人生最悪の事態に見舞われた家族の絆が試される、二宮和也主演のノンストップファミリーエンターテインメントドラマ『マイファミリー』(TBS)の第8話が、5月29日に放送された。阿久津(松本幸四郎)の娘・実咲(凛美)が誘拐され、その犯人を追う最中、たどり着いたのは東堂(濱田岳)で、多くの視聴者の予想通り、共犯の鈴間(藤間爽子)は義妹だった。
心春(野澤しおり)が誘拐された後、母親・亜希(珠城りょう)の狂言誘拐説も噂され、亜希が失踪。警察が捜査を縮小したことから、このままでは心春の誘拐事件も、心春という存在すらも葬り去られると思った東堂が、姉・亜紀への思いが強くITスキルの高い鈴間に協力を求め、心春の誘拐犯をおびき出すために模倣犯として友果(大島美優)を誘拐したのだ。
にもかかわらず、友果救出を手伝うフリをしていた東堂は「地獄だった」と振り返る。濱田岳の演技力のせいで犯人側の親心を汲んで同情・共感する視聴者も多数いたが、本来は同情の余地のない話だ。
それでも警察は公表しなかったため、暴露本を出版。すると、心春誘拐の犯人から接触があり、心春を返す交換条件として三輪(賀来賢人)の娘・優月(山崎莉里那)の誘拐と、交渉人を温人(二宮和也)にすることを命じられる。取引を何度も延期したのは、犯人を見つけるための時間稼ぎだった。そして、次の実咲の誘拐事件は、心春の誘拐犯自らが行ったものだという。
結局、心春と実咲の誘拐犯が同じで、優月の事件は操られていた「実行犯」で、計画・実行共に東堂による誘拐は友果のみ。とはいえ、友果の誘拐を東堂が企てなければ優月、実咲の誘拐は起こっていなかったわけだから、「俺はまだつかまるわけにはいかない!」と言ってのける東堂に憤りを感じるが、そこですかさず三輪が視聴者の溜飲を下げる。
誘拐から5年も経って、本当に心春が生きていると思っているのかというのは非情な問いに聞こえるが、それを信じたことで優月が誘拐・監禁により、あんなに苦しい思いをしなければいけなかったのかというのは、東堂に自身の罪と向き合わせる効果的な一言だろう。
一方、心春と実咲を誘拐した犯人からの連絡を待つ間、香菜子(高橋メアリージュン)は単独で阿久津家を訪問。会社を守るため、藤間の犯行を隠し、会社を去るよう助言していた経緯も含め、香菜子が犯行に一切関与していないとすると、温人たちの動向を見守っていた視聴者からするとただのスタンドプレーの迷惑な人物だと思わざるを得ない。そのせいで、阿久津は藤間と東堂の共犯にたどり着き、GPS情報から東堂が温人と一緒にいることを知り、警察に通報。真犯人は「実咲ちゃんを殺します」と宣言、温人に約束を破った、あなたの責任だと責めて電話を切る。そして、実咲が流血して倒れる姿が...。
前回ラストでボルダリングの練習を再開していた実咲が、脱出を試みて必死に壁を登っていたから、これはおそらく「事故」だろう。
それにしても気になるのは、心春に続いて、実咲は東堂に任せず、真犯人自らが誘拐したこと。そして、実咲を殺すと連絡してきたときの犯人の声が、音声変換のはずなのに、いつになく急いでいたこと。その不自然さから、再び阿久津が怪しい線も浮上してくる。
ネット上には心春=実咲説も出ていたが、二人が一緒にとったプリクラが過去に登場していること、同じ小学校に通っていたということから、さすがにそれは現実的ではない気がするが。
そして気になるのは、これまで全く役に立っていない、それどころか邪魔するだけの警察。血走った目と美声で温人に署への同行を求める葛城(玉木宏)が、このままではあまりに気の毒であるだけに、何か鍵を握っているからこその陽動作戦だと信じたい。
(文・田幸和歌子/イラスト・まつもとりえこ)
【第9話(6月5日[日]放送)あらすじ】
実咲(凛美)が思わぬ姿で発見された。
警察は温人(二宮和也)を逮捕。身代金の一部である1億円も自宅から回収した。
実咲と心春(野澤しおり)を誘拐した真犯人の狙いは、温人や東堂(濱田岳)たちに全ての事件の容疑をかけることだった。
そして絶体絶命の温人に襲いかかるのは、香菜子(高橋メアリージュン)の非情な決断だった。
そんな時、事件の鍵を握るモノが捜査線上に浮上する。
そして、真犯人は新たな犯行を企てる。
そのターゲットは、まさか・・・妻?
◆放送情報
日曜劇場『マイファミリー』
毎週日曜21:00からTBS系で放送中。
地上波放送後には動画配信サービス「Paravi」で配信。
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