんは以前、聡(増田貴久)に結婚歴が複数回あるようなことを口走っていた。
最初の妻が娘を残し病死してしまったことが明かされるが、第3話できつねうどんを食べながら"病死してしまった妻の月命日"に彼女の好物を食べているという話と関係があるのか。もっとも、この時池上さんは日付を間違え実際の月命日よりも1日早くにきつねうどんを用意してしまっていたわけだが。
電話で「マハルキタ」(フィリピン語で「愛してる」の意)と愛の言葉を囁いていたり、舞(田島芽瑠)が働くコンセプトカフェに偵察に行った際にもなんだか現役感を滲ませていた池上さんの様子からも特段不思議はないが、いきなり6人の女性それぞれとの写真や思い出を一気に目の当たりにしてしまったルーザーズからすれば勝手に裏切られたように感じてしまうのも無理はないかもしれない。しかも、結婚歴のことだけならまだしも、オーナーと池上さんの関連を窺わせるような展開には頭が整理しきれないのだろう。桜(田中みな実)が言うように"池上さんに騙されていた"と感じてしまっても仕方のないことなのかもしれない。
思い思いのことを口にしながら囲む食卓は収集がつかず、こんな時に「まぁまぁまぁ」と一歩引いた立場からなだめてくれる池上さんの存在の大きさが皮肉にも浮き彫りになる。しかし、疑惑が上がった今、なんだかこの池上さんの俯瞰的な立場さえ、黒幕ゆえの余裕だったのかとも思えてもくる。こんな形で、"ルーザーズ解散"の話まで持ち上がってしまうとは・・・
幡多(片桐仁)がこぼした通り、"せっかくできた仲間"である彼らはどうなってしまうのか。また、もし池上さんが「万平一平」であるならば、なぜ自らも一緒にこのシェアハウスでルーザーズと暮らすことにしたのか。同居人として、あの5人が選ばれた理由も気になるところだ。何はともあれ"秘密"を乗り越え強くなったルーザーズが最終話でどんな未来を選択するのだろうか。
(文:佳香(かこ)/イラスト・月野くみ)
【最終話(6月27日[月]放送)あらすじ】
ついにオーナー万平一平の正体が判明!さらにある事情でシェアハウスからの退去命令が下る事態に。猶予は次の更新日である2週間後・・・ルーザーズに衝撃が走る中、安彦聡(増田貴久)、大庭桜(田中みな実)らそれぞれが、家を出ていく前に、先送りにしていた問題に向き合おうと動き出す――。突然ピリオドが打たれることになった共同生活。6人はこのまま本当にバラバラになってしまうのか!?負け組たちの奇妙な物語ついに最終回!◆放送情報
ドラマプレミア23『吉祥寺ルーザーズ』
毎週月曜23:06~23:55放送
地上波放送終了後、動画配信サービス「Paravi」にて配信
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