犬飼(原田泰造)は何を見つけたのか・・・? ついに警察内で犠牲者が出た『インビジブル』。第7話は、キリヒト(永山絢斗)との直接対決へとなだれ込む前哨戦のような回だった。

内通者=3年前の事件の犯人か?

犬飼が何者かによって殺された。死の直前、犬飼は書類の中からある事実に気づいたようだった。それを志村(高橋一生)に伝えようとするものの、その途中であえなく命を落とした。犬飼は何を調べていたのか。そして何を見つけたのか。物語は、ついにクライマックスを迎えようとしている。

おそらく犬飼が見つけたのは、内通者のヒントなのだろう。その正体に辿り着いたがために殺された。だとしたら、内通者は誰か。最も怪しいのは塚地(酒向芳)だが、これと言った証拠があるわけではない。というか、捜査一課のメンバーはこれまでほとんどバックボーンが描かれていないため、内通者が五十嵐(堀田茜)であっても芝本(田中真琴)であっても、一応成立はする。けれど、それだとドラマとしては薄すぎる。

となると、有力なのはもう猿渡(桐谷健太)しかいない。これまでの流れから考えて、この内通者が3年前の安野(平埜生成)殺害に関わっていると見ていいはず。犬飼がいなくなった今、3年前の事件に最も深い関わりを持っているのは、猿渡だろう。

あのときの通り魔は、誰かの恨みを代わって晴らす復讐代行屋と言える"クリミナルズ"。つまり、法で裁けない悪に制裁を与える存在だ。ある意味、キリコの父と似ていると言える。

前回の"ドクター"の事件でも、中根沢(岡部たかし)は志村たちに助けられたことを感謝するどころか、「あんたらが余計なことしなきゃ俺の家族は救われるはずだった」と逆恨みしていた。そして今回の"シノビ"の事件でも、警護の対象となったのは、汚いやり口で私服を肥やした悪徳経営者・早坂(横山めぐみ)。仲間内での内輪揉めに振り回されたことに対し、「何が正義で悪なのかわからなくなる」と志村はやりきれない顔だった。

そもそも早坂自身が、かつて"インビジブル"を使って商売敵の経営トップを闇に葬ってきた。にもかかわらず、その罪は最後まで裁かれることなく、早坂は命を狙われた被害者のまま終わった。何とも言えないモヤモヤが残る回だった。

ここ数回の『インビジブル』は一貫して事件そのものより、正義の立場である自分たちのやっていることに意味があるのかを問うてきた。その問いを最終的に背負えるキャラクターといったら猿渡くらいしか思いつかない。

ただ、犬飼が調べていたのは一課員の個人情報だったので、そうなると警務部に身を置く猿渡は対象外となる。では、やはりあくまで捜査一課の誰か、ということになるだろうか。まだ明るみに出ていない誰かの過去やつながりに犬飼は気づいたのか。真相が気になるところだ。

いずれにせよ展開的にラスボスはキリヒトなのかと思っていたけれど、むしろキリヒトは前振りで、志村とキリコが最後に相対するのは、この内通者のような気がしてきた。なぜ内通者は警察を裏切り、犯罪行為に手を染めたのか。内通者が志村とキリコにぶつけるであろう問題提起こそが、『インビジブル』が描く真のメッセージなのかもしれない。

重い枷を背負わされる志村に、キリコはどんな救済を与えるのか

今回の大きな見どころは、やはり志村と犬飼の屋上のシーンだろう。犬飼は、安野殺しの犯人を取り逃がしたことにずっと罪悪感を抱えていた。その苦しかった胸の内を、犬飼は志村に告白する。おそらく観ながら誰もが思っただろう。あ、犬飼、死ぬと。

久しぶりにこんなにわかりやすい死亡フラグを見た気がしました。なんだったら志村を屋上に呼び出したとき、絶対志村が建物前に着いた瞬間、犬飼の遺体が屋上から落ちてくるんだと身を構えていた。完全に『ダブルフェイス』の角野卓造がトラウマになっている。

志村との絆が色濃く描かれていただけに、これで志村は上司と部下、大切な仲間を2人も奪われたことになる。よく考えなくても、志村、めちゃくちゃハードモードすぎない・・・? その胸中を思うとこちらの胸も痛みますが、重い枷を背負わされれば背負わされるほど輝くのが高橋一生。額に青筋を立て、怒りに燃える姿が見られるのかと思うと、志村には悪いけど、ちょっと楽しみでもある。

志村とキリコのバディ感もどんどん強まってきた。今回はお互いが感情をぶつけ合うような場面はなかったけど、それでも志村とキリコが"民宿"の通路をカツカツと靴音を鳴らしながら闊歩する場面は、ほんの一瞬のシーンなのに、ぐっと惹きつける「画力」があった。ただそこにいるだけで、「画」を引き締める存在感は、高橋一生と柴咲コウだから出せるもの。

とは言え、志村とキリコは決して一枚岩というわけではない。むしろ物事の捉え方は対照的と言っていいだろう。犬飼に対しても「今はすべてを疑わなきゃならない」と警告するキリコに対し、「俺は課長を信じたい」と志村は言った。疑うキリコと、信じる志村。今回は、信じる志村が真実を掴んだ。でも、この志村の「人を信じたい」という気持ちが裏目に出ることもあるのかもしれない。内通者の正体を知ったとき、志村はどんな顔をするのか。

きっと大きな傷を負うことになるだろう。そして、その傷にそっと手を添えられるのはキリコしかいない。前回、『インビジブル』は志村がキリコに救済を与える物語だと書いたけど、キリコが志村に救済を与える物語でもあるのかもしれない、と思いはじめている。

(文・横川良明/イラスト・まつもとりえこ)

【第8話(6月3日[金]放送)あらすじ】

捜査一課長・犬飼(原田泰造)の死亡が、副総監の牧野(羽場裕一)から発表された。当面の間、捜査の指揮は猿渡(桐谷健太)が執ることに。志村(高橋一生)は、犬飼が内通者を極秘で調べていたためインビジブルに殺されたと猿渡に訴える。キリコ(柴咲コウ)も、犬飼の死に弟のキリヒト(永山絢斗)が関わっていると知り、心を痛めていた。

そのキリヒトは正体を偽って東子(大野いと)をライブハウスに連れ込み、「興行師」を使った新たな犯罪を画策。「興行師」とは、ターゲットを殺す瞬間をショーにして依頼人に配信するクリミナルズだ。ターゲットは東子を含む3人。そのショーのライブ配信の招待が、キリコと捜査一課にも届き・・・。

◆放送情報
『インビジブル』
毎週金曜22:00からTBSで放送中。
地上波放送後には、動画配信サービス「Paravi」でも配信中。