「ケーキは美味しいですけど、私たちはスポンジや生クリームでできていませんし、賞味期限もありません!」
"女はクリスマスケーキ"とする過去の負の言説に対して、無敵メンタル・白川さん(井桁弘恵)は断言する。そして"早くても遅くても個人の自由"とは言いながらも、「結婚は一生を共にするパートナーを数年で見極めなきゃいけない超激ムズイベント」と焦りと不安を募らせる梅本カンナ(秋元才加)に、白川さんは自身の結婚観を明かす。「結婚するか子どもを生むのかはまだわからないけど、自分の幸せは自分で決めます!」
『メンタル強め美女白川さん』(テレビ東京ほか)第9話では、それぞれの結婚観と他人の幸せを素直に喜べない時の対処法が描かれた。
女性は特に人生における分岐点が数多く、幾重にも枝分かれしていくため、自分が"選べなかった"あるいは"選ばなかった"道を行く同性の姿が常に対岸にあり、時に焦りや嫉妬を抱くことになってしまう。さらには選択肢が多い分、たとえ選択したとて思い通りにならないこともままある。
素直に相手の選択を祝福し応援したいのに、"いいなぁ〜"と羨ましい気持ちに頭をもたげると次に湧き起こるのは"それなのに私は・・・"という自己嫌悪や自己卑下に繋がる感情と"ズルい"という妬み僻み。どうしたって自分と相手を比べて勝手に落ち込んでしまったり、全てを手にしているかのように見える相手の努力や苦労、迷いも知らずについ"計算高い""ちゃっかりしている"など憎まれ口の一つや二つ叩きたくなってしまうものだ。努力ではどうにもできない"環境、遺伝子、親の財産"などの要素が絡むとより一層それは顕著になる。
しかし、白川さんは"素敵だなぁと思う人"はいても、他人を羨ましく思うことはないのだとはっきりと言う。なぜなら白川さんには必殺技、忍法"自我消滅"があるから。「私というフィルターを通して誰かを見ると自分と比べちゃって苦しくなるから、透明人間になったつもりで誰でもない視点でその人だけを見る」と、ただただ既成事実だけが浮き彫りになりポジティブな感情だけが残る。梅本さんがこぼしていた通り、"自我さえ消せれば他人の幸福はただの幸福"だ。
言うは易く行うは難しだが、確かに誰かのめでたいニュースと自分自身は本来的には全く関係がなく別の話であり、そのことで自分自身の存在や将来が脅かされることなどないはずだ。自分の持ち物と相手の手持ちを比べてしまうから、勝手に自身のことが惨めになってしまう。それに相手のことを棚ぼた的にその幸福を手にしたと見るから何だか素直にそれを認められない少し意地悪な感情が顔を出すのだ。
「報われなくても私は努力できる自分が愛おしいです」とは白川さんの神ワードだが、周囲からは"何でも手にしている"かに見える人も、それは何度も報われない努力を重ねた先に、あるいは報われようとも思わずがむしゃらに取り組んできた先に掴んだ一筋の光だったのかもしれない。それにそもそも"幸せ不幸せ"を決めるのは自分自身の心に他ならず、いくら周りからは全てを手にしていて幸せそうに見えていたとて、実際のところは他人にはわからないものだ。
自分とは異なる選択をし、それぞれの持ち場で闘う同性のことを労り、互いに頼もしくそっと見守り合えたならばそれほど心強く心穏やかなことはないだろう。
文:佳香(かこ)
【第10話(6月8日[水]放送)あらすじ】
マウントという単語がこの世に浸透しウン10年・・・。日々巧妙に進化しているマウント。誰もがイラっとしてしまう言葉を、白川さん(井桁弘恵)は感謝ではねのけてしまう。そんな誰にでもいい子ちゃんの白川さんだが、高校時代に姫子(黒木ひかり)にいじめられていた過去がある。さらに同期の谷口さくら(藤野涼子)からは露骨に無視をされ続けており・・・。それでもなぜ、白川さんはポジティブな白川マインドを持ち続けるのか・・・?◆番組情報
ドラマParavi『メンタル強め美女白川さん』
毎週水曜深夜0:30からテレビ東京ほかで放送。
動画配信サービス「Paravi」で前週水曜日21:00より毎話独占先行配信中
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