上野樹里主演、田中圭、松重豊らが出演する『持続可能な恋ですか?~父と娘の結婚行進曲~』(TBS)の第9話が6月14日に放送された。

タイトルの「持続可能な恋」そのものの意味と「普通の幸せ」感がズバリ問われた今週。

晴太(田中圭)に結婚を前提とした交際を申し込み、断られた杏花(上野樹里)と、明里(井川遥)からの真剣交際の申し込みを断った林太郎(松重豊)。晴太は虹朗(鈴木楽)の母になろうとする杏花に、頑張ろうとすると続かないと言い、杏花らしさを尊重するゆえの別れだった。林太郎も明里との年齢差や初婚・再婚の違いを考え、「あなたは普通に幸せになれる人です」と言うが・・・。

無理に明るく元気に振る舞う杏花に、事情を知った颯(磯村勇斗)は「いつも笑ってなくて大丈夫」と、かつて杏花が悩んでいた自分にかけてくれた言葉を返す。その頃、晴太は、元妻・安奈(瀧内公美)の大阪赴任を後押しするため、時短勤務にし、一人で虹朗を育てていく準備を進める。
一方、林太郎も一人暮らしの準備を少しずつしていた。杏花の恋を応援し、送り出すためだったが、杏花は別れたと言い、さらに明里が倒れたことを話す。すると、血相を変えて病院に行く林太郎。明里に前言撤回し、交際を申し込むが、今度は明里がそれを断ってしまう。自分の病状によっては迷惑をかけるためだったが、そんな相手ファーストの優しい頑なさを林太郎の言葉が溶かす。

林太郎は日向(明里)がいなくなったらと考えたら、自分が耐えられないと言い、こう伝える。

「日向さんが生きる世界に自分が生きられたら、私は幸せなんです。日向さんもそうだと良いですが」

二人は真剣交際することになり、幸い明里の腫瘍も良性で、めまいや不眠、動悸などは更年期障害によるものだったと発覚。症状の辛さに加え、老いを自覚するショックとなりがちな更年期障害が、こと年上のパートナーとの間では「40歳過ぎたら誤差」と思わせてくれる前向きなきっかけになるとは。

そんな林太郎と明里の真剣交際を知った杏花は、二人に気を遣わせないためにも家を出ることを決意。一生結婚しないと宣言する。そんな杏花に林太郎は決めつけなくて良いと言い、「生きていくということは変化していくということだ」と伝えた。そんな林太郎の頭には、ある出来事が浮かんでいた。

父娘で婚活する中、林太郎は「結婚相談所の人」晴太に、娘には「普通の幸せ」を願っていると話していた。それが晴太と杏花を引き裂くきっかけになったのではないか・・・。

そして、辞書編纂者が「普通の幸せ」という、定義が難しい曖昧な言葉を使うのは不思議に思えたが、そこには理由があった。林太郎は学生時代、優秀な学者にはなれるが、辞書編纂者にはなれないと教授に言われていた。言葉は生きている、変化をしていくものだが、人と関わらず本ばかり読んでいる林太郎は「生きていないから」という理由だ。

そんなとき出会ったのが、大学の後輩・陽子(見上愛/八木亜希子)だった。苦しそうにする陽子に何かできることはあるかと林太郎が声をかけると、陽子が言ったのは「じゃあ、私と結婚してくれますか」。当時、陽子は交際していた男性と別れた後、妊娠が発覚。一人で産もうとしていたのだ。その子が杏花だった。なんと林太郎と杏花は血のつながりのない親子だったのだ。陽子が亡くなる前、林太郎に遺した手紙に「プロポーズ、受けてくれてありがとう」とあったのは、こうした理由からだったとは。

杏花が大学を卒業するときに言おうとして言い出せず、結婚するときに・・・と先延ばししてきた。その末に、自身の「普通の幸せ」という言葉がむしろ娘を縛り付け、娘の幸せを奪おうとしていると林太郎は思う。そして杏花に言う。

「だけど、幸せだった。何物にも代えられない幸せに出会えた。こんなお父さんでも"お父さん"になれた」

林太郎はこの大切な事実を杏花本人に伝える前に、晴太に伝えていた。自分は杏花と血のつながりがなく、普通の親子ではなかった。だからこそ言える言葉がある。

「あの子の父親になれて"普通に幸せ"です」

林太郎の言葉に背中を押され、やり直そうと杏花のもとに走る晴太。しかし、そのとき、颯が杏花にプロポーズしていた。しかも、その言葉は「俺が杏花ちゃんの"奥さん"やるよ」「家族は恋より壊れにくいよ」

これは杏花がずっと求めてきた「持続可能な」ものだが・・・次週の最終回ではたして杏花は何を選ぶのか。

(文・田幸和歌子/イラスト・まつもとりえこ)

【最終話(6月21日[火]放送)あらすじ】

颯(磯村勇斗)から突然のプロポーズを受け言葉につまる杏花(上野樹里)だったが、颯がマレーシアに行くその日までに返事をすると約束。そんなプロポーズの場面を見てしまった晴太(田中圭)は、帰りがけに出くわした颯から「もう遅い」と言われてしまう。
「自分が本当に何を求めているのか」知りたい杏花は、もう一度晴太と会うことにするが・・・。

一方、交際することになった明里(井川遥)から、杏花に挨拶をしたいから自宅へ行きたいと言われて快諾する林太郎(松重豊)。沢田家を訪れた明里は、杏花にある思いがけないお願いをして・・・。

杏花は颯からのプロポーズを受けるのか、晴太との関係はこのまま終わりを迎えてしまうのか・・・? そして林太郎と明里が選ぶ未来とは。親子で始めた"ダブル婚活"の果てに一体どんな愛の奇跡が待っているのか!?

◆放送情報
『持続可能な恋ですか?~父と娘の結婚行進曲~』
毎週火曜22:00からTBS系で放送中。
地上波放送後には動画配信サービス「Paravi」で配信中。